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官能小説 夜はまた明ける 6話

半分、図星?

化粧室で化粧直しする女性

「何かいいことありました?」

ランチの後、メイクの直しをしていると、後輩から話しかけられた。
きっと私は、ドキッとした顔をみせたのだろう。
彼女は、「何があったんですか?」と興味津々にきいてくる。

「何もない!何もないわよ!」

笑ってごまかすと、急いでデスクに戻る。

このところ、少し見た目の雰囲気が変わったことは、自覚していた。
それはきっと、バーのママに爪の手入れをしてもらったから、だけではない。
友達の弥生にリップグロスヘアパフュームをもらったから、だけではない。
それだけでなく、ひとりエッチで快楽の喜びを思い出したからだ。

(そんなこと、言えるわけない…)

火照った顔を手であおぎながら、デスクにつく。

「美雪、今夜どう?」

同期の正樹が、ふたりの定例会のようになっている飲み会に誘ってきた。

「うん!」

思い切り無邪気に返して、顔の熱を一気に吹き飛ばす。

いつもとは違う場所、違う空気

ワイングラスと男女の手

正樹が、「いい店見つけたから」と連れて行ってくれたのは、いつもの居酒屋とはまるで違う雰囲気のバーだった。静かにクラシックが流れ、照明もインテリアも、わざとらしくなく洗練されている。

「いいとこ、見つけるね〜」

水割りのグラスを置くと、にっこりと目を合わせた。

「なぁ」

彼は、私の言葉など耳に入っていないように、視線を返してくる。

「男できた?」

彼は、目を逸らすことを許されない密度の声を発した。

「…できないよ」

笑顔を消しながら答えると、口の中が一気に渇いていくような緊張を感じる。

「そっか」

手元のグラスに視線を落としてワインをひと口含む正樹に合わせて、私も自分のグラスに手を伸ばした。



「作るなよ」

帰りの分かれ道で「また明日ね」と手を振ると、その手をグッと握りしめられる。

「何を?」

私は、あまりにも間の抜けた返事をしたのかもしれない。
正樹は「何でもない。気をつけて帰れよ」と握っている手の力を弱めた。



―――翌朝。
弥生からもらったリップグロスヘアパフュームをつけながら、指先が震える…。

(作るなよ…って、彼氏?)

彼に握られた手の感触が甦って、鼓動が速まった。

出勤して正樹の姿を遠くからみつけると、おさまった鼓動が再び高まる。

「あ…」

目が合っても、気まずい声しか出ない。

数秒後だろうか、数十秒後だろうか。
「あの…」という私の声と、「今夜、また飲むか」という彼の声が、重なった。
私は返事を考える隙もなく、頷いていた。

期待と…その先に

男性にキスされる女性

昨日と同じバーの、昨日と同じ席で、正樹と私は他愛ない話をした。
仕事のこと、趣味のこと、ふたりとも好きなテレビ番組のこと…。

(何を期待してたんだろ、私。バカみたい)

化粧室の鏡の前で、少しがっかりしながら、それでもリップグロスを塗り直す。

「タクシーにしようか、今日。家の前まで送るよ」

席に戻ると、正樹は支払いを済ませていた。

言われるままに、タクシーに乗り込んで、私のアパートの前に着く。
彼は、当たり前のように、一緒にタクシーを降りた。

「どうして、正樹もここで?」

合わせる視線を、彼は斜め上に外した。

「なんか最近…」

そこまで言うと、正樹は細く長く息を吐いて、続けた。

「お前、変わったよ。メイクかな?よくわかんないけど…」

「そう?」

息が詰まるほどの鼓動で、声がかすれてしまう。

「最初は、変わるのもいいのかなって思ってた。でも、だんだん、男がいるのかなって…」

「だから、いないって…、昨日も言っ…」

話し終えていない私に強烈な視線を一瞬向けて、正樹は一歩こちらに近づいた。
そして、一気に私を抱きすくめる。

一秒ごと、私の背中に回る彼の手の力が強まる。
彼の体温に、心まで温められるようで、私の手も正樹の背中に回っていた。

肩に乗っている彼の顔が、少しずつ正面にやってくる。
緊張した彼の息が、頬にかかった。その唇に、思わず頬を寄せてしまう。
正樹の唇が私の頬をそっと伝って、ゆっくりと震えながら、ふたりの唇が触れ合った。

「どこにも、いくな」

1ミリだけ重なっている唇の向こうから、彼の声が流れ込んでくる。

「…うん」

私は、少しも迷っていなかった。

置き去りにしていた気がした恋心は、快楽の喜びと同じで、実は少しも忘れてなんかいない。

少しワインの香りが残る彼の舌が、私の口の中を、深く温めた。


あらすじ

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