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官能小説 夜はまた明ける 2話

耳の奥に響く言葉

くすんだ顔を鏡で見つめる女性

「この子にそういう言い方をしない方がいいって、前にも言ったよね?」

学習塾に勤め始めて6年。まだまだ経験も力も足りないところがあるけれど、後輩もできて指導を任されている。鈍い後輩を、ついつい叱ってしまった。

トイレで鏡を見ながら「人のこと、言えないなぁ。この後輩には、どんな言い方をすればいいんだろ?」と反省しながら鏡を眺める。

瞳が、少しくすんでいるかもしれない。
…やだ。目の下にクマ?

1週間前に温泉旅行をした友人、弥生の「色気、なくなってるよ」という言葉が、耳の奥から聞こえてくるようで、思わずため息が出た。

“今夜、飲みにでも行くか”

がっくりと肩を落としていると、同期の正樹から誘いが入った。

“行く行く!正樹、いつもタイミングいいわ〜”

早速返信すると、両頬を軽く叩いて気分を切り替え、仕事に戻った。

ダメ押し

居酒屋のビールの画像

正樹と一緒に飲むのは、行きつけの居酒屋とほぼ決まっていた。

「どうしてあの子にあんな言い方するのかしら?」と仕事の愚痴をこぼし、
「弥生に、ついに“色気ない”って言われてさ…」とプライベートの弱音も吐いて。
そんな私の話を、正樹は、生ビールを飲みながら笑って聞いている。

「まぁ美雪は、この仕事が向いてるんだよ。後輩に同じことを求めちゃいけないってのも、頭では分かってるんだよな。でも、生徒のことを考えると“しっかり見てくれよ”って思っちゃうんだよな」

「そう!生徒のこと考えると…なんだよ」

正樹は、本当に私のことをよく分かってくれる。

「でもまぁ、弥生ちゃんの言うことも、ちょっと図星かもな」

自分と同じ大きさのジョッキから生ビールをグビグビ飲む私に、正樹は笑った。

「え〜!正樹まで、それ言う〜?じゃあもう、色気なくていいわ」

笑い返しながら、私は生ビールの追加を注文した。

決意

爪にマニキュアを塗ってもらう手

居酒屋を出て、ひとりでもう一軒。
2年前の恋人、祐司とよく行っていたバーに向かう。
別れてからもときどき顔を出していたが、数ヶ月ぶりだ。

「美雪ちゃん、久しぶり!」

マスターとママの顔を見ると、胸の奥のモヤモヤが、激しく暴れ出すのが分かった。
弥生に言われたこと、正樹にもダメ押しのように色気がないことを指摘されたこと。後輩に求めすぎてしまうこと…。
ゆっくりと水割りを飲みながら、暴れて仕方がないモヤモヤを吐き出す。

「私、空回っちゃってるのかな…。仕事でもプライベートでも、女らしさとか柔らかさとか、どんどんなくなっちゃってるのかな。どうしてだろう…」

認めたくないことが自分の口から出てきたとたん、涙が溢れた。

「私に言えたんだから、もう大丈夫よ」

ママは、「もう閉店だから、ちょっとふたりでゆっくりしよう」とカウンターからテーブル席へと私を促した。
温かい紅茶を出して、私の手を包んで温めてくれる。

「美雪ちゃん、あのね。女らしさって、先端に宿るの。指先、つま先、毛先。先端が傷ついてるっていうのは、女らしさが傷ついちゃってるのよね」

私の指のささくれを、ママは優しく撫でてくれる。
そして、「ちょっと待ってて」と爪の手入れをする道具を持ってきた。

「自分を責めないで、美雪ちゃん。たとえ少し女らしさが減っちゃってるとしても、それは女をサボッてきたからだって思っちゃだめ。ひとりの人間として、一生懸命に闘う時間を過ごしたからなんだよ。今の美雪ちゃん、祐司くんと来てくれてた頃より、ちょっと先端が傷ついてるかもね。でも、あの頃よりも素敵になってるところだって、いっぱいあるよ」

10本の指の爪の甘皮を優しく剥がして、爪の形を整えて、表面をピカピカにしてくれながら、ママはずっと優しかった。
今の私のいいところ、祐司との思い出話。ときどき冗談も言いながら、「まだまだこれからよ」と磨きあがった爪と手にクリームを塗ってくれた。



―――翌朝。

仕事に行く準備をしながら、ふと昨夜ママに手入れしてもらった指先が目に入る。
爪の生え際から先端まで、何も塗っていないのに女らしさが溢れている。
つい、柔らかくて繊細な動きをしたくなる…。

(あ、この感覚…)

自分の中に、忘れかけていた女らしさのかけらを発見したようで、瞬間、胸が熱くなる。

「女、磨こう!」

優しく輝く爪を眺めながら、小さく、でも強く、声にした。


あらすじ

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