女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 まだ見ぬ君へ 後編
恋愛する勇気
結局、次の会議の流れは 朋子の意気込みとは裏腹に、信吾の 「建物のイメージに近いレトロなデザインのインテリア」 の方向に向かっていった。
朋子の心の中に どんどん悔しさがこみ上げていく。
どうしても 自分がやりたかった企画なのに…!
涙をこらえながら、 早く会議が終わるのを願っていた。
結局、信吾がこの件を担当することが決まり、 会議が終わった。
朋子は逃げるように会議室を出た。 瑞希の呼ぶ声がしたが、 今は一人になりたかった。
昼休み、カフェでいつものコーヒーに 加えてエスプレッソも注文した。
エスプレッソの味は、朋子にとっては いい気分転換の薬になっている。
(『お願いします』とか『頑張ってください』くらい 言うべきだよね……。
あのブログにあんなこと書き込んだけど、 全然ダメじゃん、私…)
携帯で例のブログにアクセスすると、 そのコメントに返信が来ていた。
《 はじめまして、コメントありがとうございます。 同じ経験をされたのですね。 僕もうまく立ち回れない自分に本当に 嫌気がさしていましたが、あなたのコメントに救われた気持ちです。 確かに、素直になることが一番です。 僕も今度は素直になってみます。》
ささくれ立った気持ちの中に 少し暖かな風が入り込んできたようで、 ふっと微笑んで携帯から顔を上げると、 なんと信吾がカフェに入ってきた。
また心が固くなるのを感じていたら、 信吾が目の前に来た。
「ここ、いい?」
むげに断るわけにもいかず、 小さくうなずくと信吾は席について、 店員にカフェオレを注文した。
(またカフェオレなんて邪道なものを…)
朋子はそう思いながら、携帯をもてあそんだ。 信吾は遠くの景色を見ているようだった。
二人はしばらく無言でいたが、 カフェオレが運ばれてきて 口をつけた瞬間、信吾が意を決したように言った。
「今回は俺がやることになったけど、 嶋津のアイディアもよかったよ。 あれだけ斬新なデザインはほかにできる人がいない」
朋子はその言葉に驚き、 うっかり顔を上げ信吾と眼を合わせてしまった。
今まで信吾からそんなコトバを かけられたことは一度もない。
何か裏でもあるんだろうか…、と一瞬疑ったが、 さっきのブログのコメントを思い出した。
“素直になる”
(…彼も彼なりに、 素直になってくれているのかもしれない)
朋子は勇気を出して、言ってみた。
「それは…ありがとうございます。 水木さんのプレゼン、勉強させていただきます」
言葉をいい終えた時、 すっと気持ちが軽くなるのを感じた。
(…強がったり、自己嫌悪に陥るなら、 素直に相手を認める方が楽かもしれない、 自分も相手も)
それから、 朋子は信吾と初めてちゃんと話をした。 心の重荷が下りたせいか、 楽しい会話になっている。
こうして話すと意外と普通の人なんだ、 と朋子は思った。
信吾が朋子の手元にある エスプレッソに目をやった。
「嶋津、エスプレッソってかなり苦くないか? 俺、苦いのが苦手で…」
「水木さん、エスプレッソはですね、
“苦い”んじゃないんです。
“濃い”んですよ。
名前の通り一瞬で出すので、雑味が少ないんです。
苦いのが苦手な方にこそ、
エスプレッソはお勧めですよ」
信吾が驚いたような顔をしながら言った。
「嶋津って、コーヒーについても詳しいんだ」
「そうですね…もともとこだわりが強すぎる 性格だからかもしれませんけど」
朋子は自分の言葉に苦笑しながら言った。
信吾も苦笑し、 すこしの間、返す言葉に困っていたが、
「じゃあ、嶋津の言葉を信用して、 今度エスプレッソに挑戦してみるかな」
そう言いながら、朋子に微笑んだ。
信吾の笑顔が自分にだけ 向けられたのは初めてだった。
芯の強さと、 その中に優しさが垣間見える表情。 心の中で暖かい何かが急に大きくなり、 朋子は思わず信吾から目をそらした。
そして、 照れ隠しに思いついたように答えた。
「…あ、難しそうな時は、 ミルクを入れてカフェラテにすれば 大丈夫ですからね」
朋子は心地よい息苦しさを感じながら、 その日の昼休みは終了した。
恋愛の距離
「この角を曲がったところに…あ、あそこだよ、 例のイタリア系のコーヒーチェーン」
朋子が指し示す方向へ、信吾も振り向いた。
「へぇ…確かに雰囲気もアメリカというよりは
イタリアっぽいね」
「エスプレッソ系のメニューも豊富だし、
パニーニもおいしいんだよ、ここ」
「いいね。早速入ろうか」
あれ以来、信吾とは普段から会話をするようになり、 さらにランチに行ったりできる仲になってきた。
意外性があり、それでいて共通点もあって、 それが、毎日を新鮮にさせていた。
一方で、ブログのコメントも毎日するようになっていた。
もちろんブログの相手は見えないが、 文章のやり取りだけでも、癒されている自分がいる。 そして、ふと思うのだった。
(なんだか、この人、信吾に似てるかも…なぁんてね)
かつて抱いていた「相手のイメージ」が信吾になり、 彼の姿をダブらせながら、コメントを書き込んでいた。
ある日、朋子が会社のパソコンで こっそりブログを読んでいたら、 瑞希に画面をのぞき込まれ、 「嶋津さーん。会社のパソコンの私用は厳禁ですよー?」 と、人差し指を振りながら注意してきた。
「あ、ごめんごめん、見逃してよ〜」
朋子はそう言ってブラウザを消そうとすると、 「あれ、それ水木さんのブログでしょ! 知ってたんだ?」
「…えっ???」
信吾がブログをこっそり更新しているところを 今の私のように、瑞希が見つけたのだそうだ。
「朋子ずるーい! 最近ランチとかも行ってるし、いつの間にそんなに 仲良くなったの!?」
頬を膨らませている瑞希ににらまれて苦笑しながらも、 朋子は、どこかホッとした気持ちになった。
(ブログの人は、やっぱり信吾だったんだ)
その日、初めて夜に信吾を誘った。 個室の洋風居酒屋で食事をしながら、 朋子はブログの話を切り出してみた。
「あ、そうだ…毎日会話できて楽しかったよ。 あなたのあの一言で素直になれた。ありがとう」
朋子は優しく微笑みながら信吾に話す。
当の本人は首をかしげでもしそうな顔をして、 それを見て、いたずらっ子のような顔で応えて朋子は続けた。
「ブログ、書いてるでしょ」
信吾はあからさまに驚いた。 そして照れながら「ばれたか…」とつぶやいた。
「もしかして最近コメントしてたのは、嶋津…だったのか?」
朋子は笑顔でうなずいた。
「…世間は狭いとはよく言ったものだね」
その言葉に、二人して小さく笑った。
「…でも…なんだろう。 なんとなく嶋津をイメージしながら会話してたよ。 僕も最初のコメントで救われた気持ちになった。 こちらこそ、ありがとう」
二人は微笑みながら見合い、 自然とテーブルの上で指が絡まった。
薄暗く、ジャズが流れる店内。 自分たちのいる個室だけがしん、と静まりかえり、 朋子の感情が身体の中で脈打つのが聞こえた。
何も言わなくても、もう相手の気持ちが読める。
火照る身体、流れる汗、 しわくちゃのシーツ、不規則で激しい呼吸。
息も絶え絶えに、 朋子が上目遣いで信吾に言った。
「信吾…なんだか、私、おかしい… もっと、信吾が欲しいよ…」
朋子は信吾の指をつかみ、自分の茂みの中へ誘った。
蜜があふれるその泉に、滑らかに彼の指が吸い込まれ、 クチャッ、といやらしい音が聞こえた。
信吾の指がその熟した赤い実に触れた瞬間、 朋子は身体をビクッと動かした。
「ここ、大きくなってるね…可愛い…」
信吾の指は赤い実を優しく転がし続けながら、 朋子に覆い被さり、胸を舐め始めた。
朋子はのけぞるようにしながら シーツを強くつかんだ。
「…ああぁっ……信吾…お願い……」
喘ぐ朋子の耳元で信吾がささやいた。
「いくよ…」
そして、信吾の大きく固い茎が、 そっと朋子の蜜壷に入っていくのを感じた。
信吾がゆっくりと動き始め、 快感の波は徐々に高まっていった。
今まで足りなかったものが、 少しずつ埋まっていくような幸福感。 きっと、ずっとずっと求めていた相手。
身体を大きく震わせる朋子を、 信吾は強く抱きしめた。
「…信吾っ……イクっ…… ああ、ああぁっ………!」
朋子が信吾の胸の中で息を整え終わったころ、 感じていた。
相反するからこそ惹かれる、 私たちは、磁石のN極とS極なんだと。
<まだ見ぬ君へ 〜おわり〜>
あらすじ
恋愛する勇気が朋子に芽生え始めた…!?
社内コンペの結果、結局、次の会議の流れは朋子の意気込みとは裏腹に、信吾の案に決定した。
(『お願いします』とか『頑張ってください』言うべきだよね……。)
そんな時、例のブログにアクセスすると、コメントが届いており…。