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官能小説 【となりのS王子小説版】恋におちたら 第2話
好きになっちゃったのかな……?
気持ちを切り替えて仕事をしていても、やっぱり、千夏さんと田中さんのことが気になって仕方がない。
気が付かないうちに、田中さんのこと、結構好きになっちゃってるのかなぁ……。
恋は時間じゃないって言うし。
千夏さんと田中さんのことがぐるぐると頭の中を巡る。
ダメダメ!仕事に集中しなきゃ!また残業になっちゃうよ……!
私はかぶりを振ると、パソコンの画面に視線を移した。
ライバルは千夏さん!?
あれからも、千夏さんと田中さんは仲が良さそうに話していることが多い。
気にしないようにしてるけど、同じチームで仕事をしてるし、ついつい二人に目がいってしまう。
「はぁ……」
エレベーターのドアが閉まり、一人きりになると思わず溜め息がこぼれた。
千夏さんも田中さんのこと、好きだったりするのかな……。
私は少し気分転換をしようと、休憩室に向かっていた。ワンフロアが休憩室になっていて、どの部署の人でも自由に使える。
あそこなら、一人になれるし、煮詰まってた企画も進められるかな。
エレベーターのドアが開くと、不規則に並べられたテーブルと数名の人がいるのが見えた。
寝てる人、仕事をしてる人、談笑してる人、いろんな人を横目に私は自販機に向かう。
「えっ……」
自販機に一番近いテーブルになぜか千夏さんがいた。
どうしよう……。
タイミング悪いっていうかなんていうか……。
私が戸惑っていると、私に気が付いた千夏さんがにっこりと微笑みかけてきた。
「お疲れ様。香奈も休憩?」
「ちょっと気分転換でもしようかなって思って……?」
「一緒にどう?」
「はい……!」
私は自販機でジュースを購入すると、千夏さんのいるテーブルの向かいに座った。
「どう?仕事は順調?」
「はい。多少、煮詰まってはいますけど……」
「そういう時は外出してもいいからね」
「え?」
「仕事で必要なヒントは社内じゃなくて、外にもあるってことよ。トレンドはネットで見つけるだけじゃなくて、自分の足で探すのも大切だからね」
「そんなこと考えたこともなかったです……」
「私も編集長に教えてもらったのよ。休憩室で気分転換するのもいいけど、外の方が良いアイデア浮かぶこともあるしね」
仕事のことを穏やかに話す千夏さんはとてもキレイだ。
千夏さんって、仕事も出来るし、後輩にも優しいし、本当に非の打ちどころがないんだよね。
「あの……千夏さんって、田中さんと仲良しですよね」
「え?」
一瞬、千夏さんの顔が曇るのを私は見逃さなかった。
「いいなー、私も田中さんと仲良くなりたーい!」
私は無邪気を装って言う。こうでもしないと、千夏さんの本心は探れない。
「香奈……」
「はい……?」
「絶対やめた方がいいから!」
「どうしてですか?」
「どうしてもよ……!」
「……」
千夏さんの迫力に押されて、私はそれ以上も何も訊けなかった。
「それじゃあ、私は先に仕事に戻るわね」
「はい……」
千夏さんは立ち上がると、颯爽とエレベーターの方へと向かって行った。
気分転換のつもりだったけど、なんか余計にモヤモヤしちゃったかも……。
あんなに強く田中さんのことをやめた方がいいって言うなんて、ちょっと不自然だよね?
もしかして、千夏さんって田中さんのことが気になってる……?
でも、そんなことないかなぁ。千夏さん、仕事が恋人って感じだし、職場で恋愛しなさそうだし。千夏さんがライバルだと困る。私、若さくらいしか、千夏さんに勝てるところがない……。
見てはいけないもの
休憩室を後にした私は、編集部に戻る前、紅茶を淹れようと、給湯室に寄ることにした。
私が給湯室に入ろうとしたその瞬間――。
「嘘……」
私は自分の目を疑った。
シンクを背に千夏さんの顔がちらりと見える。そして、その前に立ちはだかっているのは、紛れもなく田中さんだった。
一体、どういうこと……?
私は給湯室に入ることも出来ずに踵を返した。
追いかける恋……?
仕事をしていても、さっきの千夏さんと田中さんの姿がちらついて集中出来ない。
最近の私、仕事に身が入ってないよね……。
こんなんじゃ、編集者としてダメなのはわかってるけど、好きな人があまりに身近すぎるとこんなにも気になっちゃうものなんだなぁ……。
社内恋愛ってしたことないけど、あんまり精神衛生上良くないかも。
それにしても、あの二人どういう関係なんだろう……?
田中さんが千夏さんに迫っているように見えたけど、千夏さんが田中さんを好きなんじゃなくて、田中さんが千夏さんを好きってこと?
あー!もうわかんなくなってきた……。
次は田中さんを狙おうって軽い気持ちだったけど、もしかして、私、本気になっちゃってるのかな?
まさかね……。私が追いかける恋なんて。
好きなものは好き
色々考えたけれど、結局、私は自分の気持ちを優先することにした。
好きなものは好き。
ライバルが千夏さんだろうが、田中さんが千夏さんを好きだろうが、とにかく、自分の気持ちには素直に動かないと。
そうじなきゃ、絶対に後悔する。
だから、私は千夏さんに一つのお願いをすることにした。
「千夏さーん!」
私は廊下を歩いている千夏さんに背後から声をかける。千夏さんは振り向いて、私を見つけると笑顔を向けてくれた。
「今日、ランチ一緒に行きませんか?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、お昼休みに♪」
私は用件だけ伝えると、千夏さんを追い抜いていく。千夏さんの先に田中さんが見えたからだった。急いで田中さんの元へと駆け寄る。
「田中さん!」
「あ、柴田さん、お疲れ様」
「ちょうど良かったです。前に言ってたオススメの紅茶、今日持って来たんですよ。どうせなら、新しいものをと思ってお店に行ったんですけど、ちょうど欠品してて。昨日、入荷したんで受け取りに行ってきたんです」
「本当ですか?わざわざ、すみません。ありがとうございます」
「私、今から、紅茶を淹れに給湯室行くんですけど、田中さんも一緒にいかがですか?」
「うん、ぜひ」
ふふっ、やった!
田中さんと二人きりになれるなんてラッキー♪
やっぱり、こういう時は行動あるのみだよね!
私は田中さんの隣を歩きながら、ニヤけてしまいそうになっていた。
協力要請!?
私は千夏さんと会社から少し離れたカフェにやって来ていた。
ゆったりとしたソファとオシャレなインテリアが印象的な店内には、心地良いジャズがかかっている。
本日のオススメベーグルランチを前に私は深呼吸をした。
千夏さんに言うと決めてはいたけれど、やっぱり、緊張しちゃうな……。
でも、しっかり言わないと……!
「実は、千夏さんに相談があるんです」
「相談?仕事のこと?」
千夏さんはサラダを口に運びながら、私を見た。
「いえ……。田中さんのことなんですけど……」
「田中くんのこと?」
千夏さんは少し驚いたように手を止めた。
「それって――」
「私、田中さんが好きなんです」
千夏さんが何か言いかけたのを遮って、私は自分の思っていることを口にした。
思いの外、千夏さんは取り乱している様子もないし、田中さんを好きだっていうのは、私の思い込みだったのかもれしない。
「千夏さん、協力してくれませんか?」
私は緊張しながら、千夏さんの言葉を待った。
「わかった。仕事に支障がない範囲で協力するわ」
「わぁい!ありがとうございます!」
良かったぁ……!
やっぱり、二人は付き合ってなんかないし、千夏さんは田中さんのことを好きなじゃなかったんだ!
でも、まだまだ気が抜けないよね。田中さん狙いの女の子たち、いっぱいいるし……。
よーし!田中さんゲット目指して頑張ろうっと♪
さりげないお誘い
私はウキウキしながら、いつものように給湯室で紅茶を淹れていた。
う〜ん、いい香り♪
「お疲れ様〜」
「お疲れ様です」
編集長がマグカップ片手に給湯室に入って来た。
なんだ、田中さんじゃないのか……。
て、がっかりするなんて、編集長に失礼だよね。
「あれ?香奈ちゃん、新しい紅茶?」
「編集長、よく気が付きましたね」
「香奈ちゃんがいつも飲んでる紅茶と香りが違うなって思ってさ」
「この間、編集長と食事に行った時に飲んだ紅茶が美味しくって、あのお店で買っちゃいました」
「ああ、あのお店の紅茶だったんだ」
編集長はドリップコーヒーを淹れながら、私の方をちらりと見た。
「また時間が合う時にでも食事に行こっか。香奈ちゃんの好きそうなお店、他にもあるし」
「本当ですかー!?嬉しいです♪」
「その代わり、バリバリ働いてもらうからね」
「はーい!」
冗談めかして言う編集長に私は笑顔で返事をする。
また編集長に素敵なお店に連れてってもらえるなんて、楽しみだなぁ。
お店の雰囲気も良かったし、料理も美味しかったし、編集長の話も面白かったし、本当に楽しい夜だったんだよね。
「それじゃあ、仕事頑張ってね」
編集長はマグカップを手に給湯室を出る直前、私の頭をぽんぽんと撫でていった。
このご時世、頭ポンポンしても“セクハラ!”って言われないのは、編集長の人柄なんだろうなぁ……。
編集長ってみんなのお兄ちゃんって感じだし。千夏さんにも前に同じことしてしたしね。
でも……。
私は編集長に撫でられた頭にそっと触れる。
編集長の手、大きくてあったかかったなぁ……。
あらすじ
意中の瑛太が千夏と
職場で親しげにしているのを目にしてしまった加奈。
二人の関係がどういうものなのか気になって、
ついつい目を奪われてしまう。
「二人は付き合ってるのかな…?」
気が散ってしまい、仕事に集中できない
加奈は社内の休憩スペースで
気分転換することに。
しかし、そこには千夏がいて…。