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官能小説 秘密の氷が溶ける音 3話

心に突き刺さる冷たい氷

電車の中で男性に手をひかれる女性


前回一緒に食事をしてから4日後。
また洋平が声をかけてくれて食事をした帰り、私の降りる駅に向けて、電車がスピードを落とし始める。

「今夜は、送らせてよ」

洋平は、私の手を取って立ちあがった。

その手を離す理由など、ひとつもない…と思いたかった。
その手が離れてほしい理由など、ひとつもなかった。
ただ…。

(処女だと知ったら、洋平くんはどう思う?引くんじゃない?これ以上近づいたら、きっと傷つくだけ…。)

そんな自分の声が心の真ん中に突き刺さって、ギュッと強く握ってくれる彼の手を、同じ力で握り返すことも、振り払うこともできなかった。

…とにかく、だめ

玄関前で男性にお礼をする女性


「送ってくれて、ありがとう」

自宅のアパートのドアの前でそう言うと、洋平はいっそう強く手を握った。

私が再び「ありがとう」と言うのと、彼が「ちょっとだけ、お邪魔してもいい?」と口にするのは、ほぼ同時だった。

ここで断れば、私は、また恋のチャンスを逃すのだろう。
彼は脈ナシだと察して、もう連絡をしてこないかもしれない。
でも…、もしかしたら、処女だと打ち明けても、彼は何も変わらないかもしれない。
…いや、それは淡すぎる期待だ。
真実を打ち明けて傷つくよりも、曖昧にしてフェイドアウトしたほうがいい、きっとお互いに…。

「今日は、とにかく、ダメなの…」

うつむいたまま、握っている右手に、左手を添える。

「ごめん、困らせちゃったね。今日もありがとう」

洋平は、私の肩を優しく撫でてくれる。

「私こそ、ごめん」

声が、沈む。
洋平を見上げて「でも…、また誘ってくれる?」と言ったときには、声にも目にも、涙がにじんでいた。

告白

男性に想いを告げる女性


バタンと背中で玄関のドアを閉めると、とたんに涙がこぼれ落ちる。

どうして私は、また誘ってくれる?などと言ってしまったんだろう。
そう言ってしまえば、彼からの連絡を待ってしまう。また会えば、もっと好きになってしまう。そうして、もっと傷を深くするのに…。

「ばかみたい…」

きっと私は、今まで出会ってきた人たちよりも、洋平のことをずっと好きなのだ。
でも、強烈な恋心を自覚するほど、処女というコンプレックスは、いっそう高く厚い壁となって、私の前に立ちはだかった。

「どうしよ…」

ため息をつくと、携帯が鳴る。
洋平からだ。どうかしたのだろうか…。

声を落ち着けて電話に出る。

「あ、よかった。出てくれた。今、夕子さんの家の前の道にいるんだけど」

カーテンを開けると、洋平が手を振る。

「どうしたの?玄関に出るね」

慌てて涙をふくと、玄関の外に出る。洋平も、戻ってきた。

「どうしたの?」

その言葉は、ふたりの口から同時に出た。

「夕子さん、泣いてたの?」

次の言葉を続けるのは、洋平の方が早かった。
そう言われると、止めていた涙が、再び流れ出てきてしまう。

「どうして?俺、何かしちゃったかな…」

「違う、そんなんじゃないの」

肩に添えられる彼の手の体温に、ますます涙が止まらなくなる。

そこへ、隣の住人が帰ってくるのが目に入った。
こんなところに帰ってくるなんて…。

「入って」

隣の住人に会釈をすると、私は洋平を部屋の中へと促した。

「ごめん。入るなとか、入れとか…」

「いいんだよ、全然。でも、夕子さん、どうしたの?やっぱり、俺、何か悪いことした?」

お互いに靴も脱がずに、玄関先に留まっている。
私が部屋に上がらないのだから、当然かもしれない。
これから、どうするの?隣の人は部屋に入ったから、もう帰ってと言うの?
そんなひどいことを、どうして、好きな人に言わなきゃならないの?
きっと…彼だって私を好いてくれているのに…。

「処女なの」

何の前置きもなく、私は、言っていた。
意を決して告げたわけではない。
彼を好きな気持ちと、ふたりきりの空間にいることと、処女というコンプレックスと…。 3つ波が一気に押し寄せて、もう、心がおぼれてしまったのだ。思わず、口から出てしまった。

「え?」

聞き取れなかったのか、ごまかしているのか…。洋平の言葉は一瞬だった。

「だから、私、処女なの。恥ずかしいでしょ?30間際で、処女なんだよ…。だから…」

だから…の続きが何なのか、私自身も少しも見当がつかずに黙り込んでしまう。

息の詰まるような沈黙に、1秒ごと、空気が張りつめていく…。

あらすじ

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みんなの感想

  • 続きが気になる。・°°・(>_<)・°°・。
  • 続きが気になります!フィクションだけど、自分と状況が重なっていて感情移入しちゃいます(。´Д⊂)


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