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官能小説 【となりのS王子小説版】恋におちたら 最終話
初めての夜
レストランの近くにあったホテルの狭い部屋に着くと、私はソファにバッグを置いた。窓もなく、小さい二人掛けのソファとそれに合わせたガラス製のテーブルが置かれている。奥に見えるダブルベッドに、私は久しぶりの緊張感を覚えていた。 編集長はホテルに来る前に寄ったコンビニの袋とホテルの部屋の鍵をテーブルに置くと、ソファに腰を掛ける。私も編集長に続いて腰をかけた。
「香奈ちゃん、本当にいいの?」
「うん……」
「酔った勢いで言ってない?」
「もう……。そんなこと言うなんてひどい……」
「だって、田中くんのこと、好きなんじゃないのかなって。無理はさせたくないんだよ」
「田中さんのことはもういいんです。その名前出すのやめましょう?私は編集長がいいんです」
「どうして……って、訊くのは意地悪かな」
「編集長と一緒にいると落ち着くから…。今まで誰かの隣にいて、ほっとしたことってなくて」
「俺の隣はほっとするんだ?」
私は頷く。恥ずかしくて、私は編集長から目をそらした。
「可愛い」
そう言って、編集長は私を抱きしめる。 やっぱり、ほっとする……。
「香奈ちゃん、好きだよ」
初めて聞いた“好き”って言葉が何度も頭の中でリフレインする。 編集長は私の頬を両手で包み込むと、優しく唇を重ねた。一度交わしたキスは何とも繰り返され、次第に深くなっていく。編集長の舌が私の唇を割って入り、そのまま、舌と舌が絡み合う。
「んっ……」
思わず声が漏れた。 けれど、編集長は気にせず続ける。
「んんっ……」
編集長は私の唇から自分の唇を離すと微笑んだ。
「可愛い」
「もう……」
「だって、可愛いから」
編集長は立ち上がると、私のことを軽々と持ち上げた。
「えっ……」
「ベッドまで運んであげる」
編集長は私をベッドに静かに下ろすと、再びキスで口を塞ぐ。そして、私の胸に触れたのち、丁寧に洋服を脱がせていった。
「香奈ちゃんの肌、スベスベでキレイだね」
「ふふ、ありがとうございます」
千夏さんにこの間もらったシャイニングラブエステでケアしてるからかな……。 編集長が首筋に這わせた唇が鎖骨へと下りてくる。そして、胸の膨らみから先端へと辿り着き――。
「やんっ!」
胸の先端を口に含まれた瞬間、味わったことのない快感が一瞬で駆け抜けて行った。
「可愛い」
そう言うと、編集長は私をベッドへ押し倒す。
「編集長……」
「何?」
「恥ずかしいから電気消してほしいです……」
「俺はこのまま見てたいんだけどな」
「えっ……きゃっ!」
編集長は私のお願いを聞き入れるどころか、スカートを捲り、そのまま私の一番敏感な部分に触れた。
「本当に可愛いね」
「編集長のバカ……!」
「バカ?ひどい言われようだなぁ。ちょっと触っただけでこんなに濡れてるのに」
「恥ずかしいから、言わないでください……!」
「そうやって、照れてる香奈ちゃんも可愛い」
「もう……可愛いって言い過ぎです……!」
「だって、可愛いからさ」
そう言って、編集長は私の下着を脱がして、優しく愛撫する。その細く長い指が私の中に入ってきた瞬間、私は「あっ」と小さく声を上げた。
「ごめん。痛かった?」
「ううん、大丈夫です」
編集長は私の体の中でゆっくりと指を動かしながら、そっと口をつけた。
「やぁっ……」
何度も優しく指を動かされ、自分の体温が上がっていくのがわかる。編集長が私の身体の中から指を引き抜いた瞬間、私は自分でも驚くほど切なげな声をあげていた。
「編集長のも……」
「俺はいいよ。今日は香奈ちゃんを気持ちよくさせてあげたい」
私が編集長のベルトに手を掛けようとすると、編集長は私の手を取り、優しく制止した。
「でも……」
「また今度してもらうから」
編集長は自分で手早く脱ぎ捨てると、私を見下ろす。予想外にも編集長の身体はきちんと鍛えられていて、頼もしく見えた。 編集長は私の脚を広げると、自分の身体の一部を私の秘部にあてがう。そして、そのまま、ゆっくりと私の身体の中に入ってきた。
「やっ、あっ……」
「力抜いて」
緊張してる私に編集長は優しく囁く。
「ゆっくり動くからね」
編集長は私の身体に負担ならないようにゆっくりとピストン運動を始めた。
「あっ、やぁっ。編集長……」
「ねぇ、敬介って呼んで」
編集長は腰を動かしながら言う。
「敬介……さん」
「ふふ、香奈ちゃん、ずっと名前で呼ばれたかったんだ」
「敬介さんって……?」
「うん……。気持ちいい?」
「すごく気持ちいい」
「じゃあ、もっと気持ち良くしてあげる」
敬介さんは私の腰を掴むと角度を変えて、奥深く突き上げた。
「ああんっ」
敬介さんは身悶える私を見下ろしながら、ピストン運動を次第に速めていく。
「敬介さ……ん……っ」
「香奈ちゃん、どうしたの?」
「私……」
「もしかして、イキそう?」
私は敬介さんの言葉に何度も頷いて見せる。
「いいよ。たくさんイカせてあげる」
初めて身体を重ねたのに敬介さんは私の敏感な部分をわかっているようで、何度も私を快感に誘う。

「んっ、やぁっ、ああっ……」
「香奈ちゃん、俺ももうイッていいかな……?」
「うん……」
敬介さんはピストン運動を速め、そして果てた。 私は敬介さんの汗ばむ身体をぎゅっと抱きしめる。 腕の中には敬介さんがいる。その事実が私の心に安堵をもたらしていた。
月日は流れ
敬介さんと付き合い始めて、もうすぐ半年になる。 予定通り、敬介さんは新雑誌の編集長になり、ナチューレの編集長には千夏さんが、副編集長には田中さんがそれぞれなった。そして、私は変わらず千夏さんの下で働いている。
一つだけ変わったのは、私にも後輩が出来たということ。多分、私は以前よりしっかり仕事をしていると思う。プライベートが充実しているのも理由としては、きっと大きい。
今日も敬介さんと仕事の帰りにデートの約束をしてる。付き合って半年の記念日を祝おうって、敬介さんが提案してくれたから。
最高の記念日
敬介さんと初めて来た夜景の見えるレストランバーに着くと、すでに敬介さんは席にいた。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
「大丈夫だよ。思いの外、取材が早く終わっただけだから」
敬介さんは優しく微笑む。 この笑顔の隣にいるだけで、私は安心していられる。 シャンパンを飲み、美味しい料理を食べながら、いつものようにお喋りをした。 それだけなのに、私の心は幸せで満たされる。
「敬介さんとの食事はやっぱり楽しいな」
「俺も香奈ちゃんと一緒にいると楽しいよ」
「ねぇ、デザートは何食べる?」
「デザートなんだけどさ、実はもう頼んであるんだ」
「えっ?」
「ほら、今日は半年記念日でしょ?」
「ありがとう。すっごく嬉しい」
敬介さんは編集長で忙しいはずなのに、全然私にそんなことを感じさせない。それどころか、いつも私が喜ぶようなことをしてくれる。 勿論、年上だし、女性に慣れてはいる。だけど、私のことを大切に思ってくれているから、私の為に時間を作ってくれるし、大事にしてくれるんだと思う。
「ほら、デザートが来たよ」
敬介さんに言われて、店員さんの方を見ると、花火のついたケーキが運ばれてくるところだった。
「うわー!すごい!」
店員さんは私の前にケーキを置いた。ケーキの上には“Will you marry me?”と書かれてある。
「これって……」
驚いて敬介さんの方を見ると、敬介さんは少し照れたように笑った。その手にはリングケースがある。
「俺と結婚してくれる?」
敬介さんはそう言うと、リングケースをゆっくりと開く。その中には光り輝くダイヤモンドの指輪が入っていた。
「夢みたい……」
「香奈ちゃんの答えは?」
「勿論!」
嬉しさのあまり涙があふれ、頬を伝う。そんな私の左手に敬介さんはそっと指輪をはめた。

誓いのその日に
今日、私は結婚する。
でも、不思議だなぁ……。 ずっと敬介さんと私は、上司と部下だったのに。 出会いが運命に変わる瞬間があるなんて思いもしなかった。 バージンロードを歩き、今、私は敬介さんと肩を並べて、神父さんの言葉を聞いている。
そして、誓いの言葉を口にし、見つめ合って、誓いのキスを交わした。付き合って半年だけど、いろんなことがあった。片思いは実らなかったけれど、実らなかったのは敬介さんとの恋の為だって今なら思える。
だって、今の私は誰よりも幸せだもの――。
END
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あらすじ
レストランの近くのホテルに部屋を取った香奈。
奥に見えるダブルベッドにこれからの展開を想像し久々の緊張感を覚えていた。
「香奈ちゃん、本当にいいの?」と編集長が優しく聞く。
その問いに香奈は…!?