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【前編】恋愛とセックスのかけ算/26歳 英美里の場合
奇抜な格好をした店員
顔に向かって、ポッポッっと煙草の煙で作った輪を飛ばされた。なぜか、シャボン玉で遊んだ子供の頃を思い出す。
ユキヤは英美里のカッパーに染めた長い髪を、クイっと引っ張りながら言った。
「そろそろ煙草やめろよ。ガキじゃあるまいし」
ツルリとした卵顔にちょび髭のユキヤは、不機嫌そうに不満を吐き出す。
ヘアのトップをジェルでガッチリ固めて、”男”を主張している。
しかし、英美里は小さなあくびをして、ユキヤのズボンのベルトをはずし始めた。
くわえ煙草のままゆったりと動く。どこから見ても”けばい性悪女”だ。正直、ユキヤのタイプではない。ユキヤはアイドルグループの後ろの方にいる名前がわからないような女の子が好みなのだ。なのになぜ好みでない女を、自分の部屋に入れている……?
ユキヤが渋谷のファッションビルに、妹の誕生日プレゼントを買いに行った日のこと。まさに給料日。ハンドルがピンクのフリルになってるバックが欲しいとねだられ、兄ちゃん風を吹かせて渋谷に向かった。写メをもらっていたので、一人で探せると思っていた。
店は見つけたもののフリルの色が薄紫やら濃い目のピンクやらあって、写メとよく似たバックが5個並んでいる。いったいどれが欲しいのかわからない。妹は、バイト中でLINEがつながらない。
「何かお探しですか?」
振り向けばそこに”けばい店員”が立っていた。
髪の色は今より明るく、ピンクに近い色。原宿でしか見かけないような赤レザーのへそ出しワンピを着ている。細長い足は、紫色のタイツで包まれていた。さらに、ほっぺたが蜜柑みたいな色だった。
「あ……はい。取っ手がピンクのバッグとか言われ、どのピンクかなあって」
ユキヤは写メを見せた。
「こちらだと思いますよー。本体に薔薇の刺繍があるから」
英美里はゆっくりまばたきをしながらバッグをユキヤに渡す。カラコンを入れているのか栗色の瞳が愛らしい。奇抜な格好をした店員。
このタイプの女は敬遠していたが、話すと意外にいい感じ。ユキヤの胸にパっと花が咲いたような瞬間だった。
顧客カードを新規で作る時に、LINEを聞き出した。それが英美里との出会いだった。ひと月半、付き合ってみた。4回寝た。今回は、5回目になろうとしている。
英美里はソファにもたれているユキヤのボクサーパンツをずらし咥える。水玉リボン柄のふざけた柄パン。
「うっ……やべえ……」
英美里が両手を根本に添えて、唇でユキヤの分身と遊び始める。
「……気持ちいい……」
ユキヤは腕をソファについたまま、天井を見上げている。
これが気持ちよくて付き合ってんのか、俺は……?ユキヤは天井に問いかける。分からない。なぜ英美里と一緒にいるのか。
幸せな職場と、最低な家族
一汗かいたあと、英美里はユキヤの部屋を出て、電車で渋谷に向かった。
もういいや。ユキヤとは会わなくても。煙草やめろとかうざいし。なんかつまんなそうな顔してるし……。もう、部屋に戻る気はなかった。
英美里が働いているファッションビルは、駅前の雑踏の中にドカンとそびえ立っている。中学の頃から大好きだった街。そのドカンとそそり立つビルに行けば英美里の好きな服や靴や指輪に囲まれる。小遣いがなくて手に入らなくても見ているだけでいい。
子供向けの映画に出てくるような喋る雪だるまや喋る熊。それと同じようにヒラヒラのドレスや真っ赤なスカートが英美里に話しかけてくる。
「英美里ちゃん、私、きれいでしょ」
「英美里ちゃん、私、春の新作ブーツよ。バックリボンがしゃれてるでしょ」と。
きれいな服と友だちになれる。英美里だけのオシャレの世界。大人になったら絶対ここで働きたいと思った。大好きな服たちに一日中囲まれて、お客さんにそれを勧める。なんて素敵な仕事なんだ。
高校の時から4階の店でバイトを始め、そのまま正社員になった。
「好き!」の思いが仕事に反映される。幸せな職場だ。そんな職場とはうらはらに、英美里の家は最悪だった。
高校の頃、母が再婚相手と英美里より4つ下の拓馬という子供を連れてきて、同居し始めた。最初は母と英美里の様子をうかがうようにオドオドして暮らしていた拓馬。慣れてくると英美里の留守中、部屋にこっそり入ったり、風呂を覗くようになった。
そのことで義理の父と口論になったこともある。母が仲裁に入ると父はパチンコに出かけてしまう。そして夜中まで帰ってこない。
ある夜、居間で二人が話している声が聞こえてきた。
「年頃の娘と俺達が一緒に暮らすのは難しいと思ってたんだよ。別居するか」
母が泣きそうな声で言う。
「別居なんかいやよ。英美里にはちゃんと言い聞かすから。あの子が悪いのよ。色っぽい眼で拓馬を見るから……」
そんな母の言葉にむかついた。
再婚相手のために自分と娘を一段下に置いている。男にかしづく奴隷みたいだ。母は拓馬にやさしくし、英美里に辛くあたる。拓馬はつけあがる。最低の家族。
部屋で着替えていると、ドアの隙間から拓馬が覗いているのに気付いた。
「この変態男!童貞捨ててから来なよ」
すごい剣幕で怒鳴りつけた。
「ねえちゃん、一発やらしてくれよ。とうちゃんにやられる前にさ」
返す言葉がないほど腹が立った。手元にあった雑誌を投げつけ、ドアを思い切り閉めた。腐った家を出たくてバイトに励み、卒業と同時に正社員の座を勝ち取った。
初めての一人暮らし。家から開放された。スッキリしたと同時に、自分がまともな恋愛ができないことにうっすら気づいていた。
男なんてクソだ……。
レゲエバー
渋谷から15分ほど歩いたところにあるレゲエバー「JM」。英美里のお気に入りの場所。ピリ辛胡椒でパンチがきいたジャークチキンを頬張りながら、レゲエを楽しめるお店。煙草が進む。カウンター席とテーブルが5つ。英美里にはちょうどいい広さ。
ギザっとした気分の夜、メロウな旋律がそのギザギザのとがった部分を削ってくれる。BADBOYが流れてくると、柄にもなく涙腺が緩む。
「いつか彼氏とジャマイカ行きたいな。そいつとはあったかい家庭を作る。うちとは正反対の、ドラマに出てくるみたいな家。冬はトマト鍋とか囲んでみんな笑ってる家……」
そんな夢を見ながら、カウンターに座って煙草をくゆるらせる。リズムに合わせて身体を揺らす英美里に声をかけてきたのは、峻(シュン)だった。
「めずらしいー。女一人でレゲエバー?」
肩まで垂れたロン毛。胸をあけたアロハシャツ。胸毛が見える。日サロで焼いたとしか思えないほどのこんがり肌。180センチはあるだろうか、がっしりした身体。いかつい兄ちゃんかと思えば目はちんまりおさまっていて、やさしい微笑みを浮かべている。
「私は常連だよ。毎週来てる。あんたこそ、初めて見る顔だね」
「オレッチ、2回め。ダチ待ち……だったんだけど、ダチ来れなくなったから一緒に飲まないか?」
悪い奴ではなさそうだ。英美里にとってこの世で最低の悪い奴は、義理の父と拓馬しかいない。
「いーよ。座りなよ。あ、すみませーん。ラムのジュース割、こっちのおにいさんにもあげて」
英美里はカウンターの中にいるアフリカ系のバーテンに声かけた。
「ねえさん、慣れてるな。オレッチ、何、注文していいかわかんねえからビールしか飲んでないんだ」
「おいしいよ、アップルトンのラム酒。初めて飲んだとき、こんなおいしい酒作れる国あるんだって思った。給料貯めてジャマイカ行きたいんだ」
何時間、峻と語り合っただろう。ファッションの話、峻の日サロ通いの話、峻がほんとは多摩地区に住んでいるのにナンパする時は代々木に住んでると嘘をつく話。おもしろかった。
酔いが回ってふらっとするとでかい身体で支えてくれる。盛り上がった上腕がセクシーで頼もしく見える。
峻とはLINEを交換し、2週間後に寝た。デートと呼べるほどのデートではなく、待ち合わせてアイスコーヒーを飲んでその足でラブホテルという単純明快な寝方。
でかい男が自分の上に乗っかってくるのは、ちょっと怖い。オモリのような身体に、華奢な身体が押しつぶされてしまいそうな怖さ。峻は考慮して、腕で自分の体重を支えながら重くないように乗っかってくれた。
でも……痛かった。
滑稽に見える分身
英美里はダイエットをしているわけではないが、とことん細い体つきだ。お風呂場で鏡を見ると、鎖骨が出っ張っていて貧素な胸。もうちょっと豊満な身体になりたいと願っている。腕も足もスラッと細い。それをカバーするように、英美里は派手なデザインを好んだ。
大きめのアクセサリーを付ける。太いブレスレット、大きな玉の指輪。細い自分を少しでも派手に見せたい。
峻が英美里に体重をかけないよう、気遣いながら入ってくる。たくさん舐めてもらい、充分うるおっているはずなのに、お腹の中の袋がつんざけそうな痛みを感じた。
ピキっという音が聞こえるほどの。
「痛いっ」
思わず腰をずらす。シーツがよれる。
「まじ、無理。痛すぎ。なんで?」
峻が情けなさそうな顔をしている。
「わるい。オレッチ、でかいのよ。今までも痛がるおねえちゃん何人かいたよ。じゃあもっと舐めてやわらかくしたげるから、待って」
峻は分身を固く立たせたまま、また英美里の割れ目を味わい始めた。
ペチョペチョペチョ、思いっきり唾液を飛ばして頑張っている。早く挿入したくて、必死で奉仕してくれているという舐め方だ。英美里は感じようとするが、峻の舐め方にしらけてしまう。
「峻ちゃん、もう……いい……今日はやめよう」
「うげっ?今、痛くないようしてあげるから待ってくれよう」
峻が顔を上げる。口の周りがテラテラ光り、いまだ萎えていない分身が滑稽に見える。余計にしらけてしまった。
英美里はベッドから立ち上がり、足早でバスルームに逃げる。
「峻ちゃーん、忘れてた。わたし、明日早番だったわー。店長になれるかどうかの瀬戸際だから、遅刻できない。帰って寝るわ。ごめーーん」
バスルームから顔をのぞかせて、明るく告げる。
大きなベッドの真ん中に峻はあぐらをかいて座っている。股間はまだまっすぐ上に向かって、英美里を待っていた。
21時、店の掃除も終わり、渋谷の雑踏に紛れ込む。今日もよく働いた。気分は上々だ。
ユキヤと峻から入ったLINEメッセージが溜まっていることに気づく。ユキヤからは、着信も何回かある。無視だ。どうでもいい。
それより疲れた。立ち仕事に慣れたつもりでもやはりふくらはぎがパンパンだ。最近は足つぼマッサージやフットリフレが安くなっているので気軽に行くことができる。さらにネットクーポンを使えば安くなる。
英美里はスマホでクーポンを探す。
「タイムサービス割あり。足つぼスイレンハウス」
新しくできたマッサージ店だ。時々使う定食屋の8階。英美里は電話で予約して店に向かう。
「いらっしゃいませ。当店は女性マッサージ師と男性マッサージ師を選べるシステムです。あいにく、現在、男性マッサージ師しかあいておりません」
太腿から下の感覚がないほど疲れていた。足首もガクガクしている。男性の方が力強くて効くのではと思った。
「いいすよ。男性の施術で。強めに押してもらいたいから」
カーテンで仕切られた個室。
睡蓮の絵が飾られ、お香の香りが立ち込める。間接照明は薄暗く、マッサージを受けながら寝てくださいと言わんばかりのリラックス環境だ。
生姜の香りの足湯に両脚を浸すと、じんわり疲れが蒸発してゆく。流れがストップしていた血液がしだいに流れ始める感覚。冷え切った足の指に感覚が戻ってくる。
お湯の中で親指をヒクヒク動かしてみる。気持ちがいい。ホワーっと背伸びをする。背もたれが45度に倒れ、英美里の華奢な身体をしっかり包み込む。ウトウトしてしまう。
夢の中でも英美里はきれいな服やバッグに囲まれている。青い小鳥模様のワンピースが英美里に話しかけた。
「強めの圧がよろしいですか」
ハっと我に返る。
英美里の足元で英美里の足をタオルで拭きながら若い男は挨拶をする。
「担当のハオ・ランといいます、80分コースですね。強めが好みですか。かなり足がこっています」
「……はあ。強めで」
男が英美里の足裏を親指で撫でる。強めとは言え、最初はやさしくほぐす術を知っている。痛くはない。
足裏の中心線をていねいにほぐされると英美里の下半身に英気が蘇ってくる。ガソリンを足裏にある穴から注ぎ込まれているようだ。
マッサージという名の媚薬
「すっごく気持ちいい」
「毎日、何時間立っていますか。こんな固い足になるまで立ってはいけませんよ。靴も替えたほうがいいでしょう。幅がゆったりした靴がいいです。指が結束されていますよ」
「あ、はい。あの、日本語上手ね。中国の人でしょ」
「わたしのおばあさんが日本人なので、小さい頃から教えてもらいました」
「きれいな日本語」
働きはじめてギャル語は修正したつもりだが、あらためて正しい日本語を外国人から聞くとドキリとする。
男は足を揉みながら膝越しにちらりと上目遣いで英美里の顔を見上げる。きれいな二重まぶた。懐かしの歌謡曲番組で見る昭和の歌謡歌手のような髪型。少し長めで七三に分けている。
睡蓮のワンポイント刺繍が胸にある青い作業着を着ている。まじめそうな中国人。
ふくらはぎに男の指が移動する。足首から膝裏に向かって絶妙な圧で撫で上げる。英美里は股の奥がジンと疼くのを感じる。
「やだ、私、マッサージでこんな気分になるんだ……」
もやもやしながらもあまりに心地よく、とろけそうな気分。
「もっと……上まで」
つい口走ってしまって、恥ずかしくなる。
「あ、へんなこと言ってごめん。膝までのマッサージだよね」
男がニッコリ笑う。
「身体中カチコチです。次回は、全身マッサージ受けてください。そうすれば太もものマッサージもついていますから」
「そうする」
スイレンハウスを出て、一目散にアパートに戻った。
やばい。ほてってる。あそこが。したい。すぐにでもしたい。
狭い部屋の一人掛けソファに座り、英美里はパンティに手を突っ込む。マッサージの時からジンジン疼いていた突起が、英美里の指を待ち構えていた。
コロっと触る。ビクンとその周辺が震える。峻と痛い交わりをしたきり、こんな気分になったことはない。あの男が英美里の性の扉を叩いたのだ。
ハオ・ラン。
きれいな日本語を話し、親指が英美里の気持ちいいところを探る、あの男。
英美里は、毎日よく働いた。
地味な女の子がはじめて渋谷に服を買いに来て、英美里の勧めるコーディネートできらびやかに変身する瞬間に、何度も遭遇する。さらに、髪型や小物のアドバイスも忘れずに付け加える。そのたびに感謝され、喜ばれた。
地方からわざわざ買いに来る女の子たちは、英美里とLINEを交換したがるほどだった。そして、流行りのコーディネート、都会っぽい着こなし方を教えてくれとねだられる。
全員にLINEで教えていたら時間も足りないので、英美里は社長の許可を得てショップブログを立ち上げることにする。インスタとも連動させ、服だけでなく、渋谷のおすすめスポットも載せる。
クレープもパンケーキもアップルパイも……いい感じのフォトをどんどん更新した。それが好評で、売上も倍増。英美里は今や店長候補だった。だからこそ、つい頑張って働いてしまうのだ。残業もいとわない。
結果、下半身はパンパンに張ってしまう。スイレンハウス、行きたくてしかたない。足つぼマッサージもそうだが、ハオ・ランにさわってもらいたい。身体中を。
社割りで服が買えるとは言え、一人暮らしはそうそう余裕がない。たまには母に仕送りもしたい。英美里は夕食代を削ってお金を残すようにした。
ジャマイカ旅行は遠い夢……。
まずは、ハオ・ランのマッサージのために。
ユキヤからのLINEは途絶えた。峻からは毎日LINEが来るがスルーした。痛いセックス、情けない舐め方、物欲しそうなペニス。とても付き合う気にはならない。
給料日、スイレンハウスの予約を入れた。
「120分全身コース、アロマオイルで。ハオさん指名でお願いします。2割引きクーポンあるから」
「毎度ありがとうございます」
待ちに待った全身マッサージ。紙のショーツを履いてマッサージ台にうつ伏せになる。顔のところに穴があいていて、床が見える。
「お待たせしました。今日もお疲れですね。全身ほぐしてさしあげます」
低めの声が英美里の背中に降りかかる。
「ほ・ぐ・し・て・さ・し・あ・げ・ま・す」
なんてエロチックな言葉。その甘い言葉に英美里はすでに濡れていた。
想像以上の心地よさが英美里の背中を襲う。しっかりあたためた肉厚の手のひら。手のひら全体を使って細い英美里の身体を自由自在に撫で回す。
コリがある場所はやや強く、そうでない場所はソフトに。強弱がリズミカルで、まるでレゲエのリズムを刻んでいるかのようだ。
心地よい。すべての悪い奴を許してやってもいい心境になる。義父も拓馬も。ハンの手のひらには魔法の玉が埋め込まれてあるのではないか。
その時、腰骨をハンの手が鷲掴みにする。
我慢の限界
「あああぁぁぁ」
思わず喘ぎ声が漏れる。
「あっ、痛かったですか。失礼しました。この右の骨の奥に、コリがあります。左右対象の立ち方をしていない証拠です」
ハンが臀部をさすりながら、骨と筋肉の仕組みを説明し始めた。
お尻がムズムズする。筋肉の仕組みなんてどうでもよい。
触って。もっと触って。いろんなとこに。
次にハンは、太ももを揉み始めた。膝裏からヒップに向かって、英美里が触ってほしかった部位。でも、本当はもっと内側に指を這わせて欲しいのだ。
内股。そして、隙きあらば手が滑って、股間にタッチして欲しい……。妄想が広がってしまう。ハンの中指が、間違って股間に触れる。紙のショーツはすでにぐっしょりしていて、すぐに破れて……。
「お客様、震えてらっしゃいます。エアコン寒いですか」
ハンが話しかける。甘い妄想が消える。
「いいえ、だいじょぶ」
とろっとした目つきで英美里はハンに答える。ハンは察した。
「息が速いです。体温も上昇。うっすら汗が」
じっと英美里を見つめながら、ハンは耳元に顔を近づけて小声で問う。
「もっと、いいところをマッサージしましょうか。たとえば……ここ」
英美里の内股を指で押す。英美里は、声に出さずにうなずいた。
「誰にも内緒ですよ。約束してください」
もう一度、深くうなずく。そして、英美里は足を30センチほど開いた。
妄想したとおり、ハンが内股から股間に向かってさすってくれる。中指で中心部をツンツンとつつく。妄想と違って、紙のショーツはなかなか破れない。
「もっと、もっと上まで……」
ショーツの股上を横にずらし、ハンは英美里の入り口に数ミリ中指を入れ込む。ほんの数ミリ。
「うんっ……」
「シっ。静かにしてくださいね」
もうだめだ。我慢の限界。
英美里はムクっと起き上がり、ハンの耳元でコソコソ声で告げる。
「あんたにはじめてマッサージしてもらった日から毎日、こういうことされたいって思ってた。毎日、自分で……してた。あんたとしたい」
ハンは含み笑いをして、英美里の肩にバスタオルをハラっとかけた。
「僕は8時にあがります。円山町の入り口にあるカフェで待っててください。着替えてから行きます」
そういって、携帯番号が書いてある名刺を英美里に渡した。
カフェで2人、珈琲を飲んだ。カフェで2人、珈琲を飲んだ。峻とのときのようにお互いの身の上話など一切しない。ただ、その先にあるセックスのことばかり話していた。
「マッサージで血の巡りがよくなると、あっちもよくなるんですよ」
「あんたはどんなエッチをしてるの?エッチの前は女の子にいつもマッサージしてあげんの?」
「もちろん、必ずマッサージはします。車も走らせる前はエンジンふかすでしょう。それと一緒。まずあたためてあげて、万全の準備をしてから挑むのです」
「挑む?すごい表現だね」
「交わりは真剣勝負です。わたしはマッサージのプロですから、とくに身体の構造をよく知っています。普通の人よりは極楽に早くお連れできます」
「行きたい。極楽っていう世界に。私、お金出すからホテル一緒に行って。このために残業代貯めたんだし」
円山町のラブホテルはスイレンハウスとはちがい、さらにエロスを掻き立てた。
部屋には怪しげな照明が置かれていた。大型電マがかわいらしいポーチに入って、枕元に置かれている。さらに、イチゴ模様のコンドームが3枚あった。
「そうかあ、平均3回しなさいってことかあ」
英美里は、コンドームの数が気になった。
すると、ハンはいきなり全裸になり、英美里の服も脱がせる。英美里の身体を、自分の腕と腹部でマッサージし始めた。腹部を押し付けられる度に、分身が英美里の肌にまとわりつく。トロっとした液体が英美里の横腹につく。
「さきほどの続きをいたしましょう」
「ハンさん……はやく。わたし、どうにかなりそうだよ」
ハンは英美里の柔らかくなってきた深部に、あたたかい中指を突き刺した。お店でマッサージを受けた時は入り口で止まったが、今度こそ英美里の望む深さに達した。
「ああああん……あふれる……」
無重力空間
言葉通り、深部からネットリした液体がジュワッと滲み出る。
「マッサージオイルがいらないほどです」
ハンはその液体がついた指で、英美里の乳首のまわりをクルクルとマッサージをする。ヌルヌルとした感触に思わず声が漏れる。
「はあああぁぁぁ。感じるよ。おっぱい感じる……」
英美里の下半身が、ビクビクと震え始めた。
「マッサージで全身あたたまっていますからね。感じやすいでしょう。セックスは血の巡りをよくすると、いつもの倍、気持ちよくなります」
そう言って、ハンが英美里にキスをする。キスをしながらも、右手は臀部をマッサージしている。腰だけ無重力空間にいるようだ。何をしていても常にどこかをマッサージしている。プロの技。
「わたしもお返しにいいことしたげる」
今度は、英美里がハンの分身を口にする。口の中を真空にするがごとく、キュイーっと吸い上げる。
「おお、上手ですね。大きくなります」
ハンの分身はかなり膨らんだ。峻のモノが大きすぎて痛かったことを思い出す。だが、今夜はここまで濡れているのだから大丈夫だろう。
英美里は分身に、自分の唾液を充分なじませる。
「足を開いてください。できるだけ大きくですよ」
英美里は開脚する。恥ずかしくなどない。毎日、この日のことを妄想して一人で遊んできたのだ。
ハンが分身に手を添え、英美里の真ん中にジュグリと食い込ませる。満ちていた英美里の液が、シーツにほとばしる。
「うううううんん、いい。いい。痛くない……」
英美里がハンの首に手を巻き付け、キスをねだる。それに応えるように、ハンは舌先を口の中でレロレロと動かした。
股間ではハンの分身が円を描くように深く浅く動いていく。こんな複雑な動き方ができる男に当たったことがない。英美里は嬉しかった。単純なピストンだけでなく、英美里の膣壁の上に下に右に左に、ハンは自在に分身をこすりつける。
「あああ、気持ちいい。ハンさん。すごいよ」
英美里は昇り詰める。
「睡蓮が見えますか。睡蓮が見えると身体の中で嵐が吹きますよ」
腰骨から背骨を通って首筋、そして頭へ、快感の電流がかけ上がる。ビシっと頭で電球が割れる。
「きゃああああ、いっちゃうーーー」
一瞬、緑の池に浮かぶ薄藤色の睡蓮が見えた気がした。
ハンが一足遅れて、息を弾ませる。ハッハッハとわかりやすい息遣い。規則的に息を吐き出す。気持ちよさそうな顔。英美里の身体でこんなにいい気分で息を吐き出してくれるかと思うと誇らしい気持ちになる。
ハッハッハッハッという息遣いが段々と早くなると同時に、その間隔が短くなるハンは目をつむり、唇を食いしばる。仕事の時は七三に分けている髪の毛が、今は無造作に乱れている。ハンの顎から滴り落ちた汗が英美里の額を撫でる。
「わおうぅぅぅ」
ハンがのけぞる。
英美里の膝を持っていた両手を思い切り開いたので、英美里の足もさらに大きく開かれた。筋肉に負荷がかかるほど大きく。身体の一番深いところめがけてハンの性が放たれた。ハンも睡蓮を見つけた。
イチゴのコンドームの袋が3つ開いた。英美里は全身の力が抜け、ぐったりしている。
マッサージと並行して行われるセックス。ふくらはぎの疲れも、右腰の腰痛も消えている。ハンは、英美里のおっぱいを舐め始め、4回目に挑もうとしている。
「ちょい待って……もう限界かも……」
「そうですか?英美里さんの身体、とてもよいです。身体のコリは全部取りましたので、元気になったはずです」
「ハンさん、どうしてそんな絶倫なんだ?何食べてる?中国の精力がつく食べもの?」
「給料そんなないから、高価な食材は食べません。にんにくと玉ねぎはたくさん料理に入れます。お客さんに食事誘われた時はスッポン食べます。ヌルヌルした食材はここが元気になる」
ハンは分身を指差す。分身が何もしなくてもむっくりと起き上がる。
「すごい。生きてるみたい……」
英美里は目を見張る。
「中国の家族から、漢方も送ってもらいます。日本で買うと高いから」
「すごいよ。こんなに何回もエッチできる男の人、初めて会った」
「また、会ってくれますか?」
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あらすじ
主人公・英美里は、いつか彼氏とジャマイカに行きたいという夢を抱きつつ、一人レゲエバーで煙草を燻らせていた。
すると、峻という男が話しかけて来た。
肩まで垂れたロン毛、日サロで焼いたとしか思えないほどのこんがり肌だが、悪い奴ではなさそうということで相席した。
そして、LINEを交換し、2週間後に寝た。
だが、峻の一物は大きすぎてとてもじゃないが痛すぎると感じた。