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官能小説 恋のメイクレッスン 1話
3年目の衝撃
★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の金賞作品です。ドキドキの小説をお楽しみください。
「昨日、瀬戸君が彼女っぽい女の子と歩いているところを見ちゃった」
新緑が鮮やかに都会の街を彩る頃。
古民家をリノベーションしたお洒落なカフェでランチを楽しんでいた私は、突然親友が放った言葉に胸を鋭利な刃物で突き抜かれるような衝撃を感じ、懸命に平常心を保とうと目の前の冷めきったコーヒーを飲み干した。
口内に苦みと酸味が混ざり合い、今の自分の気持ちに似ているなと思わず自嘲の笑みがこぼれる。
(――ついにこの日が来てしまったか)
キャンパスライフ三年目にして片思い三年目。
人間、三年もの時間があれば好きな人もできるし、結婚する人だって少なくない。
これは誰にだって起こり得ることだし、私が片思いをしている相手――同じ大学の同級生の瀬戸一樹も例外ではないことは火を見ることより明らかだ。
しかし、そんな中にも例外はいる。
私、藤森ひなたは二十年間生きてきた中で、好きな人ができても何のアクションも起こせず、ただ指を咥えて見ているだけしかできない。そんな内気な性格のせいで彼氏はおろか、今までまともに異性と話したこともない。彼氏いない歴=年齢の処女なのである。
(――自分に自信がない。不甲斐なさが情けない)
発端の言葉を口にした大学の同級生で親友の長峰花織は、表情を曇らせながらこちらを伺うように髪の毛を耳にかけた。
ふわりとした深い栗色のボブヘアーは窓からの日差しを受けて艶やかにきらめいている。
ぱっちりとした目に朝露に濡れた小さな蕾のような唇。主張しすぎないナチュラルなメイク。
小動物を連想させるような可愛らしい容姿と裏腹に姉御肌の花織は、そのギャップも相まって男の子にかなり人気のある女の子だ。
一方の私は黒のロングヘアーを低い位置で一つに束ね、前髪は目よりもずいぶん下まで伸びている。前髪の隙間からちらりと見える瞳に服装は地味――いや、良くいえばシンプルなものが多く、恋愛ごとには臆病。
地味で内気な性格の私と華やかで面倒見のよい性格の花織は、大学二年生の頃に同じ授業を受けていたことがきっかけで知り合い、すぐに仲良くなり今では親友同士だ。
正反対の二人がどうしてこんなに気が合うのかは本人たちもわからないが、一緒にいて心地のいい間柄なのは確かなことで、お互い欠かせない存在となっている。
じれったい彼女
――――――――
「瀬戸君のことどうするの?」
「どうするって、どうもできないよ……」
一緒に歩いていた女の子が彼女でも彼女候補だとしても自分の出る幕はない。
そもそも観ているだけの観客でしかない私には同じ舞台で争うだけの力がないのだ。
いきなり舞台に放り出されても身を守る盾も剣もない。
「まだ彼女だと断定したわけじゃないんだよ?まだ希望はあるって。瀬戸君のこと好きなんでしょう?」
「うん、そうだけど……私、地味で可愛くないし、瀬戸君が振り向いてくれるはずないよ」
「そうだね。今のひなたじゃ振り向いてもらえない。お洒落もメイクもしないし、恋愛も好きな人を見ているだけのうじうじした片思い。でも……」
花織はおもむろにテーブルから身を乗り出すと、私の前髪を持ち上げ額を露わにさせる。
「ひゃっ、なにするの!?」
私は突然のことに思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。普段前髪で顔を隠し、人前で素顔を曝け出したことがないため、至近距離で花織に素顔を見られて驚き目を白黒させる。
「うん、やっぱり!初めて見た時から思っていたけど、ヘアスタイルとメイクをなんとかすればいけるかも!」
花織は私の顔をまじまじと見つめると、予想外の出来事に困惑する私をよそにニコリと微笑み、持ち上げた前髪を放すとスマートフォンを取り出して誰かにメールをしているようだった。
「なんの話?」
やっと額から手が離れたことに安堵し手櫛で前髪を元に戻すと、目の前ではなにかを企んでいるような顔をした花織が頬杖をついている。
「瀬戸君に女の子として見られたいと思わない?」
「え……?そりゃあ、そう思うけど」
「じゃあどうして今までメイクとかお洒落をしようと思わなかったの?瀬戸君のために綺麗になりたいと思わなかった?」
「それは……」
私は自分を落ち着かせるように小さく深呼吸をした。
「私も花織みたいに可愛くなりたい。けど、自分がメイクして可愛い服を着て出歩くなんて想像もできなくて、それにやってみたとして他人に変に思われないか怖くて……どうしても自分に自信が持てないの」
「せっかく綺麗な顔立ちしているのに前髪で顔隠して、地味な服装している今の方がよっぽど変だよ。自信がないならつければいいんでしょ?」
「綺麗って、そんな……自信なんてどうつければいいの?」
初めて自分の容姿を家族以外の人に褒められて、どこか照れくさくなり頬が赤く染まる。
花織はそんな私をニヤリと眺めるとまたスマートフォンに視線を移す。
「よし、オッケーもらえたから今からひなたのアパート行って持ち合わせの服を見て、それから私の家行くよ!」
「今日は金曜日だから、土日はみっちり特訓だよ!」と言いながら、花織は遠足前の小学生のように浮かれながらテーブルの端に置かれた伝票を手に取ると、ぽかんとしている私を置いてさっさとレジへ向かってしまう。
「置いて行かないで−!」
我に返り、慌てて後を追う私はこれから起こる魔法のような出来事をまだ知る由もない。
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あらすじ
ひなたは彼氏いない歴=年齢の処女。
ある日ひなたは、大学1年生から3年間の片想いの彼「瀬戸一樹」が彼女といるところを見たという親友からのたれこみを受ける…。