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官能小説 おんなの、秘めごと 3話
内緒のエッチ〜対照
高志と、田島。
2人はワインの好みや読書など、趣味の分野で少しは話が合いそうだが、容姿と性格についてはほとんど共通点がない。
文系でインドア、生真面目でやや内向的な部分のある高志と、スポーツマンで快活、開放的な雰囲気の田島。
高志にあるものは田島になく、田島にあるものは高志にはない、という言い方は安直だろうか。田島のことはまだ何もわからないのに。
「へえ。珍しいじゃん、優子が一目惚れするなんてそんなにいい男なの?」
バーテンの雅人はそう言って、よく冷えたグラスに2杯目の生ビールを注いだ。
日曜の夜23時半、2組の客が帰り、私1人がカウンターに座っている。
雅人とはもう10年以上の付き合いになるだろうか。
若い頃に短期間だけ付き合ったのだが、些細なことで別れてしまった。
それからはずっと友人の関係で繋がっている。今となってはよき相談相手だ。
「いい男だよ。うちのお店のワイン売り場担当なの。あたしの3つ上で、33歳、独身」
私は生ビールをひと口飲んで含み笑いをした。
「彼氏はどうすんの。付き合って長いんだろ。男だって、そういうのはすぐに勘づくんだよ」
「勘違いしないでよ。田島さんはただの同僚。何もないってば」
言葉とは裏腹なものだ。私はカウンターに頬杖をつき、田島と親密になっている様子を脳裏に思い描いた。
空想の中
田島は、酔ったはずみでさり気なく肩を寄せてくる。
私もわずかに近づき、視線は赤ワインのグラスの縁に落ちる。
言葉は交わされない。
代わりに、田島の呼吸を聴いている。
ブルースが漂うほの暗い中を、時が流れていく。
田島と、肌を合わせられたら…と、私は思う。
股間の膨らみ――。
田島のものはすでに張り裂けそうなくらいみなぎっている。
予想した通り、大きい。私の小さな口に収まるだろうか…。
私は舌を伸ばした。
肉に触れると、隆起したものがピクンと小さく跳ねた。
肉の上に走る細い筋に沿い、下の方から上の盛り上がりに向かって舌を這わせていく。口に含んだら、歓喜で涙が出るに違いない。
混迷の夜
24時になり、店先にある看板の電気が消された。
「店も終わりだし、俺もそろそろ飲もうかな」
ロックグラスに大きな氷を入れた雅人は、
ライムを絞ったあとにジンを3分の1まで注いだ。
「あたしもジンライムにする」
「え、赤ワインじゃなくて?」
「今日は違うのがいいの。ワイン、いつも飲んでるもん」
「そうなんだ。優子は酒なら何でも飲めるよな」
雅人は2人分のジンライムを持って、私の右隣に座った。
また今日も徹夜なのだと、高志は言った。
今日だけでなく、明日も、明後日も。仕事が好きなんだろうと思う。
仕事というよりは小説や本を作ることが好きなのだ。
小説家になる夢を諦めきれないのだろう。
私はそんな高志を応援したいと、確かに思っていた。
店内に流れていた音楽が消え入るように止まった。
グラスの中は空だ。
「だいぶ飲んじゃった。そろそろ帰ろうかな」
「また近いうちに来てな」
私に向けられた雅人の目は、ひどく艷めいていた。
視線に息をのんだ。
目を見つめていると、唇はまるで引き合うように重なりあった。
雅人の唇は柔らかく、心地よかった。もう、何もわからない。
夢中で舌を舐め合い、吸い、唾液を飲み干した。
それは微かに甘い味がした。
END
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あらすじ
高志と、田島。
2人は容姿と性格についてはほとんど共通点がない。
高志にあるものは田島になく、田島にあるものは高志にはない。
それなのに空想の中、田島と、肌を合わせられたら…と、私は思い…