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官能小説 【小説版】シンデレラになる方法 番外編 〜誓子の場合〜 第7話
体の奥に灯った火
プロデュースから離れて1ヶ月あまりが経とうとしていた。
誓子は今日も美術館めぐりのため、仕事が終わると逆方向の電車に乗る。ここのところ、翔子と草山は頻繁に家で結婚式の打ち合わせをしていた。時が経つにつれ、多少なりとも現実を受け入れられるようになってはいたが、やはりまだ2人を微笑ましく見守られるほどの余裕は誓子にはなかった。
できるだけ遅くなるよう、少々遠回りして帰宅するのが、いつの間にか日課になっていた。
ガタン、と地下鉄が動き出し、ホームの景色が流れていくと、ひたすら窓には自分の姿が映し出される。
美しく整えてもらった髪はだらしなく伸び、メイクもさぼりがちで眉毛がぼさぼさし始めていた。肌も十分なケアができておらず、すっかりツヤが失われている…。失恋が及ぼす精神的なダメージは、誓子自身も驚くほど、美への関心を奪っていった。
目的の駅に着くと、誓子は人込みにもまれながら美術館へとたどり着いた。閉館間際のためか、チケット売り場は人もまばらだ。
今日観に来たのは、江戸時代の春画をテーマにした特別展だった。男女のもつれあう絵画を人前で観ることにかなりの抵抗はあったが、めったに公開しないめずらしい作品もあると聞いて、好奇心が勝ってしまったのだった。

人の少ない時間帯に来て正解だったわ、と密かに安堵しつつ、誓子はじっくり春画を観ていくことにした。
着物をはだけさせながら陰部を交合させている…というようなエロティックな絵ではあるが、構図や背景、シチュエーションや色使いなど、そのすべてが美しい。不思議と不純さや汚らわしさなどマイナスな印象は微塵も感じさせず、もはや崇高な気品さえ漂う。
セックスの経験がない誓子でも、性交の雰囲気や情緒を感じ取ることができた。
――セックスって…素敵だわ
失恋のせいで男女の色恋事から目を背けようとしていた誓子だったが、春画を観ているうちに、少し前向きな気持ちが芽生えてきたのを感じていた。愛する人と抱き合ったら…どんな気持ちになるのだろう。
展示も後半に差し掛かったあたりで、誓子は1枚の絵に目が留まった。それは着物を着た女性が下半身を露出させ、足の間に何かを挿し入れているものだった。
絵の説明を見ると、『江戸城内にある、将軍の妻たちが生活した大奥では、男子禁制のため、張型(はりがた)という男性器の形をした道具で女中たちの性欲を満たしていた』とある。
――す、すごい…!
初めて見る女性の自慰姿に、誓子は戸惑いつつも興味がわいた。なんとエロティックで美しいのだろう。400年以上前から、女性の性というのはこんなにも進んでいたのか。
まじまじと見ているうちに、体の奥にポッと小さな火がついたような感覚を覚えた。誓子は思わず胸に手を当てる。心臓がドクドクと大きく高鳴っているのがわかる…。
すると突如、ガチャン、という音で我に返った。近くの学芸員が椅子を畳んでいる音だった。どうやら閉館時間が迫っているらしい。
誓子は慌てて早歩きで他の絵を観たが、あの女性の恍惚とした姿が頭に残り、しばらく胸の高まりが収められなかった。
突然届いた“プロデュース最終兵器”
興奮した気持ちを抱えつつ、誓子は自宅へとたどり着いた。玄関のドアに手をかけ、誓子は一度深呼吸をする。
春画の高揚を抑える意味もあるのだが、翔子と草山が家にいたときに動揺しないよう、心の準備をするためでもあった。
ふうぅ、と息を吐き切ると、誓子はしゃんと前を向き、意を決して勢いよくドアを開けた。そして玄関に草山の靴があるか確認したが、どうやら今日は来ていないようだった。翔子の靴もないので、今日は外でデート中なのかもしれない。少しホッとして、肩の力を抜いた。すると母親が出てきた。
「誓子ちゃん、おかえりなさい。今日も美術館?」
「うん、ギリギリ間に合いそうだったから行ってきたの。遅くなってごめんね」
「そう、見られてよかったわね!ご飯、できてるから食べなさい」
そう言って母親はリビングに戻ろうとしたが、ふと立ち止まって振り返った。
「あ、そうそう。誓子ちゃんにお届け物が届いてたわよ。部屋に置いといたから見てみて」
お届け物?誓子は何か買い物でもしたかと自身の記憶をたどったが、特に身に覚えがなかった。不思議に思いながら自室へと向かっていると、ハッと予感めいたものを感じた。
――まさか、あの人から…
急いで部屋に入り、机の上に置かれていた箱に飛びつくと、予想は的中していた。
「やっぱり、真樹夫さん!」
差出人のところには『須藤真樹夫』と書かれていた。誓子はみるみるうちに罪悪感が募ってきた。
――やっぱり見限られたかな…
真樹夫の屋敷に置いていた誓子の私物か何かを送り返してきたのだろう。あんなに親身になって誓子を美しくしてくれた真樹夫に対して、自分がした仕打ちは見限られても仕方がない…。
覚悟を決めて、誓子が箱を開けると、箱の中にはピンク色の可愛い半透明のきんちゃく袋が入っていた。
――真樹夫さん、わざわざこんな可愛い袋に?
少々拍子抜けしつつ、さすがこだわりがあるなぁ、と思いながら袋を手にすると、なにやら機械のような固い手触りが感じられた。これは私物ではないようだ。
急いで中身を取り出してみると、1つはピンク色の四角い本体からコードが伸びていて、先端に楕円形の玉が付いたもの、そしてもう1つは…なんと先ほど春画で見たものにそっくりな形の、青い棒状の機械が入っていた。
――こ、これってまさか…張型!?
そう思った瞬間、部屋の電話が鳴った。誓子は飛び上がるほど驚いたが、これは真樹夫からの電話に違いない、と確信した。
初めてのひとりエッチ
「もしもし、真樹夫さんですか!?」
すぐに名指しされたにも関わらず、相手は動じる様子もなく「あら、ちょうどよかったみたいね。話が早いわ?」と嬉しそうに答えた。久しぶりに話す真樹夫だったが、何も変わらない雰囲気に、誓子は内心ホッとしていた。
「これって、もしかして…」
「そうよ、ラブグッズ♪ピンクのがピンクローターで、青い方がバイブレーターね」
ラブグッズ…今の時代はそう呼ぶのか、と誓子は一瞬感心したが、それと同時にその字面で意味が明確になったようで、一気に羞恥心があふれ出した。
「い、いやいや!こんなの私使ったことないですし、恥ずかしくてできません…!」
受話器をもちながら、机の上に散乱している2つのグッズを改めて見た。先ほどの春画が脳裏にちらつき、体が熱くなる。
「大丈夫。あなた、使い方はわかってるはずよ」
まるで誓子の心を読んだかのように、真樹夫は余裕たっぷりに答えた。誓子はドキッとし、言葉に詰まる。真樹夫は言い聞かせるように、ゆっくりと説いた。
「いい?これはね、プロデュースの最終兵器なの。今のあなたは、まだ芽吹いたばかり。だから、自分が持っている魅力に気づいていないだけなのよ」
そして誓子の理解を確かめるように、真樹夫はひと呼吸置いてから「大切な人は、あなたのすぐ近くにいるわ」と言った。優しさの中に厳しさを含んだ、力強い口調だった。
「真樹夫さん…」
誓子は真樹夫の声で、自分がキレイになる目的をはき違えていたことに気づいた。草山に認めてもらうためにキレイになろうとしていたが、実は本当の目的は自分が自信を取り戻すためだったのではなかったか。
プロデュースのおかげで大嫌いだった鏡を見ることができるようになったこと、そして会社でも一目置かれるようになって、仕事の楽しさも感じられるようになったことが次々と思い返された。
そんな誓子の心境が伝わったのか、真樹夫は安心したように、うふふと笑うと「じゃ、使い方は明日のプロデュースで教えるから」と一方的に電話を切った。
「えっ、ま、真樹夫さん!?」
電話の後で…
プーップーッと電子音が聞こえ、あまりのマイペースさに誓子は苦笑した。しかし、気持ちはとても晴れやかだった。
――大切な人はすぐ近くに…真樹夫の予言めいた言葉をもう一度反芻(はんすう)した。大切な人とは、誰のことだろうか…?
するとなぜだか、妄想フィルターで見た、顔の見えない男性の姿が頭をよぎった。海の底から引き出してくれた、あの力強い腕、海面での荒々しくも艶めかしいキス…。
思い出したとたん、誓子の体に甘い衝撃が突き上げ、体が熱くなった。男性に抱きしめられた感触は、今でも体がはっきりと覚えている。草山との妄想では感じたことのない、あの肉体的な感覚…。
こみ上げる熱が溢れそうになり、誓子は思わず自分の両腕を抱きしめながら、しゃがみこんだ。
顔を上げると、すぐ目の前に真樹夫から届いたラブグッズが見える。また張型を使う美しい女性の恍惚とした表情を思い出し、体の奥にくすぶっていた火が、一層燃え上がるのを感じた。

誓子は恐る恐るピンクのラブグッズを手にし、スイッチを入れた。コードの先についている楕円形の玉が、ブ…ブブ…と静かな振動音と共に震え出す。誓子はそれを手にすると、スカートをまくり上げた。
春画の女性と同じように足を広げ、下着の上からそっと当ててみる。
「…あっ!」
稲妻が走ったような衝撃的な感覚に、誓子は思わず声を漏らした。今まで聞いたことのないような、自分の甘い声…。誓子の熱い欲はついに爆発した。
「すごい…気持ちいい…っ」
ほとんど無意識に近い状態で、誓子はピンクローターを感じる場所へと当て、体の奥から湧き上がる快感の渦に飲まれていったのだった。
⇒【NEXT】初めてひとりエッチを体験して…(シンデレラになる方法 番外編 〜誓子の場合〜 第8話)


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あらすじ
真樹夫のプロデュースからひと月、誓子は仕事終わりに美術館で春画を鑑賞する。
誓子が気になった一枚の絵には「張型」という、男性器の形を模した、江戸女性の性欲を満たす道具が描かれていた。
家に帰ると真樹夫から小包が届いた。
開封するとそこには、現代の「張型」であるバイブが入っていた…