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皮膚に接触しているのは直径数ミリの小さな点。 そこから震動が伝わる。そして、肉の奥へその刺激がとどく。 快感を得た部分は直径では言い表せない。
「どうしてここが、きもちよくなるの?
これを当てているのは、こっちなのに……」
あなたも彼も、不思議に思う。
二人の身体は謎に満ちている、ということを二人は知る。
恥骨の上で、それがクルクルと円を描く――と、 熱くなるのは内部のやわらかな粘膜だったりする。 あなたの花びらが開きながら涙を流しはじめる。 かわりばんこを、二人は好む。
次に彼の同じところへ、それをあてがう――あれが硬くなる。 やさしい呻き声を唇で吸い取ってあげて、 あなたはそれをじわじわと移動させてゆく。
最初はふつうのマッサージだったのだけれど、 と、二人は行為をつづけながらぼんやり思い返す。 はじめはふつうに肩や首筋をきもちよくするだけのつもりが、 途中から二人とも、ふつうではなくなってしまった。 ……そして、いまや全身がきもちいい、かもしれない。
いつのまにか、二人の前には果てしなく時間がある、 ような気がしている。 プラスチックの、電動の、まぁるい形をした玩具が、 二つの身体の間を行ったり来たりするうちは、 時はゆっくりとしか進まない。
この快感は遅効性の毒だ。少しずつ少しずつ淫らになる。 のろのろと、だけど着実に高まる悦び。 まだ絶頂は遠いけれど、スロウリィ・バット・シュアリィ。 なかにいれて、と、あなたは彼にお願いしたくてたまらない。 でも、もう少し我慢して。
二人はもっと遅くなれるはずだから。 ゆっくり進めばそれだけ恋は長持ちする、ような気がするから。 この愉悦。この恋愛。 どんどんスロゥになって……いっそ永遠になればいい。
――時間よ止まれ。愛し合う二人にはそれだけの価値がある。
【川奈まり子】
コラムニスト。元AV熟女女優。1967年11月9日生まれ。A型。
2004年にAV界引退後、エッセイ、官能小説などの執筆で活躍中。
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