女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 幼なじみの甘い脅迫 2話
絶対に秘密
「これ、どこに隠しておこう……」
そんなこんなでとっても危険な物体をバッグに入れ、葵は早足で自宅を目指していた。
もしも今事故にでも遭ってバッグの中身を他人に見られたら大変だから、交通安全には気を付けてめちゃくちゃ慎重に歩く。
家に帰ったら厳重に梱包してベッドの下にでも入れておこう。なんだかエロ本を隠す男子中学生のような行動だが仕方ない。
確かにずっと付き合っている彼氏と少々マンネリ気味なのは事実だった。
付き合いが長すぎるせいか、ときめきを覚える恋人というよりも熟年夫婦のようで、セックスもなんとなく流れ作業みたいになっている。しかも最近は仕事が忙しいらしく、会う時間もあまりない。
『長すぎた春』という言葉が頭をよぎり、もしかして飽きられてしまっているのでは……と落ち込む。
という悩みを以前菜々子に相談したのだが、さすがにその答えがこんな荒療治だなんて想定外である。
『彼氏と使ったら絶対燃えるから!』と力説されてしまったが、恥ずかしくて言い出せるわけがない。
実はアダルトグッズの現物を見るのも初めてである葵にとって、これを自分から使おうと誘うのはヒマラヤよりも高いハードルなのだ。
ドキドキしながら無事自宅に帰り着くと、ほっとして全身の力が抜ける。
幼馴染の祐樹

「お母さん、ただいまー」
ドアを開けて玄関を見ると、そこにはよく見慣れた靴が一足あった。
勝手知ったる我が家とでもいうようにど真ん中に置かれているスニーカー。それを見て小さく息を飲んだ葵は、たたたと駈けてリビングへと向かう。
「うそ、ゆうくん来てたの?」
「おう、おかえり」
そう言って出迎えてくれたのは、お隣さんの「ゆうくん」こと清水祐樹だった。
180cmの長身が、狭い建売住宅のリビングで窮屈そうにソファに収まっている。葵はぱぁっと顔を輝かせて、その隣にちょこんと座った。
「来るなら教えてくれたらよかったのに。なんだかすごく久しぶりな気がする!」
「あー、悪い。1ヶ月ぶりだっけ。最近残業に休出が重なって、家でも持ち帰った仕事してたんだ。今日は無理やり時間作ってみた」
「……ゆうくん、ほんと大変なんだね」
背も高くて精悍な彼が見た目に似合わないあだ名で呼ばれているのは、葵との付き合いが母親のお腹にいた頃からの25年来だからだ。しかも幼稚園から高校までずっと同じクラスだったという筋金入りの幼馴染。
仕事が忙しくなかった頃は祐樹はここで自宅のようにくつろいでいて、今だってものすごくリビングに馴染んでいる。
「葵、帰って来たならゆうくんにコーヒー出してあげて。お父さんに借りてた本を返しに来てくれたらしいんだけど、ゴルフでいないのよ」
「いえ、お気遣いなく。予定を確認せずに来た僕が悪かったので」
祐樹が爽やかな好青年スマイルを浮かべて遠慮すると、母はでれっと目尻を下げてお茶菓子を並べた。
昔から外面の良い祐樹は母のお気に入りだ。こんな息子が欲しかった、と真顔で言うため、本物の息子である葵の弟は微妙な顔をしている。
「いいのよ、葵にだってたまには女らしいことさせなきゃ。そうそう葵、お母さんこれからカッちゃんのディナーショー行ってくるから。夕食は適当に冷蔵庫にあるもの食べててちょうだい」
「はーい」
「じゃ、ゆうくんごゆっくりね」
祐樹ににっこりと笑いかけた母は、目一杯着飾って出て行った。
自分が実の娘のはずなのに、どうも扱いが逆転しているのは気のせいだろうか。
「……なぁ、あお。コーヒー淹れて。あおのコーヒーが飲みたい」
母がいなくなると、祐樹はソファに長い手足を投げ出した。
だらっと姿勢を崩して、他人の目がないとぞんざいな態度になるのはいつものことである。
人の輪の中心にいるタイプで容姿も整った彼は昔からモテるのだが、こういう甘え上手なところも一役買っているのではないかと葵は密かに思っている。
「はいはい、ちょっと待ってね。ブラックでいいんだよね?」
仕方ないのでコーヒーは淹れてあげることにした。
ソファにバッグを置いて、キッチンで手を洗う。見るとすでに電気ケトルでお湯は沸いており、コーヒー豆も挽いてあるから少しの手間だ。
「もうほとんど準備できてるみたい。すぐ淹れるね」
コーヒー好きの父が愛用しているドリッパーにペーパーフィルターをセットし、コーヒー粉を入れて熱湯を注ぐ。コーヒーカップを一旦温めてから、出来たてのコーヒーを注げば出来上がりだ。
「うん、いい香り」
ふんわりと鼻をくすぐるコーヒーの香りを堪能し、葵はカップをお盆にのせた。
彼と違って自分は甘党だから、ミルクピッチャーとシュガーポットも忘れない。
「あお、手伝おうか」
それをリビングに運ぼうとすると、珍しく祐樹が手伝いを申し出てくれた。いつもなら葵に任せっきりなのだが、たまには役に立ってくれるようだ。
「ありがと。じゃあこれ、お願いできる?」
「分かった」
熱いカップを指し示すと、祐樹がソファからゆったりと立ち上がる。そしてこちらに歩き出した時のことである。
「あ……っ!」
彼の膝が偶然、ソファの端から少しはみ出していた葵のバッグに接触したのだ。絶対秘密にしたいものが詰まっているバッグが不安定な場所でバランスを崩し、スローモーションのように床に落ちる。
その口はきっちり閉じていたはずなのに、なぜか中身がフローリングにこぼれ落ちた。
「あ、悪い。俺がちゃんと片付けるから」
「……っ! だめ! それ見ちゃいや……っ!」
「は?」
コーヒーを放り出して駆け寄ると、荷物を拾おうとしていた祐樹が怪訝そうに顔を上げた。それはそうだろう、彼は親切で片付けようとしただけなのだから。
疑問を口にする祐樹に目もくれず、葵は必死になって全てをかき集める。財布、スマホ、そして半分ほど中身が出てしまっていたピンクのラッピング袋。
絶対彼に見られてはいけない。
自分の体で彼の視線から隠すようにしつつ、必死になってたぐり寄せた。手のひらは嫌な汗で湿っている。
言いふらされたくないんだろ?

「……あお、それ何?」
しかしそんな努力も虚しく、背後から落ちてきた呟きが葵を突き刺した。
ドクン、と心臓が跳ねて、今にも口から飛び出しそうになる。彼にだけは知られたくなかったのに。どうしよう。
沸騰しそうな頭に血が昇って、葵はあたふたと俯いた。
「こ、これ……っ、あの……っ」
「へぇ……、あおは大人のオモチャなんて使ってたんだ。なに、欲求不満?」
「えっ! ち、ちが……っ」
床にうずくまっているすぐ後ろで、祐樹がゆっくりとしゃがみこんだ気配がする。
ふっと首筋に息を吹きかけられ、葵はぴくんと体を震えさせた。
これは菜々子からもらっただけだとか、持ってただけで使ったことはないとか。そんな言い訳をする暇もなく、見慣れた大きな手がパステルカラーのオモチャを掻っ攫っていく。
「あ……っ」
「ふーん、奥手のあおがねぇ」
からかうような声に、頬にかっと熱がこもった。
恥ずかしい、どうしよう、知られてしまった。
ぺったりと座り込んでいる葵にとって、立ち上がってそれらを検分している彼はいつも以上に大きく感じる。
「……なぁ。あおがこんなの使ってるって言いふらしたら、どうなると思う?」
それからしばらく、祐樹は無遠慮にパッケージを開け、スイッチを入れたり切ったりして遊んでいた。
しかしふと思いついたように、とんでもないことを言い出したのだ。
にやっと笑った顔は美しい悪魔のようで、葵は目を丸くして固まる。
「え、……それって、どういう……」
予想外の発言に頭がついていかなかった。
生まれる前から一緒にいる祐樹のことだから、彼の性格はよく知っている。リーダーシップがあって、明るくて、仲間の輪に入れない人がいたら率先して声を掛けに行くタイプ。卑怯なことが大嫌いで、誰よりもまっすぐな人だ。
だからそんな酷いことを言い出すなんて信じられなくて、葵は呆然と彼を見上げる。
それを悠然と見下ろした祐樹はやっぱり笑顔で、『あおが大人のオモチャを使ってるって、みんなに言ってみようかな?』とうそぶいた。
「……やだっ、もう返して!」
こうなったら実力行使だ。
葵は涙目で立ち上がり、ぴょんぴょんと飛び跳ねてみる。
そうやってなんとか彼の手から取り返そうと試みたのだが、敵は180cm。ひょいと持ち上げられては手も足も出ない。
155cmの葵は、圧倒的な身長差を前に敗北を噛み締める結果にしかならなかった。
「う、うぅ……」
「おいおい、泣くなって。俺も鬼じゃないし、言うこと聞いてくれたら返してやってもいいぞ」
「……なによ。泣かせてるのはゆうくんのくせにっ」
一転優しげになった声にも騙されず、葵はキッと身構えた。
そもそもこれは自分のものなのだから、交換条件が出る方がおかしいのではないだろうか。
しかしとにかく早く返して欲しくて、この件は忘れて欲しくて、葵は渋々承諾する。肩もみでも、コンビニへのパシリでも、犬の散歩でも(お隣の清水家では大型犬を飼っているのだ)なんでもしてやる、そのつもりだったのに。
「……これ、使ってるとこ見せて」
「は?!」
祐樹が持ち出したのはまさかの条件だった。
実はまだ手さえ触れていないのに、何段階も飛び越えて使っているところを見せろだなんて。驚きのあまり頭が真っ白になる。
そんなの恥ずかしくて無理に決まっている。
「あ、別に自分でやれとは言ってないよ。俺があおに使ってみたいだけだから大丈夫」
「だ、大丈夫って何がよっ?!」
彼の言っている意味がさっぱり分からない。
極限のパニック状態で口をぱくぱくさせる葵に、祐樹は真っ黒な笑みを浮かべる。
「なぁ、これ使ってるとこ見せて。……言いふらされたくないんだろ?」
彼の背後に、矢印の形の黒い尻尾が見えた気がした。
⇒【NEXT】幼馴染の祐樹に脅される葵は…(幼なじみの甘い脅迫 3話)
この漫画を読んだ方にオススメ!
あらすじ
親友の菜々子からアダルトグッズを誕生日プレゼントにもらってしまった葵。
エロ本を買った小学生さながらに、そわそわしながらラブグッズを持ち帰る葵。
しかし、葵がラブグッズの隠し場所を考えながら帰宅すると…
幼馴染の祐樹が家に遊びにきていて…。