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官能小説【1話】「気持ちいい」を聞かせて

同棲中のカレとの問題

★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブグッズで熱く感じる小説コンテスト」のLC賞作品です。

「ただいまー」

玄関で彼の声がして、私はすぐにドライヤーの手を止めた。
小走りで迎えに行くと、彼はふっとその表情を緩める。

「ただいま、美緒」
「お帰りなさい、圭ちゃん」

私が、彼――新田圭吾との同棲を始めたのは、半年ほど前のことになる。

「結婚を前提に、一緒に暮らして欲しいんだ」

付き合って1年の記念日にそう言われ、私は嬉しさのあまり泣いてしまった。

「えっ、待って! そんなに泣くほど嫌だった!?」

あわあわと私を心配する彼の様子がおかしくて、泣いていたはずの私は、いつの間にか大笑いしていて――

「違うよ、これは嬉し泣き」

涙を拭いながらそう答えた私に、圭吾はほっとしたように笑顔になった。
その優しい笑顔を見て、私は確信したんだ。
彼となら素敵な人生を歩んで行けるって。
だけど――

「お風呂入ってたの? 髪、濡れてる」

彼の手が私の髪を梳く。
骨ばった指がくるくると髪を絡めていって、それだけで胸がきゅんと締め付けられた。

「圭ちゃんも入る? それともご飯温めようか?」
「あー、いや。今日はもういいや。眠気に勝てそうにない」

圭吾は疲れたようにあくびをして、早々に寝る準備を整えた。
時計を見ると、もう0時を過ぎている。

「美緒も毎日こんな遅くまで起きてたら大変だろ? 先寝ててもいいんだからな」
「うーん……まぁ、明日休みだし、大丈夫」

圭吾は寝室に一歩足を踏み入れてから、ふと何かを思い出したようにUターンした。
そして、私の頬に優しく触れる。

「おやすみ、美緒」
「……ん」

彼の唇が近づいてきて、そのまま重なる。
触れるだけの優しいキスは、私の欲望を甘く疼かせてから、そっと離れた。

(……今日も、なかった)

私たちの間に、ただ一つだけ問題があるとすれば、それは。

――ここ数カ月、一度も「してない」。

同棲を始めたばかりの頃は、それこそ毎日のように身体を重ね合わせていた。
けれど彼の会社で人事異動があり、新しい部署に変わってから、セックスの回数は目に見えて減った。
残業続きで深夜に帰って来ることも多かったし、疲れているから仕方ないと最初はそこまで深く考えていなかったけれど、もしかしたらそれがいけなかったのかもしれない。
しなくなって数か月経っても、彼からは一度も誘われることはなくて、私だけが、積み重なっていく欲望を持て余し続けていた。

(今日は、金曜日なのにな)

別に、本気で期待していたわけじゃない。
ただ少しだけ、もしかしたらと思っていた。
もしかしたら、今日は抱いてくれるかもしれない……って。

小さくため息をついて、私は既に小さな寝息を立て始めている彼の隣に潜り込んだ。
同棲前に彼と選んだ木製のダブルベッドが、かすかに軋む。

(欲しいって思ってるのは、私だけ?)

いつもより年入りにお手入れした身体が心もとない。
心の中で彼に問うても、もちろん答えは返って来なくて、私は火照った身体をもぞもぞと動かした。

(ここに引っ越してきて、最初の夜だったかな……)

まだベッドしかないこの部屋で、圭吾に抱かれたのを思い出す。

官能小説挿絵:同棲中の彼とのエッチを思い出すシーン

「美緒、やばい、我慢できない」

舌先で丹念に蕩かされ、甘い嬌声を上げていた私を、彼は見下ろした。
切なげな、苦しそうな、熱を帯びたあの視線。
裸の彼越しに見える、まだ見慣れない天井。
私の中に押し入ってきた彼自身は熱くて、大きくて。
無意識にぎゅっと締め付けると、彼は小さく声を漏らした。

「っ、煽るな、って……」

彼が腰を大きく動かし、的確に私の弱いところを突いてくる。
私の身体を抱き締めながら、彼はため息に似た声でこう言った。

「すごい……美緒、ずっとこうしてたい」

私だって同じ気持ちだよ、って、あの時確かに思ったんだ。
圭吾の腕の中で、圭吾の熱を受け止めているあの時間が、私にとっての幸せだって。

(……エッチしたい、な)

無意識に下着の中に手を伸ばしてしまい、ハッとする。
圭吾の寝ている横で、彼に抱かれた夜を思い出して、興奮するなんて。
既に濡れてしまっているそこを意識しないようにして、目を閉じる。

(私、もしかして欲求不満……?)

ぎゅっと足を擦り合わせると、再び欲望の種に火がついて、私は結局、朝方まで眠れなかった。

ピンク色のローター

(買って……しまった……)

翌週の、週末。
休日出勤の圭吾を送り出して、私はクローゼットに隠していた小箱を取り出した。
中には、ピンク色をした小ぶりのローター。
忙しい彼に無理を言うわけにもいかないし、自分の欲求ぐらいは自分で解消しようと購入したものだ。
女なのに性欲を持て余すなんて、ひとりエッチがしたいだなんて、と初めは罪悪感を感じていたものの、調べてみると同じような悩みを持つ女性も多くて安心した。
ローターに電池を入れ、電源を入れてみると、かすかなモーター音とともにそれが震え始めた。

(これ……当てたら、気持ちいいかも)

ドキドキと鼓動が高鳴っていく。
下着姿でダブルベッドに寝転がり、大きく深呼吸すると、まずは手で胸を揉んでみる。

(圭ちゃんは、どうやって触れてくれてたっけ……)

目を閉じて、彼の手つきを思い出した。

「美緒はこうされるのが好きだよね?」

圭吾だったらきっと、ちょっと意地悪な顔でそう言って、胸の頂きをきゅっと摘まむ。
そのままコリコリ捻って、指で弾いて――

「あっ、ん……」

わずかに声が漏れて、途端に頬が熱くなった。
自分でしているだけなのに、声を出しちゃうなんて。
でも、どうせ誰もいないし、もっと気持ちよくなりたいし……。
ローターのスイッチを入れて、胸に当ててみる。

「んっ……!」

心地いい振動が、快感の波に変わっていく。
耐えきれずに、すぐにローターを足の間に動かした。
下着の上から当てるだけじゃもどかしくて、下着を脱ぐ。

「――っ!」

濡れそぼったそこに、直接ローターを当ててみると、痺れるような快感に息が止まった。

「あっ、あぁ、ぁ……!」

快楽の糸をさらに手繰り寄せようと、必死に圭吾の姿を想像する。

「美緒、かわいい」
「やばい、美緒の中……いい……っ」

耳元で囁かれる彼の低い声は、いつも私を煽り立て、追い詰める。

「ぁ、けい、ちゃん……やぁあっ」

きゅ、と胸の頂きを摘まんだ瞬間――高まっていた熱が弾けて、身体が跳ねた。

「はぁ……はぁ、は……」

(イっちゃった……)

肩で息をしながら、ぼうっと天井を見つめる。
あの夜は見慣れないと思っていた天井も、今では生活の一部になってしまった。

「圭ちゃん……」

ぽつりと呟くと、なぜか涙がこぼれた。
気持ちよかったのに、ちゃんとイったのに、でもやっぱり、彼じゃないと物足りない。
自分を慰めるはずの行為は、自分の中の熱に更に火をつけてしまった。
まだベッドの上で震えていたローターの電源を、そっと切った、次の瞬間――

ガチャ。

玄関で音がして、私はハッと顔を上げた。
続いて、耳に馴染んだいつもの声。

「ただいま」

(圭ちゃんが、帰ってきた……!)

休日出勤だから、いつもより帰りが早かったのだろう。
私は慌てて服を着て、ローターはとっさにクローゼットに隠す。

「あれ? 美緒―?」

リビングに入ってきた圭吾の、私を呼ぶ声がする。
涙を拭うと、笑顔を作って寝室を出た。

「け、圭ちゃん! お帰り!」
「……あれ? そっちにいたの?」
「ご、ごめんね、寝てた! ちょっと昼寝しようと思ったら、こんな時間に……」
「…………」
「……圭ちゃん?」

じっと私を見ていた彼は、問いかけると、困ったような顔を浮かべた。
一瞬、ひとりエッチをしていたことがバレたのではないかとドキッとした。
でも、違った。そうじゃなかった。

「美緒……泣いてた?」

彼の心配そうな声が、私の胸に、ちくりと刺さる――

⇒【NEXT】……あれ? そういえば。俺たち、いつからセックスしてないんだ?(「気持ちいい」を聞かせて 第2話)

あらすじ

半年前に結婚を前提に一緒に暮らし始めた二人。
同棲を始めた頃はお互いに毎日のように身体を重ねていたが、だんだん環境も変わり、以前のようにお互いを求めることが無くなった。
そんなある日…。

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