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官能小説 君が気づかせてくれたこと 後編
偶然の再会
まどかは1ヶ月に1回のペースで美容室へ通うようになった。
そのうち会社でも、ただ仕事ができるだけでなく、 「仕事ができる綺麗な先輩」として、 女性社員達から、更に一目置かれるようになった。
そんな声を聞くたび、照れくささを感じながらも、 もし本当に綺麗になれたのだとしたら、 「髪がサラサラになったこと」「恋をしていること」が理由だろうと思う。
まどかははっきり自覚していた。
自分は裕也に……年下の男の子に恋をしている。
そして、綺麗になった理由をもうひとつ付け加えるとしたら、
彼のことを考えながらひとりHをしているせいもあるだろうな、
と苦笑したい気持ちで思ってもいた。
空想の中の裕也は、年下だとは思えないほど、 積極的にまどかを悦ばせようとしてくれる。 焦らされているうちに、恥ずかしくなるぐらい濡れてしまう。
「嬉しいよ。まどかがこんなに感じているなんて……」
裕也はその部分を指で優しく愛撫してから、 ゆっくりと硬くなったものを入れてくる。
「裕也……!」
たまらなくなってまどかは裕也にしがみつく……。
美容室に通い始めてから半年が過ぎた。 季節はすっかり秋になっていた。 いつものようにカットとトリートメントを済ませ、 美容室を出て行こうとしたときだ。 エレベーターに裕也が一緒に乗りこんできた。
「今日は本当は休みなんです。まどかさんがいらっしゃると聞いたので、 俺、どうしても担当したくって出てきちゃったんです。 途中まで一緒に帰りませんか」
まどかが口を開く前に、裕也は少しはにかみながら言った。
銀杏並木の道を二人で仲良く…… 多少、ぎこちなく話しながら歩いた。
しばらく進んだところで、まどかは前方に見覚えのある顔を見つけた。 佐々木豊と白石寧々だ。 1年ほど前、共通の友人の飲み会で知り合った34歳の豊とは、 「付き合うかもしれない」ところまでいった。
だが、その未来は訪れなかった。 家庭的な女性を好む豊と、仕事にも力を注ぎたいまどかは、 結局結ばれなかった。
その後豊は、やはり共通の知り合いだった寧々と 付き合うことになったと聞いた。 まどかより3歳年下の、26歳の愛らしい女性だ。
「まどかさん、お久しぶりです」
声をかけてきたのは豊のほうからだった。
「年下の彼ですか?ステキですね!」
寧々が屈託なく話しかけてくる。こういうことに遠慮なく 踏みこんでくるのは、彼女の長所でも短所でもあった。
「彼じゃなくて美容師さんなんですよ」
あ、私いま、少し暗い顔をしているなと自覚しながら、まどかは答えた。 そのとき、唐突に裕也が割りこんできた。
「はじめまして、富岡裕也って言います。 俺、まどかさんの美容師なんですが、 まどかさんって仕事もできるし可愛いからモテるんですよね〜。 こんなときしかチャンスがないから、くっついて出てきたんです」
天真爛漫そうに自己紹介とも何ともつかないことを話す裕也に、 まどかはついふきだしてしまった。
寧々がなんとなく不機嫌になったのがわかる。 2組の男女は、それぞれの行く先に分かれていった。
彼と二人の空間
2人は結局、まどかのマンションの前まで一緒に来てしまった。
「さっきはありがとう。気を利かせて和やかなムードにしてくれたんでしょ?」
まどかはやっと礼を述べた。
ずっと言いたかったが、なんとなく口にしづらかった。
裕也は少し驚いたような顔をし、それから突然真剣な表情になった。
「いえ……俺、まどかさんに誰も近づいてほしくないって思っているのは、 本気なんです」
今度はまどかが驚く番だった。 普段の無邪気な様子からは想像できない、真剣そうなまなざしに胸が高鳴る。
何か言わなければ、と開きかけた口を裕也がキスでふさいだ。
「俺……真剣なんです。軽い気持ちでじゃなくて…… 本気でまどかさんのこと、幸せにしようとしても、いいですか?」
まさか、そんな。 涙がこぼれそうになった。だけど、ここでは流せない。 近所の人に見られてしまうかもしれない。
まどかは裕也の胸に顔を寄せて、指でぎゅっとシャツを掴んだ。 それが精一杯だった。 裕也はそんなまどかを抱き寄せて、腕に力をこめた。 それは「離したくない」という意志表示のように感じられた。
「……部屋、寄っていく?」
土曜日の昼間、まどかは裕也を部屋に招き入れた。 まどかは普段からあまり贅沢らしい贅沢はしない。 だが、住むところだけは、給料から許される程度には奮発している。
「楽にしてね」
と言ったまどかのほうが、ぎこちなかったかもしれない。 裕也は妙に真剣な表情で、出されたハーブティーを口にしていた。 それでも、ゆったりとしたテンポのジャズをBGMに流すと、 二人の間の緊張は少しずつほぐれていった。
美容院ではまわりを気にして話題にしづらかったことを、まどかは話した。 もう2年も彼氏がいないこと。 さっき会った豊と、じつは付き合う寸前までいったこと。 仕事に打ちこんだのは、 豊とのことを忘れたかったからかもしれないということ。
裕也も、初めてまどかが美容院に行った2ヶ月前に ずっと付き合っていた彼女にふられたこと、 そして、はじめて美容室に来た時から まどかに惹かれていたことを打ち明けてくれた。
気がつくと、外が暗くなりかけていた。 まどかは立ち上がってカーテンを閉めた。
「!」
息をのんだのは、振り向いた瞬間に、そこに立っていた裕也に 抱きしめられたからだ。 キスしてきたときと同じ、優しそうな見た目からは想像できない力強さだった。
「もう一度聞かせて下さい。 俺、本気でまどかさんのこと、幸せにしようとしてもいいですか?」
シャワーを順番に浴びてから、2人はベッドに横たわった。 裕也は首筋を撫で、胸もとに唇を這わせてきた。
想像の中の裕也は、ただ力強いだけだった。
年下らしくがむしゃらにまどかを求めてきたし、
まどかもそうされたいと望んでいた。
だけど、実際の裕也は違った。
力強く、激しいことは同じだが、それ以上に優しく、
宝物をいとおしむようにまどかを愛撫する。
「……あっ」
裕也の思いが唇や指先から電流になって溢れているようで、 触れられるたびにまどかは体を小刻みに震わせた。
「ずっと、こうしたいと思っていた……」
裕也が耳元で囁く。
「私も……!」
また、目の奥が熱くなった。 今度はまどかが裕也を思いきり抱きしめた。
愛してくれた理由
「あいつのこと…もう忘れてほしいんだ」
ふいに裕也が言った。一度終わったあともまだ離れられず、 後戯とも前戯ともつかないじゃれあいをしていたときのことだ。
まどかにとっては「ふいに」だったが、 裕也のほうはずっと考えていたらしい。 整った顔の眉間に刻まれていた皺が、そう語っていた。
「…あいつ?」
「さっきの、あいつ…」
豊のことを言っているのだと、やっとわかった。
「あいつと話すまどかさんを見たときに、
俺…どうしようもなく苦しくなったんだ。
今日だって本当は家にまで来るつもりじゃなかった。
抱きしめたりキスしたりなんて、嫌われたらどうしようって、
今まで考えたことはあっても、できるなんて思えなかった。
でもあの時、今、まどかさんをつなぎとめておかなかったら、
まどかさんの気持ちはあいつのところに
戻ってしまうかもしれない、って…」
「バカね」
まどかは笑って、裕也の額に軽くキスをすると、 彼の手を胸に押しつけた。 左胸、心臓の鼓動が伝わるぐらいに強く。 胸の形がやわらかく変形して、まどか同様に優しく笑ったように見えた。
「もうとっくに忘れてるわ。あなたがいてくれたおかげで」
「…本当?」
「本当よ」
裕也は安心したように大きく息を吐いて、まどかの髪に顔をうすめた。 だが、すぐにもぞもぞと体を動かし始めて、 まどかの脚の間に腰を入れようとしてきた。
「ごめん、今のを聞いたら、もう一度したくなっちゃった」
太腿に触れた裕也の「それ」は、たしかにすでに硬くなっていた。
「いっぱい、濡らすね」
裕也は体を移動させて、まどかの「その部分」に顔を近づけた。 まだ「いい」とも、「だめ」だとも言っていないのに。
だが、その性急さがまどかには心地よかった。 あたたかい舌で愛されて、まどかはかすかな喘ぎ声をあげた。
夜が更けてもなお、ふたりはベッドで抱き合っていた。 まどかを抱き寄せる裕也の手は、変わらず力強かった。 やっと結ばれたまどかを、もう二度と離したくないとでもいうように。
鼻先にある裕也の胸もとから、香水と汗の混じった爽やかな匂いがする。 少し息苦しかったが、それがたまらなく幸せだった。
「ねぇ、どうして私を好きになってくれたの?」
まどかは顔を上げて理由を尋ねた。 裕也はきょとんとした顔つきになった。 突然の質問にびっくりした、という顔。
この子、やっぱりかわいいと、 まどかは先ほどまでの裕也の男らしさを一瞬忘れそうになった。
「うまくいえないけど…キラキラしていたんだ」
「キラキラ?」
「うん、仕事もがんばっているし、キレイにもなろうとしていて… ひとつのところに留まったり満足したりしないで、 上を目指そうとする姿が、何だか眩しくて…」
言葉を選びながら説明する裕也が、これまで以上にいとおしく感じられた。 仕事も頑張って、キレイにもなろうとして…
本当のことをいえば、今まではそれを少しむなしく感じていた。 でも、ちゃんと見ていてくれた人がいた。 見て、愛してくれた人がいた。 頑張って、よかった。
「ありがと」
まどかは裕也の手をぎゅっと握った。 また涙が溢れてきたが、今度は隠さなかった。
<君が気づかせてくれたこと 〜おわり〜>