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花は、存在そのものが誘いこむ罠だ。
華やかに咲き誇り目をくらませ、香りで魅了する。
花びらの奥に甘い蜜も湛えている。
視覚、嗅覚、味覚で誘い、欲望を遂げる野生のたくらみ――
近ごろ、そんな花のような女が増えているらしい。 そうでなくとも、女は花にたとえられることが多い。 たとえているのは、当然、男たち。彼らは、女を花として見ている。 であるならば、是非とも美しく花弁を磨き、 かぐわしく香らせてみたいものだと思う。
そのために、まずは、理想の花を想像してみたい。
花びらは、恥らう少女の頬のような可憐な色合い? それとも、ビロードのような深みのある情熱と包容の色? 花の容姿にタブーはない。それぞれの美しさで魅力をはなつ。
けれども、けがれや衰えを感じさせるクスミ感はそぐわない。香りを高めると言われている石けんでお手入れを加えてみようか。 癒しのバスタイムは女を磨く大切な時間。
さらに、男を魅了するために。甘く香るパフュームもいいかもしれない。 美味しそうな果実を連想させるためにも、 匂いは武器のひとつとして、持っておきたい。
口をつけるとフルーツのような味わいをも持つパフュームは、 彼との関係の熟し方と照らし合わせて選びたい (熟れた2人には爽やかさを感じさせるフレーバー系が断然オススメ!)。
最後に、蜜。
見掛け倒しとそしられないためにも、いつも蜜を秘めた女でありたい。
そのために出来る努力は、ただひとつ。
――自分が花であることを忘れないこと。
たったそれだけなのに、日々の生活に流されて、花の自覚はどこへやら? ならば、独りの夜に想い出そう。自ら慰めてみて。 孤独な秘めごとの微かなうしろめたさは、悪くない。 なぜって、背徳は快感のスパイスだと思うから。
誰にも内緒にすればいい。花には秘密がよく似合う。
妖しくなければ花じゃあない。少し淫らでちょうどいい。
――ほら、可愛い蜜蜂が恋を求めてやってきた!
さあ、誘惑の花を咲かせよう。彼を貴女の虜にしよう。
【川奈まり子】
コラムニスト。元AV熟女女優。1967年11月9日生まれ。A型。
2004年にAV界引退後、エッセイ、官能小説などの執筆で活躍中。
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