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官能小説【前編】欲望まみれの執事に愛されて

調教開始

★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブグッズで熱く感じる小説コンテスト」のLC賞作品です。

「お嬢様、本日のご予定ですが」

私の一日は、執事である九門 拓海(くもん たくみ)のスケジュール伝達から始まる。
久門は、皴ひとつない黒のタキシードに身を包み、滑らかな白いグローブをはめて爽やかな笑みを溢す。

榊原家に支える久門は、私、榊原 珠理(さかきばら じゅり)が中学生になった時から傍にいて、歳の差は十歳。あの頃から大人に見えていたけれど、今では大人の色気というものが感じられる。整った目鼻立ちに低い声。左目下にあるほくろが妖艶さを醸し出している。

「九時より日本舞踊のレッスン、十一時より竹亭にて西園寺家との会食となっております。その後は……」

この時間が面倒くさくて仕方がない。私は大学を卒業し、この四月に二十三才になったばかり。休日くらい私の思うように行動させてくれてもいいのに、久門はそれを許さない。

「おい、珠理」
「っ……」

突然放たれた低い声。あくびをしていた私は慌てて唇を閉じる。視線を逸らせば、靴音を鳴らしながら近づいてきた。そして、再び低い声で文句を言ってくる。

「真面目に聞けないのか?」
「き、聞いてる」

私と久門の関係は、お嬢様と執事……だけではない。私の目線に合わせて腰を屈めると、ため息が漏らされる。そのまま私の顎に右手を添えるとクイッと角度を変えられ、逸らそうとした視線は合わされた。

「嘘をつくのは、この唇か?」

吸い込まれてしまいそうな漆黒の瞳に鼓動が跳ねる。
幼少期からずっと見つめられていたはずなのに、ここ数年は久門を求めているかのように鼓動が反応してしまう。だって私は、久門を異性として愛しているから。

親指が私の唇をなぞるように左から右へ滑らされていき、久門のはめている白グローブに赤い口紅が付着した。否定しようにも久門の手のせいで、それは敵わない。
瞳と唇を震わせる私に、久門は口角をあげるのだ。その妖艶たる唇は意地悪く動かされた。

意地悪な執事

官能小説挿絵:欲望まみれの執事がキスを迫るシーン

「どうしてほしいですか、お嬢様?」
「く、久門」
「こういう時は'拓海'と呼べ、と教えたはずですよ」

少しずつ縮められる距離。

――拓海。
呼んだ直後、私の唇は奪われた。

あれは、二十歳になって直ぐのこと。長針と短針が重なりあった午前零時。日付を越えると同時に部屋の扉がノックされた。忘れもしない。来訪者である久門を部屋に招き入れたのが事の始まりだ。

「どうしたの?」
「いけませんね。こんな時間に男性を招き入れては」

聞き返す間もなく私の身体は抱き上げられ、ベッドに押し倒された。同時に軋むベッド。
私の身体にまたがっている久門は、白いグローブを歯で噛むと、それをするりと脱ぎ捨てる。

その行動があまりにも妖艶で思わず息を呑んだ。
すらりとした長い指はネクタイにかけられ、そのまま久門のネクタイは崩れていった。
そして、訳もわからずそれを見守る私に久門はこう言ったのである。

「今からお嬢様のお時間を頂戴します」
「え、えっと。どういう、意味?」
「お嬢様が他の男に弄ばれる前に調教してやる、という意味ですが?」
「はい!?」

幼稚園から大学までエスカレーター式の女子校で、パーティーや食事会以外に男性との関わりのなかった私。それもあり私にとって特別な男性は久門だけだった。初恋の相手も久門だけれど、それを口にしたことは一度もない。

「俺がどれだけこの日を待ち望んでいたか、お嬢様はご存知ないでしょうね」
「あの、久門」
「人が話している時に口を挟むなと教えたはずですよ」
「で、でも」

この状況をうまく飲み込めず、何とか会話を繋げなければと言葉を紡いだのがいけなかった。
久門から盛大なため息が吐かれ、鋭い瞳が私を捕らえる。

「全く、飲み込みの悪い女だ」
「え?」
「俺が教え込んでやる」

久門と過ごす時間が長かったから、何でも分かりあえると思っていた。
それなのに、久門は私の両手首を容易く右手で拘束し頭上で固定をする。

「く、久門」
「そんなに怖がらなくていい。直ぐに俺を求めるようになるから」

手の自由を奪われているはずなのに不思議と恐怖心というものはなかった。
久門に恋心を抱いていたからというのもあるかもしれない。影がゆっくりと重なり、前髪が触れ合ってからはあっという間だった。

「んっ」

唇が磁石のように吸い付いてきて私のファーストキスは奪われたのである。
一度離れてもう一度、それを繰り返していくうちに久門のキスは激しくなった。

「待っ……ん、ッ」

名前を呼ぼうとして動かした唇の隙間を縫って、長い舌が滑り込んでくる。
逃げようとする私の舌は久門によって阻まれてしまう。

「っ……あっ……ん」

息継ぎのタイミングさえ分からない。これだけで頭がどうにかなってしまいそうなのに、久門の左手は私のネグリジェに手をかけた。
それは器用に脱がされ、あまりにも突然のことすぎて抵抗しようにも抵抗する術がない。
仕方なく両足をバタつかせてみせると、久門の両足が私の足を外側から締めてきた。

「言うことを聞かない女は嫌いじゃない」
「ま、待って!」
「待たない」

就寝時はブラジャーを身につけていない。
するりと片紐を下げられたおかげで私の胸は露になってしまった。

「み、見ないで」
「いけませんね。こんなに厭らしい胸を夜這いに来た男に易々と見せるなんて」
「それは勝手に久門が」
「まあいい」
「っ、やめ……あっ」

先ほどまで私の舌に絡まされていた長い舌が胸の突起を弄り始めた。
生暖かくザラザラとした舌が厭らしく転がしてくる。

「んん、っ」

くすぐったいのか何なのか分からない感覚。
時折歯を立てて甘く噛まれると違う刺激が走る。

「や、だめ……」
「ダメではないでしょう?」

手持ちぶさただった久門の左手が胸から腹部をなぞり、ショーツ越しに触れてきた。
その瞬間に、久門の口角は上がるのだ。

「こんなに濡らして、どうしました?」
「っ……」

「知っていますよ。お嬢様が、お一人でされていること」
「なっ!」
「でなければ、初めてでこんなに濡れないはずですので」

躊躇いもなくショーツの隙間から指を入れると、それは濡れ始めている私の膣の入口に触れた。
自慰行為は大学に入ってから。いくらお嬢様が集う学校といえど、思春期の女の子がそういう話題に興味を示すのは自然の摂理。それを行動に移すか、移さないかに二分されるだけ。

「触らない、で」
「そんなに可愛い声で言われると抑えが利かなくなる」
「あっ、ダメ……んんっ」

入口だけをなぞっていた長い指が一本、探るようにしてゆっくりと膣内に挿入され思わず腰が浮いた。自分でするのとは全く違った感覚に気がおかしくなる。

「ダメというわりには俺の指を飲み込んでいくな」
「く、久門。こんなことして許……」
「許さない、と仰るならこのままやめてもいいんですよ?」
「あっ……」

膣内を弄っていた指がするりと抜かれて、折角飛び込んできた快楽が遠退いていく。
いっそこのまま自分で続けてしまおうかとも思ってしまうほど、身体が熱くなっていることに気づいた。

おねだり

「どうしてほしいですか?」
「やっ……」

耳元でわざと低い声で囁き、そのまま耳を甘噛みしてくる。
それを終えると舌が首筋を這うようにして動き刺激を与えてくるのだ。
このまま中途半端な快楽を与えられては身が持たない。

「くも……ん」
「あー、言い忘れていました」
「え?」
「おねだりする時は'拓海'とお呼び下さい」
「んんっ」

途端に奪われる唇。キスをしながら久門の指先は再び私の下半身を弄り始めた。
先ほどよりも濡れてきているのが自分でも分かる。私がこんなに淫乱な女だと知って久門は突き放すだろうか。醜い女だと蔑むだろうか。そう思うと、胸の奥がぎゅっと締め付けられて悲しみが光となって頬を伝った。

「全く……泣くほど嫌なら、いつもみたいに我儘を言えばいいだろ」
「ち、違う……久門に、嫌われたらどうしようって」

ずっと女子校育ちで男性経験は勿論ない。間近でお世話をしてくれている久門なら知り得ているはずなのに、私は今与えられる快楽に抵抗なく反応してしまっている。
どこでそんなに淫らな勉強をしたんだ、とか。見損ないましたよ、とか。きっと私は身も心も綺麗だと思われているはずだから、久門は私を白い目で見るに決まっている。

「なぜ、そう思うのか簡潔に」
「私、ひとりでしたことあるから……ごめんなさい。悪い子で」
「なるほど。それは遠慮をしないでいい、ということですね?」
「え?」

頬に伝う涙を指先で優しく拭いながら久門は眉尻を下げて困ったように笑った。
もともと久門とは身長差が二十センチほどあったから見上げるのなんていつものことなのに、今こうしてベッドから眺める久門がとても格好よく見えた。執事としてではなく、一人の男として格好よく見えたのだ。

「俺がどれだけ珠理を大切にしてきたかわかるか?」

定まらない執事口調。時折見せる男が堪らなく愛おしい。執事としてではなく、一人の男として私をどうにかしてほしいと思ってしまうのは悪いことですか。

「ごめんなさい」
「そんな懺悔は求めていない。どうしたいか言え、珠理」

漆黒の瞳は今にも私を飲み込んでしまいそうだ。そこに映る私の姿はまるで星のよう。
久門の世界には私だけしか存在しないような雰囲気で見つめられ息が止まりそうになる。

すると、拘束されていた両手は解放された。
自由を与えられたということは逃げ道を作ってくれたということ。
久門の優しさに触れて心が揺れ動く。

「拓海、抱いてほしい……私を女にして?」

歪む視界と震える声で、それを言うのが精一杯だった。
処女を喪失するのなら、せめて初恋の人と。叶わぬ恋の相手だとしても、どうか今だけは――。

「よくできました。珠理の初めては俺にしか奪えない」
「拓……んっ」

キスをしながら脱がされるショーツ。そのまま久門の指は断りもなく挿入され、指にまとわりつく愛液の音が粘着質のように鼓膜へ張り付いてくる。

「はぁっ……んぁ」
「こんなに濡らして、そんなに気持ちいいのか?」
「あ、んっ……気持ち、いい……っ」

久門の指がもう一本増やされたけれど、私のそこは苦もなくそれを受け入れた。
次第に速くなっていく指の愛撫は羞恥心さえも奪っていくのだ。

「たく、み……っ、そこ……だめっ」
「ここ?」
「んああっ!」
「その声、たまんねぇ」

ぐちゅぐちゅと膣内をかき乱す音と、妖艶な久門の表情が思考を奪う。

「も、そこ……やだ」
「やだ、じゃないだろ?珠理の感じる所ちゃんと覚えておいてやるから、しっかり喘げ」
「や、ああ……っ、イッちゃ、う……っ」
「イケよ」

膣の奥まで指先を挿入し何度も感じる部分を刺激されてもう限界だった。
久門の腕をぎゅっと掴み、与えられる快楽に飲まれる準備をする。

「拓海……も、う」
「一回イッとけ」
「待っ……そんなに、されたら……イク……イッちゃう……んあぁあっ!」

グッと久門の指を締めて私は腰を浮かせながら達した。いつも自分の指でしかしたことがなかったから、久門にされて気が狂いそうなくらい感じてしまった。

乱れる息を整えていると、掻き乱していた指はするりと引き抜かれる。
その後もヒクヒクと痙攣を繰り返す膣内は物足りなさを覚えていた。

久門は私の上で濡れている自身の指を舌で綺麗に舐めていて、その姿にでさえ鼓動が速くなる。いつも私に従順だった執事が、今は豹変して私を襲っているこの状況に興奮してはいけない。自分の恐ろしく歪んだ快楽思考に驚いていると、久門と目が合った。

「可愛い声で鳴くんだな」
「っ……」
「いつもは声を押し殺してヤッてるみたいだから、興奮する」
「ば、ばか!」

まだまだ終わらない執事の調教

最悪。ひとりでしている時は、皆が寝静まった就寝前で久門も自室で休んでいるはず。
そう思っていたのは私だけで、扉を一枚隔てた向こうで久門に自慰行為を観察されていたのかもしれないと思うと背筋が凍った。

「もう、いいでしょ」
「まさか。これで終わりだと思わないでいただきたい」
「え?」
「言ったでしょ、この日を待っていたと。二十歳になるまで処女を守ってやったんだから、それを奪う権利が俺にはある」

「っ、待って!私、しても一回しかしたことないから続けては」
「へぇ。一回だけで抑えていた珠理が、あと何回イケるか調べる必要があるな」

口角をあげる久門を見て墓穴を掘ったことに気づく。
まんまと誘導される私は格好の餌食というわけか。

「や、やだよ」
「嫌かどうかは珠理の身体に聞くから関係ない」
「きゃっ!」

私の膝を持ち勢いよく押し広げると、久門は堂々とその間を陣取るのだ。
丸見えになる私の下半身。見られているだけなのに、興奮してしまうのは何故か。

「濡らしすぎ」
「み、見ないで……っ」
「ご冗談を。傷つけたかもしれないから、ちゃんと見ないとだろ?」
「っ、んん……ぁっ」

見るどころか顔を近づけて、舌で私の濡れているそこを舐め始めた。
息がかかるだけでビクビクして、舐めあげられる度に声が漏れた。

「ん、汚……いから、やめ」
「綺麗だよ。それに珠理の匂い、すげぇそそる」
「んぁっ、だめってば」
「だめ?ここ、は?」

「ああっ、そこ……だめっ!」

久門の指は膣の入口ではなく、ある部分を刺激し始めた。
そこを弄られると耐え難い快楽に飲まれてしまう。

「ここ、気持ちいい?」
「たく、み……やだよ」

「ここは陰核。俗にクリトリスって言って、女性はここを刺激されると気持ちよくなるらしいんだけど、珠理はどうかな?」

「や、んっ……おねが、い」
「いい声。俺の方が興奮してきた」

指と舌を使って交互にそこを刺激され腰が浮いてしまう。
気持ちよすぎて息をすることすら忘れてしまうほどだ。久門の手慣れた行為に抗う術はない。

執事が試したいこと

「ひとつ試したいものがある」

そう言うと、ジャケットのポケットからある物を取り出した。
久門の手にすっぽりと収まってしまうそれはピンク色をしている。

「お嬢様もご存知ですよね?」

目の前にちらつかせながら唇にそれを当ててきた。それが何なのかくらいは知っている。
ピンク色のローターは魔の快楽グッズのひとつ。
でも、実際にそれを手にしたことはないし現物を見たのも今日が初めてだ。

「し、知らない」
「へぇ。なら、教えてさしあげなければ」
「違うの。それは知ってるけど、そういうの使ったことなくて」
「いつもは指ですか?」

どうして私はこうも墓穴を掘ってしまうのだろう。
流されるまま頷いてしまう私はまだ子どもだ。

「尚更どういう反応をするのか見てみたいですね」
「待って!」
「俺は犬ではないので、待てと言われても待ちません」

清々しいまでの笑みを向けられて反論の言葉すら見失ってしまった。
ローターのスイッチを入れたのか機械音が聞こえ始めた。興味もあるけれど、恐怖がないわけではない。

「怖いよ……」
「大丈夫。ゆっくりするから、嫌だったら言えよ?」

とびきり優しいキスをされて許してしまった。これも久門の策なのだろうけれど、受け入れてしまう。一定のリズムで振動するそれをまず腟の入口を擦り、私の愛液は潤滑剤の役目を果たすことになる。振動は止まることなく位置を動かされ、陰核を刺激し始めた。

「ん、ああッ……っ」

指で弄られた時とは比べ物にならないくらいの快楽が突然襲ってきて、思わず久門の肩をぎゅっと握ってしまった。

「いい声。気持ちいいか?」
「っ、んん……はぁッ」

気持ちいいなんてもんじゃない。意識がそこにしか集中しないくらいの強い刺激が私を淫乱にさせていく。もっと擦りつけてほしくて腰を動かすけれど、意地悪な久門はわざと位置をずらすのだ。

「どうされました?」
「い、じわる……うっ」
「不合格。言うことを聞けない子には、おしおきが必要だな」

どうするのかと思えば手元のスイッチを弄り振動のレベルを切り替えたらしい。
その瞬間に、振動は強くなり抗えない快楽が手招きし始めた。

「ああッ!だ、め……イッちゃう」
「可愛い」
「気持ちいい、よ……っ」

機械ごときにここまで狂わされると思ってもみなかった。グリグリと押され振動が余計に伝わってくるせいで、閉じられない唇の端からは涎が垂れてくる。

「ほら、おねだりしないとイかせてやんないぞ?」
「拓海……ぁっ、お願いしま、す……イかせて」

すがるようにして潤んだ瞳で見つめれば久門は上唇を舐めた。
そして、ローターを当てたまま腟内に指を挿入したのだ。
ぐちゅぐちゅという水音とローターが規則的に織り成す振動音。
私の喘ぎ声も負けじと大きくなる。

「んぁああ、そんな……激しくされたら……ッ」
「激しくされたらどうなるんだろうな?」

指の動きは速くなり、先ほど知り得たであろう私の感じる部分を突き始めた。
ローターの刺激と合わさったこの行為に勝てるはずがない。

「イク……イッちゃう……んああッ!」

一度目よりも強く久門の指を締め上げて達してしまった。
同時に離されるローターはようやく静かになる。
もうこれで終わりだと思う私に、休息は与えられなかった。

「誰が休んでいいと言いましたか?」
「もう私は十分……」
「嘘はいけませんね」
「なっ、やめ……んっ」

今度は舌で陰核を刺激され、膣内に挿入されたままの指は円を描くように動く。
直ぐにでも反応してしまう自分が情けないし、恥ずかしくて思わず両手で顔を覆った。

「そんなことしたって止めてやりませんよ?」
「んぁっ……たく、み」
「あー、やっべぇ。もっといじめてやりたい」
「ううっ、なんで」

あと一歩。もう少しでイけそうだったのに、久門はそれを突然やめた。
ヒクヒクする膣壁は久門を求めている。

「さあ、おねだりの時間だ。俺に懇願してみろ」
「なん、で……意地悪」
「言わないとご褒美はなしですよ?」

浅いところで何度も指を抜き差しして意地悪をしてくる。
二度もイッたのに欲してしまう私。羞恥心というものは直ぐに消えた。

お嬢様の初々しい反応

「っ……、イきたい……拓海……早くちょうだい」

顔を覆っていた両手を外して久門を見つめる。
上目遣いで誘って与えられるであろう快楽を待つ。お嬢様なんて身分は今の私には不相応。

「最高だな。言われなくてもイかせてやるよ」

満足そうに言うと、羽織っていたジャケットとベストを脱ぎ、カッターシャツのボタンを外し上半身を見せる。露になる久門の肉体美に見惚れてしまうけれど、そんな私を無視してズボンのベルトを緩め始めた。

カチャカチャという金属音にさえ興奮してしまう私はもう手に負えない。
気づいた時には久門の大きくなったモノが視界に映った。

「っ……」
「顔真っ赤。初々しい反応、ご馳走様です」

 

続いて手慣れたようにゴムを袋から取り出しそれを一瞬のうちで装着するのだ。

「久門は……」
「今は拓海とお呼び下さい」
「た、拓海は初めてじゃないんだよね」
「なんで?」

一連の動作が全て自然で'初めて'の私とは全然違う。
それに私は久門を愛しているけれど、久門は榊原家のお嬢様として私を愛してくれている。
この行為に異性としての愛情が含まれていないと思うと、突然悲しみに襲われた。

「全く、イかせてくれと言ったり泣き出したり忙しい女性ですね」
「うっ……っ、だって」

意図せず流れる涙は久門の指先によって止められてしまう。
そして、表面着力を保てなくなった感情は溢れ出す。

「初めては好きな人とって、思ってた……のに」
「のに?」
「拓海の心が私にないのに、こんな風に抱かれて……辛い」

どうして私達は主従関係になってしまったのだろう。
せめて久門が別の家に支える執事であれば、想いを告げられたかもしれないのに。

「泣くな」
「泣いてない、っ」

聞こえてくる深いため息。ムードをぶち壊したせいで久門を萎えさせてしまったに違いない。次に紡がれるであろう拒絶の言葉を待つけれど、それとは違う反応が返ってきた。

「俺はずっと、珠理を女として見てきた」
「……え?」
「他の男に指一本触れさせるのも嫌だったし、男の視界に珠理が入るのですら嫌だった」

壊れ物を扱うかのようにそっと抱きしめられて、何が何だか分からなくなってしまった。

「拓海?」
「さすがに未成年に手を出すわけにはいかないから、この日をずっと待っていたんだ」
「それって……」
「珠理の初めては俺が奪うと言ったはずだ」

抱きしめる腕を緩めて絡まされる視線。

「俺は珠理を一生手放さない」
「っ……」
「お嬢様だからじゃない。ひとりの女として愛してるよ、珠理」

重なる唇はとても優しくて、涙の味がした。

「痛いかもしれないから無理すんなよ?」
「う、うん」

久門のモノは腟の入口を擦り濡れているのを確認すると、ゆっくりと腰を進めてきた。
気遣いながら挿入されるけれど、感じるのは痛み。

「っ、痛い……」
「やめておくか?」
「嫌。拓海ので気持ちよくしてほしい……だめ?」
「そういう煽りは俺の理性を飛ばすから気を付けた方がいい」

余裕のない表情を見せながら奥まで一気に挿入してきた。
指やローターの愛撫とは全く違った刺激に狂わされる。

「んあっ」
「奥まで入った。ゆっくり動くから」

次の動作へ行く度に優しいキスをしてくれる。久門の愛に触れることがこんなんにも幸せなことだとは思わなかった。徐々に腰の動きを速めていく久門からも次第に吐息が漏れ始める。

「珠理ん中すげぇいい」
「っ、言わないで……んぁ」
「優しくしてやれねぇかもしんないけど、許してくれ」
「ぁッ……ん、っ」

肌と肌がぶつかり合い、愛液が久門のモノでぐちゅぐちゅに掻き乱されていく。

「や、ぁん……拓海、もっと」
「淫乱」
「っ、んあああっ」

気持ちのいい所を刺激されて我慢出来なくなってきた。

「拓海、イッちゃう……気持ちいい」
「そういう顔、俺以外に見せんなよ?」
「う、ん……見せな、から……早く」

互いに重なる体温でさえ興奮材料になる。ズブズブと感じる部分を久門のモノで突かれて限界は直ぐそこまで来ていた。求めるように見上げれば悪戯に笑みを溢す執事。

「いいねぇ、その顔。仰せのままに、お嬢様」

私の足を肩に乗せると久門はそのまま更に奥を突き始めた。
先ほどよりも強く奥を突かれるこの体勢はたまらない。

「んぁッ、も……だめ」
「なら、一緒に」
「イク、イクッ……んぁああッ!」
「……ッ」

ビクビクと締め上げて久門と同じタイミングで絶頂を迎えたらしい。私の中で久門もビクビクと痙攣し腰を動かしながら欲望をゴム内に放っている。それを終えるとまだ息の整わない私にキスをした。そして、久門のモノはゆっくりと引き抜かれる。

「痛いところはないですか?」
「う、うん」

行為後の気遣い。そして、濡れている私の下半身を久門はティッシュで綺麗に拭ってから自身のモノを綺麗にしていく。強引だと思っていたけれど、こういう優しさに触れてもっと好きになる。それが終わると、久門はそっと私の隣で横になり抱きしめてきた。

執事として…そして一人の男として…

「申し訳ありません、お嬢様」

ぎゅっと抱きしめる腕に力を入れて、申し訳なさそうに言うとそのまま言葉を続けた。

「折角のお誕生日ですのに、このような無礼を働いてしまいました」
「し、執事モード」
「なにか?」
「い、いえ」

頭の中で私達の関係を必死に整理する。久門は榊原家に支える執事で、私専属の執事でもある。そんな彼と私は今何をしていたのか。お姫様抱っこをされ、唇を重ねられ、それから……。

「わ、私こそごめんなさい!」
「それは何に対しての謝罪ですか?」
「久門は私が世間に出て、男性に苦労しないよう指導してくれたんだよね」
「……はい?」

ひとりの女として愛しているとか、そういう言葉は鵜呑みにしてはいけないもの。行為をする上でモチベーションを上げる必要があったに違いない。社会に出て私が苦労しないように……きっと、そう。

「本当にごめんなさい。私が久門を男性として好きだと言ったことは忘れてね」

大きな胸板を押し返して距離を保とうとするけれど、それ以上の力が加えられてしまう。
おかげで私は久門から逃れられない。

「おい、珠理」
「うん?」
「飲み込みが悪すぎるのもいい加減にしろ」
「痛っ」

バチンと額を指先で爪弾かれて鈍い痛みが走った。
視線を上げれば眉間に皺を寄せて苛立ちを見せる久門の姿。

「執事という立場が邪魔なら俺は榊原家から出る」
「え、え!?」
「先ほども申し上げたはずですよ。ひとりの女として愛している、と」
「それは私が'初めて'を捨てられるようにっていう配慮のため……」
「頑固女は調教し甲斐がある」

直ぐに反転する視界。横になっていたはずの身体は再び組み敷かれてしまう。
瞬きを繰り返す私の唇に指先がスッと触れる。

「初めてお仕えした中学一年生の春、幼い珠理を妹のように思っていた」
「十歳も下だもんね」
「でも、年齢を重ねていくうちに女性としての魅力が開花されていって、暴走しそうになる理性を抑えるのに必死だった」

唇を滑る指先は耳を滑り髪に絡まされた。困ったように笑う久門は執事とは違う。

「珠理はひとりでする時、誰を思い浮かべてしてたんだ?」
「っ、それは……」
「俺だろ?」

ドクンと鼓動が跳ねると共に全身が熱を帯びていく。
「久門拓海を男性として好きになってしまった以上、嘘はつけない。

「私の傍にはずっと久門だけだったから」
「それで?」
「ずっと好きだったの。でも、年下だし相手にしてくれないと思ってて」

まるで誘導尋問のような流れ。久門は私が誕生日であることを忘れているのではないだろうか。そんなことを思っていると、ため息が聞かれた。

「二度は言わないからよく聞け」
「え?」
「俺は執事としても、ひとりの男としても珠理を守りたいと思っている」
「っ……」

今までに見たこともないような真剣な眼差しに息を呑む。そんなことを言われてしまったら、受け入れるほかない。久門拓海は榊原珠理を愛しているのだという事実に視界は歪んだ。

「異議申し立てがあるなら今に限り受け付けますが、いかがいたしましょう」

頬を伝う涙は、久門のキスで拭われていく。貴方しかいない。
我儘を言っても、理解が乏しい反応をしても受け止めてくれるのは貴方だけだから。

「私を惚れさせた責任、取ってよね?」
「ずいぶん強気ですね。このまま大人しく寝かせてあげようと思いましたが予定変更です」
「ちょっ、待って!」

「待たない。俺がどれだけ珠理を愛しているか、朝までその身体に叩き込んでやるから覚悟するように」

「お、鬼!」
「いえ、執事です」

二十歳の誕生日は、朝まで抱かれ続けたおかげで疲労困憊し、誕生日パーティーも楽しめずに終わった。唯一良かったのは、片想いが実って両想いになれたこと。それから私達は毎晩肌を重ね合わせ、愛を育んでいった。

⇒【NEXT】私が朝に弱いと知っていて寝起き早々、一日のスケジュールを…(欲望まみれの執事に愛されて 後編)

あらすじ

お嬢様と執事。小さい頃からずっと一緒にいた。
ずっと大人だと思ってた執事と今や、お嬢様と執事だけの関係だけではなくなり…。

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