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官能コラム いやらしいキス。


いやらしいキス。

キスを上達させる方法として、よく昔から言われる「さくらんぼの柄を口の中で結ぶ」というアレ。
私は小学生の頃に年上の従姉か誰かから「うまく結び目を作れるようになるとキスが上手になるよ」と教えられて、アレをずいぶん練習した。

当時レストランで出されるレモネードのコップには必ず赤いさくらんぼが入っていたので、それが欲しくて外食のたびにレモネードを親にせがんだりして、ことあるごとにやっきになってやっていた。

その成果あって、舌は今でもずいぶん器用なほうだと思う。
舌だけではなくて唇も含めた口全体、よく動く。
ところが、それがキスのために役立っているかというと「?」だったりする。

なぜなら大人になってからの私は「いやらしいキスをしたい」という密かな熱望に冒されていて、その願いをかなえるために必要なのは、どうやらさくらんぼの柄を結ぶような器用さではないようなので。

いやらしいキスとは、「チュッ」だけの御清潔な接吻なんかではない。
彼の舌をしゃぶる、唾液をすする、歯茎の裏を舌先でくすぐる、etc…、あらゆることをしてしまう汁気たっぷりの濃厚なキスだ。

そういうものを理想としているのに、「そんなことしたらヨダレがこぼれちゃう」とかなんとか気にかけるようでは全然ダメだ。
舌の器用さも発揮しようがないし。

まず欲しいのは、ためらわずにケダモノになれる大胆さ。
自意識の無さと言い換えてもいいかもしれない。

甘美な唇

――自意識を捨ててキスに没頭する女は、恋という名の神様の前に美しく、恋人の目に美しい。

私が思うに、いやらしさというのは内面的にはセクシーな気分であり、客観的には美とグロテスクの豪華絢爛な饗宴だ。

たとえば毛深い胴体を持った華麗な揚羽蝶はいやらしく、腐る寸前まで熟しきった果物はいやらしい。
赤い唇から滴る唾液はいやらしい。

他人はそれこそ「なんていやらしい!」と白い目で見るかもしれないけれども、「だから何? いやらしくて結構!」と言い切れる強い女になりたい。
いやらしさは時に単純なキレイさよりもよほど魅力的なのだから、キスも自信を持って堂々といやらしくしてみたい。

さあ、出来ることから始めよう。

まずは唇にグロスを。
濡れた唇で恋を語ろう。キスはそれから。
私と貴方がじゅうぶんにいやらしくなってから……。

END

あらすじ

濡れた唇から滴る唾液。
恋の神に捧げる、美しくいやらしいキス。

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