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官能小説 【小説版】シンデレラになる方法 番外編 〜誓子の場合〜 第1話

誓子編ついにスタート!

ラブコスメ漫画で大人気シリーズ『シンデレラになる方法』から、お客様のご要望の多かった誓子編が小説になってスタート!
誓子の変身ストーリーをお楽しみください!

■漫画版はこちら
シンデレラになる方法
シンデレラになる方法2

地味で何のとりえもない自分…

「お疲れ様でした。お先に失礼します」


輸入雑貨の通信販売会社に勤める大橋(おおはし)誓子(せいこ)は、今日も定時に会社を出て、そそくさと帰路へ着く。最寄りの地下鉄の駅に潜り込み、いつもの時間の電車に乗った。

誓子は地下鉄に乗ると、いつも窓のない手すりの前に立つ。ガラスに映る自分の姿を見たくないからだ。

しかし、今日は金曜日だからか車内は混雑していて、ドアの前に立たざるを得なかった。ドアが閉まると、窓ガラスに自身が映し出される。目にかかるほどの前髪を携えたすっぴんの青白い顔、そして肉付きの悪い骨ばった肩にはパサパサで真っ黒な髪がばさりと乗っかっている…。

誓子は思わず息苦しくなり、はぁ、と息を吐いた。誓子はこんな地味で何のとりえもない自分の姿が大嫌いだった。

劣等感と恋のジレンマ

「ただいまー」


家に帰ると、玄関には父親の物ではない男性の靴が置いてあった。
おや、と思っていると、部屋の奥から双子の姉である翔子(しょうこ)が飛び出してきた。


「おかえり、誓子!今日は修くんが来てるのよ」


いつものようにパッと輝くような笑顔を振りまきながら、翔子は嬉しそうに言った。くるんと巻いた栗色の髪がふんわり揺れると、お花畑の中にいるような甘い香りが鼻孔をかすめる。

そのまぶしさと女性らしさを感じるたびに、誓子は自分と本当に双子なのか、と疑ってしまう。

ダイニングに入ると、母親と草山(くさやま)修(しゅう)がにこやかにコーヒーを前に団らんしていた。


「あ、誓子ちゃん!おかえりなさい」


誓子を見つけると、草山は立ち上がり声をかけた。ほどよく日焼けした精かんな顔立ちだが、笑うとくしゃっと目元が崩れる。そんな草山のいつもの笑顔に、誓子は思わず胸が高鳴った。

草山は翔子の彼氏であり、誓子にとっても幼なじみに近い高校時代の先輩である。そして、憧れの人でもあった。


「ね、修ちゃん、今日家でご飯食べていくでしょ?」

翔子が甘えるように草山の腕に手を絡めた。

「え、いいんですか」


草山が申し訳なさそうに母親を見る。


「もうすぐお父さんも帰ってくるし、4人分も5人分も変わらないから気にしないで。

大したものないけど食べて行ってちょうだい」

「すみません、じゃあお言葉に甘えて…」

「やったー?今夜はもう少し修ちゃんと一緒にいられるね!」


そう言うと翔子は飛び跳ねて、草山の頬にキスをした。

子供のように無邪気にはしゃぐ翔子を後目に、誓子は自室へ荷物を置きに向かう。

翔子から「草山と付き合うことになった」と聞いたのは3年前。長いこと姉妹にとって兄のような存在だったが、ずっと草山は翔子に恋心を抱いていたのだという。事実を知ったときはショックだったが、よく考えたらなるべき形になったようにも思え、今は2人がうまくいくよう望めるようになった。

誓子は部屋に入りバッグを机の上に置くと、ふうっとため息をついた。


「そりゃ翔子を選ぶよね…」


ひとりつぶやきながら、机の上にある翔子と写った写真をつん、とつついた。

翔子とは一卵性双生児なので、当然同じ顔。だが、2人はまるで光と影だった。翔子はいつも天真爛漫、素直でまっすぐだが、誓子は真逆で大人しく内向的。自己主張ができないので、いつも翔子に助けられていた。誓子はそんな翔子を尊敬し、今も憧れの存在だ。

だが、草山と翔子の関係が始まってからというもの、劣等感が隠しきれなくなっていた。それは2人の姿を目にすればするほど募り、メキメキと音を立てて誓子の心を醜く覆いつくすのだった。

誓子が草山に恋心を抱くキッカケとなったのは、誓子が仕事に就いたばかりの頃、慣れない仕事と人間関係に疲れきって、草山に相談をしたことだった。真面目で面倒見のいい草山は、真剣に誓子の話を最後まで聞き、自分の経験を踏まえてアドバイスをくれた。

そして最後に「学生時代から見てる俺は、誓子ちゃんはやればできる子だって知ってるよ。可愛いところもたくさんあるし。

もっと自信を持って!」とあのくしゃくしゃの笑顔を見せて、誓子の頭をポンポンとなでた。その草山の優しさは、誓子の人生においてすべての希望であり、初めて見た小さな光だった。

しかし草山は大好きな翔子の想い人。自分がその隙間に入ることはありえないのだ。その現実は、「好き」という気持ちを自覚すればするほど誓子を苦しめるのだった。


――もし私がもっと可愛かったら、草山は私を選んでくれたのだろうか…。


そんな考えが頭をよぎったとき、誓子はハッと我に返った。そして邪念を捨てるように思いきり頭を振ると、皆が待つダイニングへと足早に向かった。

舞い降りた運命のカード

その夜、誓子は草山を交えた家族との食事を終え、部屋に戻った。すると、階下でガチャン、と玄関のドアが閉まった音がかすかに聞こえた。翔子が草山を送るために外に出たようだった。

ホッとしながらふと窓辺を見ると、なにやらふわふわと動く丸いものが視界に入った。


運命のカードを見つける

「え、なにあれ…?」


窓辺に近づくと、目の前にある柿の木の枝に赤い風船が引っかかっていた。


「風船?なんでこんなところに…」


手を伸ばせば届きそうだったので、窓を開けて風船を枝からはずしてみた。すると、糸の先に小さなボルドー色のカードが括り付けられていた。バラの柄の透かしが入った、とても凝ったデザイン。

へぇ、と感嘆しながら何気なくカードを裏返すと、そこには太い字で『求ム、キレイになりたい女性』というメッセージがでかでかと書かれていて、さらに電話番号と思われる数字が添えられていた。


「……は?」


誓子は意味がわからず、思わず心の声が漏れた。何度もカードを裏表にしてまじまじと見たが、それしか書いていないようだ。


「なにこれ、新手の勧誘かなんか?」


不信な気持ちを抱きつつも、外に捨てるわけにもいかないため、ひとまず窓とカーテンを閉め、風船を部屋に浮かせてみた。天井を這うようにふわふわと揺れ続ける赤い風船。

どこへ向かい、留まるのかが気になって、誓子は何げなくぼんやり目で追った。そうしているうちに、ふとカードにあった『キレイになりたい女性』という言葉が頭をよぎった。


――私がキレイに…?地味で何のとりえもないこの私が?


その瞬間、草山に言われた言葉が耳の奥に響いた。


「可愛いところもたくさんあるし」

「もっと自信を持って」


――キレイになれば、自信…持てるようになるのかな。


放浪していた風船が、ついに行き場を失い天井の隅で止まった。その下にふらふらとカードが揺れている。


――もし私がキレイになったら、自信を持って鏡を見られるようになるかもしれない。後ろ向きな自分とさよならできるかもしれない。


揺れているカードを眺めていると、どんどん『キレイになりたい女性』という文字が誓子の目に入りこみ、不思議なことに目を閉じても焼き付くようにくっきりと残った。


――キレイになったら…草山さんは喜んでくれるかな。もし女性として見てくれたら…?


「誓子ちゃんはやればできるって知ってるよ」


そんな草山の声が頭に鳴り響き、頭をなでられたときの感触がよみがえる。あの喜び。あの胸の高鳴り…!


――私もやればできる…キレイになれる…!


突然誓子はカードを風船の糸から外すと、何かに突き動かされるように電話へと走っていった。

生まれ変わるための一歩

翌日。誓子は大豪邸の前で立ちすくんでいた。『城』という言葉がぴったりくるような鉄格子の門にだだっ広い庭。表の門から玄関までの距離が遠すぎて、もはやドアがよく見えない。


「ここが『須藤さん』の家…?」


恐る恐る周りを見渡すが、表札はない。

誓子は訪れたことを若干後悔しつつ、昨日の『須藤』との会話を思い出す。
カードの番号に電話をすると、執事のような口調の男性が丁寧に応答した後、「須藤真樹夫(すどうまきお)」という怪しい人物に替った。


「あなたが原石ね!大丈夫、あなた絶対キレイになれるから!詳しい話は家に来てお話しするから、ぜひ明日来てちょうだい。あぁ、ついにプロデュースの始まりよ!!」


と性別不明な声色と口調で煽られ、勢いにつられてつい指定の場所に来てしまったのだった。

しかし、やはり冷静に考えたら見知らぬ人の家に女性1人で入るなど、どう考えても危なすぎる。

そう思い始めたら誓子はだんだん恐ろしくなり、引き返そうと踵を返した。すると、後ろで門がギイッ…と音を立てて開いた。ハッとして振り返ると、髪をきちっと七三に分け、タキシードを着たメガネの男性が門の奥から現れた。


「大橋誓子さんですね?どうぞこちらへ」

変わるための一歩


一瞬、この人が須藤真樹夫!?と思ったが、どうやら声からして最初に電話に出た執事のようだった。きっちりしながらも穏やかで涼し気な声に、少しだけ安心感を覚え、誓子は屋敷の方へ足を向けた。


――この際、どうにでもなれ…!!


誓子はついにこの瞬間、生まれ変わるための第一歩を踏み出したのだった。


⇒【NEXT】真樹夫のプロデュースが再び始まる…!(シンデレラになる方法 番外編 〜誓子の場合〜 第2話)

シンデレラになる方法1

シンデレラになる方法2

あらすじ

輸入雑貨の販売会社に勤める誓子は自分の地味な容姿に自信がない。
目にかかる前髪にすっぴんの青白い肌、
肉つきの悪い骨ばったほほも鏡を見るたびに嫌気がさす。

そんな彼女は双子の姉の祥子の彼に密かに片思いをしていた。

明るく天真爛漫な祥子を見ていると自分には勝ち目がないと
感じて、二人を見ているとむなしくなってしまう誓子。

ある日、誓子は自室で赤い風船に繋がれ、
『求ム、キレイになりたい女性』と書かれたカードを見つける…。



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