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人魚姫の物語は、はがゆい悲劇だと思う。
はがゆい理由は、人魚姫があまりにも引っ込み思案だから。
私ならば、もっと意思的に王子様を口説いたと思う。 なんとしてでも彼を手に入れたい。 そう願うなら、私だったら、せめて泣き落とすぐらいのことは…。
人魚の涙は空気に触れるそばから、 真珠に変わるという説もある。 泣き落としの効果は絶大だったはず。
――月あかりの浜辺で、悲しい微笑みに美しい涙をひとしずくそえて、
王子様にそっと差し出す。きらめく瞳に真心をこめて。
しっとりと艶やかな肌は、彼の愛撫を待つばかり。
そんなロマンスをイメージしながらメイ
クをしてみるのも楽しい。
まずは体磨き。
いつにもましてなめらかな極上の肌で迎えたい、
そんな特別なときの前には、特別のソープでバスタイ
ムを、ぜひ。
香りも洗いあがりもいつもの石鹸とはひと味もふた味も違う
スペシャルソープは、女の恋の必需品。
人魚の恋は泡になって海に消えてしまったけれど、
私たちのロマンスは泡の中から始まるの!
さらに、女らしい曲線美を目指すなら、
ジェルなどでマッサージも。
そのとき、彼の手の感触を想像しながら、
肌に指先をすべらせてみて。
恋のホルモンが貴女の魅力を、
最大限に引き出してくれるから。
ボディメイクを済ませたら、仕上げはフェイス。
とくに演出したいのは、涙にうるんだ瞳。
下まぶた。目じり。本当に感極まって、
涙ぐんだときに濡れるそのあたりに、
真珠色の艶を軽くのせれば…。
ね?人魚姫の出来上がり!
ただし、この人魚姫は恋の勝者。そして努力家。
というわけで、
王子様に逃げられたりはしない幸福な人魚姫は、
今日も自分磨きに精を出すのでした――。
【川奈まり子】
コラムニスト。元AV熟女女優。1967年11月9日生まれ。A型。
2004年にAV界引退後、エッセイ、官能小説などの執筆で活躍中。
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