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官能小説 心も体もつながる夜は 2話

誠実な人

昔の苦い体験から軽い男性不信に陥っていた美冬は、仕事で接点の多い知宏とも常に一線を画した付き合いをしていた。
会社ではきちんとコミュニケーションを取っても、それ以上は全てシャットアウト。
彼みたいに社交的でモテる男性は懲り懲りだというのもあったし、変に関係を誤解されて他の女子社員から誤解されるのも嫌だった。

だがそうやって必死に距離を取っていたのに、自分にきゃあきゃあ言わない美冬が珍しかったのか、単に興味を引かれたのか、彼はやけにこちらに構ってくるようになった。
食事に誘ったり、髪型を褒めたり、新商品のお菓子を買ってきてくれたり。個人的な連絡先も、会社支給の携帯が繋がらなかった時のために、と言って無理やり押し付けられた。
――――どうせ彼も、地味な自分をからかって遊んでやろうと思ってるだけのくせに。
完全に後ろ向きになっていた美冬は、そう判断して徹底的に避け続けた。
残業の後に夕食をごちそうしてあげると言われた時には早く帰りたいのでと断り、ならばせめて昼食には一緒に行こうと誘われた時には、次の日から弁当を持参して自席で食べる。
もらったお菓子も、『せっかくいただいたのに申し訳ないのですが、今ダイエット中なので』と丁重にお断りした。

うん、ここまでやったらすぐに遊びにも飽きるだろう。
そう思っていたのに、なぜか彼は全然めげなかった。飽きないどころかどんどん距離を詰めてくる。へこたれない。
いい加減からかうのは諦めればいいのに、それが1年経ち、2年経ち、とうとう3年が過ぎ、結局根負けしたのは美冬の方だった。

「飯塚さん。あの、大変申し上げにくいんですが……個人的なお付き合いをするつもりはないので、もうお誘いはやめていただけますか」

今日もまた一緒に夕食をどうかと誘ってきた彼に、美冬はおずおずと返事をする。告げた言葉はマイナスな内容なのに、美冬が喋った途端、彼はぱっと顔を輝かせた。

「おお!相川さんがやっと仕事以外の返事をしてくれた!」
「いえ、あの……、多分初めてではないはずです」

一応食事を断る時には会話が成立していたはずだ。
だがそんなことより、彼のあまりにも嬉しそうな顔にたじろぐ。笑うと垂れ目が余計に垂れて、なんだか子犬のようだと思ってしまった。

「初めてだよ!俺、ずっと前から必死になって好きアピールしてるのに、完全無視だからさ。もう最近はそういうプレイなのかと思って逆に楽しくなってた」

あはは、と笑う彼の後ろを、彼と仲の良い何人かの同僚がニヤニヤしながら通り過ぎていく。
中には彼の背中をドンと叩いて祝福の言葉を述べる者もいた。
好きとは一体どういうことだろう、とポカンとして見つめれば、彼は小さく首をかしげる。

「……え、俺が相川さんを好きだって伝わってたよね?」
「………………いえ、私をからかって遊びたかっただけなんじゃ………」
「はああああ?!」

違うから!なんでそうなるんだ!と叫んだあと、彼が必死になって伝えてきたのは、美冬への恋心。いつもは堂々としているイケメンが取り乱し、延々と美冬の好ましいところを並べ立てるものだから、つい釣られて赤面してしまった。
ちなみに配属後の顔合わせで一目惚れして、それから真面目で素朴な性格に惹かれていったらしい。
一体どう返事しようかと悩んでいると、ふと、課内の全員がこちらに注目していることに気が付いた。もう遅い時間だったから残っている人間は少なかったとはいえ、とんでもない事態だ。

「……!!い、飯塚さんっ、とりあえず場所を変えましょうっ」

そしてその日、美冬は初めて彼と食事に行った。
3年間の実績を元に好きだと言われれば信じざるを得ないが、これまでただ自分をからかっていると思っていた相手なのだ、まさか突然恋愛感情が湧くはずもない。それにやっぱり男性は苦手だ。
だからごめんなさい無理です、と言いかけた美冬に彼が提案したのは、

「ちょっと待った!もうここまで待ったら10年でも20年でも同じだ。いつまでかかってもいい、振り向いてくれるまで頑張るから、チャンスをくれないか」
「……でも」
「今はただの友達でいい、でも俺を知ってから返事をして欲しいんだ。本当に相川さんのことが好きなんだ!」

じっと真剣な目で見つめられて、美冬は仕方なく頷いた。

「…………お友達で、いいのなら」



知宏

手を握る男女

それから美冬は、『友達として』知宏と付き合うようになった。
友達だから名前で呼ぶし、友達だからたまに一緒に食事にも行く。友達だからドライブにも誘われた。友達だから毎日おやすみメッセージがきて、友達だからと誕生日プレゼントももらった。
あれ、これってただの友達じゃないのでは……と我に返った頃にはもう2年近くも経っていて、いつの間にか自分も彼に恋をしていることに気付く。
散々悩んだ末、彼に甘えてばかりではだめだと勇気を振り絞って告白すれば、潰されそうなくらい強い力で抱きしめられた。

「美冬、俺たちはゆっくりなペースで進んでいこうな」
「……いいの?」
「言っただろ、俺は10年でも20年でも待つって」

友達として付き合っていた頃に話した過去の件を気遣ってくれたのだろう。
今思えば美冬のトラウマなんて、異性関係のだらしない男に騙されたちょっとバカな女の、どこにでもある陳腐な色恋沙汰かもしれない。そう思えるようになったのも全て知宏のおかげだった。
どこまでも優しい彼に包まれて、美冬はとても幸せだった。

だから付き合って半年して彼の部屋に誘われた時も、彼女は全てを覚悟の上で付いて行った。
知宏のことは本当に好きだ。身も心も結ばれたいと思っているのは自分も同じだし、彼はあの酷かった元カレとは全然違う。
だが美冬の体はそうではなかったようで、蕩けるような甘い愛撫のあと、いざ挿入となった時に硬直して動かなくなった。かつての激痛がフラッシュバックして、涙が溢れる。

「ごめん、俺が急ぎすぎたな」
「違うのっ!ごめんなさい……っ、私、本当に知宏のこと好きなんだよ?!」
「分かってる。でも心と体は別だから。前に言っただろ、ゆっくりでいいって」
「……ごめんなさい……」

それからもう一度チャレンジしても結果は同じだった。
前戯は気持ちいいのに、挿入が怖い。それを意識した途端に恐怖から身を縮めてしまい、余計に入らなくなる。
美冬はどうしようもないループに入り込んでしまったのだ。

【NEXT】美冬が意気消沈して自宅に帰ると…?!(心も体もつながる夜は 3話)

あらすじ

過去の苦い経験から男性不信だった美冬は、
今の恋人である知宏とも一線を画した付き合いをしていた。
男性は仕事以外一切シャットアウトな美冬は、
知宏のアプローチに警戒し徹底的に避け続けた…。

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