女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 今夜は寝かせない濃厚H
奈々枝(37歳)の体験談
彬との約束の時間まで、まだ、25分あった。
奈々枝は待ち合わせ場所の、ホテルのロビー正面の磨きこまれた、ウィンドウに映る自分の姿を確認する。
(…ジョーゼットのワンピースにハイヒールなんて久しぶりだわ)
普段は、ジーンズにシャツ、その上に丈夫な帆布のエプロンをかけ、足元はスニーカーで立ち働く奈々枝なのだ。
そこに、
「奈々枝!」
聞きまちがえるはずのない恋人の声。奈々枝のおとなしやかな顔立ちから、自然な笑みが溢れ出た。
「本当に久しぶりね。メールは毎日してたけど」
「うん、ずっと会いたかった。まず、食事に行こうか。それから――」
奈々枝は、父の代から受け継いだ花屋で働いている。
定休日は一応、第二木曜日だが、クリスマスやバレンタインデーといった、イベントデーに休みはない。
父親は奈々枝が高校生のとき、急死した。
しかし、もともと花が大好きだった奈々枝は、
高校卒業後にフラワーコーディネーターの資格を取り、店を切り盛り、
現在に至っている。
不満があるとすれば、恋人と人並みなデートができないことだろう。
同じ町内に育ったひとつ年下の38歳の彬は、外資系の商社マンで、
昨年、本社に栄転した後は、月の半分は海外出張するような身上なのだ。
彼女とは、1年以上ゆっくり過ごしていない――
会えないことを奈々枝以上に不満に思っていた彬は、大きな商談をまとめた後、奈々枝の休みにあわせて有給をもぎ取った。
そして、ようやく今夜2人は、ほぼ1年ぶりのゆったりとした時間を共有できるまでにこぎつけたのだ。
レストランのコース料理を堪能した後、彬は部屋を取ってあると、奈々枝に言った。
「奈々枝に会いたかった。抱きたかったよ」
ドアを閉めたとたん彬は奈々枝をきつく抱きしめ、奈々枝も彬の背中に手を廻し、うなずいた。
花言葉は“恋にもだえる心”
そのとき、奈々枝の手から持っていたブーケがこぼれ落ちた。
「なんだい? 可愛いブーケだね」
「このお花、知ってる?」
彬が拾い上げたブーケは、赤いハート型の小さなものだった。
「なんだろう? 観葉植物みたいだけど」
「近いわ。アンスリウムっていうの。カラーとか、わかりやすくたとえればサトイモの仲間よ。この赤いハートは花じゃなくて、苞(ほう)なの。…ねぇ、彬、この花の、花言葉、知ってる?」
「いや、そういうのは、奈々枝の得意分野だろう?」
奈々枝は、顔を伏せて言葉をつむいだ。自分に正直になることが、それを言葉にすることが、気恥ずかしかったのだ。
「…あのね、花言葉は…煩悩、とか、恋にもだえる心…っていうの。彬にずっと会いたかった…私が作ったのよ。私の気持ち…」
「だったら、今夜は朝まで寝かさないかもしれない」
彬はその言葉を聞いて、奈々枝を抱き上げてベッドに降ろした。
「奈々枝、明日は定休日だったよね?」
「ええ…」
「だったら、今夜は朝まで寝かさないかもしれない」
せめてシャワーを浴びたいという奈々枝の希望は、強引な彬によって却下された。部屋のライトも煌々と明るい。
そんな中での久しぶりのエッチ。奈々枝が拗ねた様子を見せると、
「恥ずかしいのなら、ちょっとサービスしてあげる。うつぶせになってごらん?いいものを持ってきてるんだ。肩と背中をマッサージしてあげる」
奈々枝は恋人の大きな手のひらに身体を任せて、うっとりと目をつぶった。