上田家の母親が、長男とその婚約者との夜の営みを覗いている…
それは弓子さんがこれまで私に話してくれたどんなセクシャルな話よりも
刺激が強すぎた。
「この間の夜、繁之さんがあまりにも激しく私を責めてくるから、
ついいややいややと喘ぎ声をあげたの。
ふと何気なく目を薄く開けてしまったのね。
気配を感じたというのかな?
ドアが少し開いていて、そのすき間から繁之さんのお母さんが覗いていたの。
しかも目があってしまって…怖かったわ」
その後も気配を感じ、
夜の営みがやりつらくなってきたのだという。
「結婚式まであと1ヶ月。憂うつだわ。
私達だけで暮らしたいけど、繁之さんがそれは無理だって」
いつになく沈んでいた弓子さん。
でも彼女はあっという間に、元の妖しいまでの色気を発するようになった。
それはある日の午後だった。
いつものようにエステの帰りに銀座へ買い物に行く予定だったが、
弓子さんは銀座一丁目のブルガリ近くで車から降りた。
1時間半後に、松屋裏のスタバで待ち合わせ。
駐車場に車を入れてから、私は一人で銀座を歩いた。
すると年齢問わず、すれ違っていく男性達は私を“女”として見ていく。
今日の私の装いは、ブランドはエルメスのスカーフだけだったが
メイクはほぼ弓子さんそっくり。
似てきたのは、ファッションやメイクだけでなく、彼女の官能性もかしら?
自分が女として変わっていったことを試してみたくなった。
1時間半後――
弓子さんは上気した顔で、少し遅れてスタバへやってきた。
彼女の体からは――
ゆらゆらとむせるような官能が漂っていた。
とっさに私は
「セックスしてきたんですか?」
と聞いてしまった。
弓子さんは素直に
「うん」
と嬉しそうに頷いて、煙草を吸い始めた。
「ホテルもたまにはいいわね。刺激的だったわ」
うふふ、と笑う弓子さん。
肌がいっそう張り、目が妖しく輝いていた。
翌日は高校の同窓会だった。
仕事が終わってから、上田家のバスを使わせてもらって
ミックスベリーの香りのするシャーベットみたいなソルトで
念入りにマッサージをしてから弓子さんにメイクをしてもらった。
鏡に映った私達は、どこか似ていた。
メイクのせいだけでない。
私の体からも弓子さんと同じ匂いが漂っているような気がした。
私達は鏡の前で微笑みあった。
まるで同士のように。
同窓会の二次会は渋谷のバーだった。
三人の男性に囲まれて、私は酔っていた。
終電近くなって、三人のうち家が同じ方角の男性に誘われて、
彼のマンションへ。
親から独立して一人住まいの男性の部屋へ入るのは、初めてだった。
ベッドに入る前にそのことを言ったら「可愛いね」と抱きしめられた。
ふわっとした心地になって、そのまま彼に委ねた……
同級生はすぐに私の中に入ってきた。
まだ濡れていないので
「痛い」と言ったら、
「初めてなの?」と聞いた。
わかりきった嘘をつくのは嫌だけど、気持ちと裏腹に
「そう」と頷くと、同級生は「燃えてきた」と激しく腰を動かした。
後ろからも攻められた。
乳首をつままれ、
敏感な部分を指で一緒に愛撫されて私は絶頂の声をあげた。
終わった後で
「君、すごい女の匂いがする」とまた抱きしめられた。
そしてまた私の中へ入ろうとした…
翌日、同級生から来週のデートの誘いが携帯メールに。
弓子さんに報告すると
「左のクローゼットから好きな服をもっていっていいわよ」
そこで弓子さんが繁之さんと外出したときに、
私は弓子さんの部屋で服を選んでいた。
ふと、二人の寝室を見たくなってしまった。
好奇心が私の体の奥から湧き出てきた。
上田家は全員外出していたので、チャンスは今しかない。
私はこっそりと寝室へ忍び込んだ。
そこは巨大なダブルベッドとベッドの脇のサイドテーブル、
鏡、クローゼットだけのシンプルな部屋だった。
シルクのシーツを施したベッドは触り心地が良く、スプリングも最高。
そっと横になって体を伸ばし、シルクの感触を肌で感じて、
左右に動いてスプリングの具合をチェックしていた。
誰かが部屋を覗いていた。
目があってしまった。