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官能小説 その指が恋しくて 後編
ずっと、こうしたかった…
「あ…、これ」
植物園で、ふと1つの植物に手を伸ばした。 そのとき、瑛次さんの手も同じ葉に伸びて、ふたりの指先が触れあった。
―――最初に会った喫茶店で、瑛次さんと4度目のコーヒー。
ここで会うのが定番になったかな… と思っていたところに、植物園に誘われた。
喫茶店でも植物園でも、瑛次さんと私は、 ちょっとした距離を保っていた。
恋人ではないのだから当たり前だけれど、 (もう少し近づけたら嬉しいな…) という気持ちがなかったと言ったら大嘘になる。 そんなとき、偶然にも手が触れた。
「あ…」
と小さくつぶやいて、手を引こうとすると、 瑛次さんは、反対にグッと手を寄せてくる。 そして、私の手を握った。 私は、彼を向いたけれど、彼は目を合わせずに手を握り直し、歩き出した。
植物園の中の大きな温室。 その気温のせいではなく上がっていく体温が、 繋いでいる右手に集中していく。 緊張で、思わずギュッと握りしめてしまう。
瑛次さんもそれにギュッと返して、 「どうして手を離さないの?」 と、私の目を覗き込んできた。
「どうしてって…」
私は、周りに人がいないかと、キョロキョロしてしまう。 死角になっている場所ということもあって、人が近くにいる気配はない。
「ねぇ、こっち見て」
真剣な声に視線を彼に戻す。
「僕は、好きだから手を握ったんだよ」
「…私も」
あまりにもまっすぐな視線に、小さいながらもはっきりとした声で答える。
「よかった…。彼女になってくれる?」
瑛次さんの表情が急に柔らかくなっていく。
「うん」と頷きながら、私の頭には一気に血が昇っていった。
それから、瑛次さんにあれこれと説明をしてもらいながら、植物園の中を歩いた。 詳しい人に話をしてもらいながら見てみると、 今までただの葉っぱに見えていたものに、顔があるように思えてくる。 たくさんの植物と瑛次さんの笑顔を交互に見ながら、右手に温もりを感じ続けていた。
植物園を出て駐車場まで戻りながら、瑛次さんは 「明日も休みだったよね?」と訊いてきた。 「うん、瑛次さんもだよね?」と返すと、沈黙が流れる。
(どうして、何も言わないんだろう…。 明日もふたりとも休みなら、一緒にいたいな。 でも、そんなことハッキリ言えないし…。 あ、ガーデニングしてるベランダ見せてもらうのは、いかにも口実っぽいかな…)
「里美さん、うち来る?」
「ベランダ、見せてくれる?」
ふたりの声が、同時に沈黙を破って、思わず笑ってしまった。
瑛次さんの自宅の駐車場に着くと、 彼は「公園に寄ってから部屋に入ろう」と言って、 アパートの隣にある公園へと連れて行ってくれた。
「植物園の大きいのとか珍しいのとかもいいけど、こういう草花も好きなんだよね」 と足元の草花に目を落とす彼は、それまで見たどの彼よりも、優しい顔をしていた。
「あ!」
私は、思わず声を出してしまった。 「四つ葉!」と1つのクローバーを摘む。 せっかくだからと、私たちはふたりでクローバーとシロツメクサを少しずつ摘んで、瑛次さんの部屋に入った。
部屋に入るとすぐ、瑛次さんは 「こうすると四つ葉が見えやすいよね」と言いながら、< クローバーとシロツメクサを小さな花瓶に挿して、 それから、ガーデニングをしているベランダを案内してくれた。
整然としたベランダに、生き生きとした植物が並んでいる。
「けっこう小さいスペースでも、こうやってできるんだよ」
1つ1つの植物を丁寧に説明してくれながら、瑛次さんは、 ちょっと枯れた葉を取り除いたり、土に手を当てて何かを確かめていたりした。
(やっぱり、優しい人なんだな…)
そう思いながら部屋の中に戻る。 そのすぐ後に、瑛次さんも部屋に入って来る気配があった。 窓を閉める音がする。
その後すぐ、カーテンを閉める音も聞こえた。
(まだ夕方なのに、どうして…?)
振り返ろうとすると、しなやかな腕が、それでもグッと力強く私を抱き寄せた。
「…え?」
という私の声は、きっと瑛次さんには聞こえていない。
「こうしたかったんだ、ずっと。こうして、里美さんを抱きしめたかった…」
腕の力を少しも緩めないで、瑛次さんは耳元でささやいた。
肌に、触れたくて…
「こうしたかったんだ、ずっと。こうして、里美さんを抱きしめたかった…」
ベランダから部屋に戻った途端、 後ろから抱きしめてそう言った瑛次さんの声が、頭の中に響き続けていた。
どれくらい、抱きしめられていたんだろう…。 私は、自分の体を彼に預けていた。
「ねぇ…」
瑛次さんは、言葉と同時に私を自分の方に向けて、まっすぐに視線を結んだ。 強い意志があって、でも照れくさそうで…。 何かを訴えているようで、でも尋ねているようでもあって…。
彼の顔が近づいてくるのが先なのか、私から顔を寄せたのが先なのか、分からない。 分からないけれど、私たちは、唇を重ねていた。
柔らかく吸い付くような瑛次さんの唇。 自分の唇も、こんなに柔らかかったのかと驚くほどに、とろけていく。
「嬉しい…」
唇が離れると、私の口からは、無意識に本音が出た。
「嬉しい?」
濡れた唇を撫でてくれる指が、うっすらと視界に入ってくる。 小さく頷いて、私は、彼の腰に手を回して自分の体を寄せ、また長いキスをした。
「いいの?」
私の背中を撫でながら、唇の隙間から瑛次さんが尋ねる。 私は、いっそう強く彼の舌に吸い付いて、答える。
わざわざ丁寧に言葉で確かめてくる繊細さは、 植物を育てて毎日のように手入れをしている彼らしい…。 くすぐったいような気持ちになって、私も「して…」と言葉にした。
ベッドに私を寝かせると、瑛次さんはさっき公園で摘んできた シロツメクサとクローバーを挿した小さな花瓶をベッドサイドに置いた。
「可愛い」
花瓶を見てつぶやく私の唇を、また瑛次さんの唇が塞ぐ。
服の上から私に触れる彼の指を感じると、 この指を思って自分をきもち気持ちよくしていたことを思い出す。 一気に紅潮していくのが自分でもわかり、 照れ隠しのようなごまかしのような気持ちで、彼のシャツのボタンを外した。 同時に、彼も私のワンピースのファスナーを下ろす。 そこからは、それまでの慎重さとソフトさが嘘だったかのように、一気に服を脱がせ合った。
「触れたいの…」
彼の腕をシャツから抜きながら、私は耳元でささやいた。 彼は、小さく「うん、僕も」と返事をすると、 さらに熱さのこもった手つきで、私の下着まですべて器用に脱がせた。
「こうしたかった…」
皮膚だけで包まれたお互いの体を抱きしめ合いながら、 瑛次さんはほっとしたように言った。
それから、私の背中、肩、脇腹、お腹へと指を這わせて、優しく撫でてくれる。 細胞の壊れやすい葉を触るように、そっと。 彼の指先を感じるだけで、私の体はビクンと小さく波打つ。
「くすぐったい?」
「ううん…きもちい…」
彼の指が、おへそから少しずつ上がって、胸に届く。 そして、柔らかなふくらみを手で包み込む。
「あっん…」
思いがけず声が出て、私は自分で驚いた。 彼に撫でられるうちに、こんなに敏感になっていたんだ…。
チュパチュパと音を立てながら柔みを舐め、 ときどきその先端を舌で突きながら、 瑛次さんは「綺麗な肌…」と口にした。
そして、ベッドサイドの花瓶に手を伸ばす。 シロツメクサとクローバーを数本花瓶から抜くと、ニコリと笑って私に見せた。 不思議顔をしている私に、彼は「思いついたんだ」と 私の左右のふくらみのあいだへとシロツメクサとクローバーを置いた。 一瞬ヒヤッとして、でも、柔らかくて優しい感触。
「やっぱり…里美さんの綺麗な肌に、すっごく映えるよ…」
綺麗だ、とまた言って彼は、可愛らしい草花を私の胸の上で少し揺らした。
「んんっ…恥ずかしい…」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど…」
身をよじった瞬間、シロツメクサが乳首に触れた。 ビクッとするほどの快感が走って、「はぁん…」と息が漏れてしまう。
「ダメじゃないんだね…」
さっきはニッコリと笑っていた瑛次さんなのに、 今度は意味深な笑みを浮かべて、緑と白の草花で私の肌を撫でる。 胸から鎖骨へ…、また胸に戻って、今度はおへそに…。 私が身もだえると、脇腹から背中に…。
「瑛次さん…。いい…」
人の肌とは違う、ささやかではかなくて、でもちゃんと命が通っていて、 撫でられるほどに私の体温に馴染んでいく、小さな葉。 そのなめらかさに、私の全身が絡みついていくようだった。
その指が恋しくて…
「こんなに濡れてるよ…」
瑛次さんの声に、ふと我に返る。 クローバーとシロツメクサを、おへそよりもずっと下に這わせて、片手でそっと私の脚を広げる。 太ももの付け根まで、蜜が溢れている。
「いやん…」
思わず脚を閉じると、瑛次さんは「可愛い…」と言って小さな命を花瓶に戻した。 それから「これで両手が使える」と私の隣に横になって抱きしめてくれる。 そして、右手だけをそっと私の蜜が溢れる泉に伸ばす。
「あぁんっ…」
瑛次さんにしがみついて、快感をこらえる。
「我慢しなくていいから…。いっぱい、声、きかせて」
泉の中に指を忍ばせて、指の付け根でクリトリスをそっと揉んでくれる瑛次さん。
(この指が、恋しくて…。この指を、ずっと待ってた…)
「あぁ…瑛次さん…そこ…そこ…。んんっっ…うんっ…あぁ…ダメ…」
「すごいよ。どんどん溢れてくる…。気持ちいいんだね…」
私の耳の中に舌を伸ばしながら、瑛次さんは「すっごく綺麗」と息を吹きかける。
「それにね、里美さん、すっごくいい香りなんだよ。 草花の青くてピュアな香りと、とってもマッチしてる。 甘くて、でも芯があって。僕の大好きな香り…」
私は、吐息の間に間に「本当?」と聞き返すので精一杯だ。
「本当だよ」という彼に反応するように、私も彼の硬い中心へと手を伸ばした。
「…うぅぅ」
息がつまって、一瞬指も舌も動きが止まる彼。 その隙をついて、彼の耳に舌を伸ばし入れる。
私たちは、お互いの中心を、植物を傷めないようにするような優しさで包み合い、撫で合った。 愛おしくて、恋しくて、まだ恥ずかしくもあって…。 そんな気持ちが、お互いを包み込む手から伝わってくる。私は本当に、このまま何も変わらない日々が続いていくのかと、 諦めような不安のようなモヤモヤを、感じて過ごしていた。 でも、出会うべき人がいれば、こんなに自然にすべてが動いていく。 枯れたときに落とされた植物の種が、土の中で静かに準備をして、 やがてときが来れば芽を出すように。 私の中の眠っていた恋の種は、今、芽吹いている。
…髪を撫でながら腕枕をしてくれる瑛士さんの腕越しに、 小さく揺れるシロツメクサとクローバーが目に入った。
<その指が恋しくて 〜おわり〜>
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あらすじ
不意に手が触れ、そのまま告白…両思いとなった2人は、瑛次のアパートへと向かう。
ベランダを眺めたあと部屋に戻ると、突然後ろから抱きしめられて…?!