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官能小説 恋猫、飼い始めました。 2話
キレイはさくらの恋猫のしわざ?
にゃお。
猫が鳴いたような気がして、マリエはあたりを見渡した。夕暮れ時のオフィスに、猫がいるわけがない。
マリエはホッと息をつき、パソコンのディスプレイに目を戻した。その時、
「お疲れ!食べる?」
突然左側から個装のチョコレートが載った手が差し出され、マリエはわっと声をあげた。
「ごめん、そんなに驚いた?」
振り向くと、後ろの席の涼子がイスを引きずりながらおやつを持ってきていた。
「う、ううん、集中してたの。ありがと」
チョコレートを受け取り、封を開ける。
「もう疲れちゃった。早く帰りたいなぁ」
涼子が気の抜けたような声を出し、マリエにもたれかかった。
「そうね。でもあと1時間よ。ラストスパート!」
「なに、すごい元気じゃん。なにげに朝から思ってたんだけど、今日調子いいよね!?」
「えっ、そう?」
マリエは頬に手を当てた。実は朝からマリエ自身も感じていたのだが、他人が気づくほどとは思っていなかった。
「え〜なになに?結局彼氏とうまくやってるんでしょ!」
と涼子にひじでつつかれ、マリエは何と答えたらいいかわからず赤面した。
「あ〜あ、私も色気磨かないと!引っ越して猫飼ってみようかなぁ」
突然涼子から“猫”という言葉が出て、マリエはドキッとした。赤い顔のまま固まっていると、涼子が「なに、大丈夫?」と心配そうに覗き込んだ。
「うん、なんでもない。いいじゃん、猫」
言いながらふと昨夜のことを思い出す。
(さくらの恋猫…すごくよかったな)
「あ、ヤバ。部長が会議終わって戻ってきたよ」
上司たちの姿を見つけ、涼子はそそくさと自分のデスクへと戻っていった。
チョコレートをほおばりながら、マリエはさくらの恋猫のことを考えた。
あんなに可愛いのに、今までにないほどの快感をもたらすなんて…思い出すとまたお腹の下の方が熱くうずいた。
(今日はKOIKOI(コイコイ)を使ってみよう)
そう思うと、マリエはコーヒーを一口飲み、パソコンへ向かうと仕事モードに切り替えた。
変わり始めた日常
帰宅し、さっそくさくらの恋猫たちのもとへ行くと、充電が完了していた。可愛く置いてあげたくて入れていた籐の籠からDOKIDOKI(ドキドキ)を手にし、テーブルに置いた。
(コロンとしてかわいい…普通に置いていてもただの雑貨にしか見えないよね)
改めて眺めているうちに、ふとアクセサリーを置いている場所の横に置いてみた。猫が戯れているようで、愛らしかった。
思わず携帯を手にし、マリエはパシャリとシャッターを切った。

「うん、かわいい!」
洗面所の石鹸の隣りやタオルの中、あちこちに置いて写真を撮った。どれもオシャレ雑貨のようで、マリエは思った以上に気に入った。
「あ、そうだ!」
ふと思いつき、DOKIDOKI(ドキドキ)の首に黄色いリボンを巻いてみた。まるで飼い猫に首輪をつけたような気分になり、
「似合うじゃん」
と鼻をつついた。DOKIDOKI(ドキドキ)は嬉しそうにゆらゆらと揺れる。

(SNSにあげちゃおっかなぁ…)
だんだん楽しくなり、マリエはクスッと笑った。
涼子が言うように、さくらの恋猫が来てからマリエはちょっと元気になったような気がしていた。心のパートナーができたようで、帰ってくるのもウキウキしてしまう。
DOKIDOKI(ドキドキ)をまた籠に戻し、充電をセットした。
(なんだか餌をあげてるみたい)
そう思ったらマリエも空腹を感じた。
「一緒に食べようか」
さくらの恋猫たちに話しかけ、マリエも食事の支度を始めた。
なんとなく毎日が変わり始めている、マリエは確かにそう感じていた。
奥をじんわりと焦らすように…
夜の11時半。お風呂で火照った体も静かに落ち着き始め、マリエは観るでもなく点いていたテレビを消した。そして籠のもとへ手を伸ばし、KOIKOI(コイコイ)を取った。
(今日はどんなパターンでしてみようかな)
もう片方でスマホを手に取り、ペアリングさせてアプリを起動。さっそく振動を確かめてみた。
(あれ、KOIKOI(コイコイ)は違う動きもあるのね)
アプリの画面を見ると、中に挿入する部分と外側にあてる部分で別の動きを設定することができるようだ。
まずは外側に当たる部分の振動の具合を体感しつつ、挿入する部分の動きのスイッチをタップしてみた。
その瞬間、KOIKOI(コイコイ)は体をくねらせるような動きを始めた。DOKIDOKI(ドキドキ)とはまた違う2つの振動を同時に体感できることに、マリエは思わずおお、と声が漏れた。
(すごい、こんなに細かな動きができるのね…!)
卑猥な動きに一段と胸の高まりを抑えられなったマリエは、一旦くねらせる動きを止め、振動のみでそっとパジャマの上から胸の突起へと這わせてみた。
ざわざわとした快感がバストを通じて全身に広がる。
「はぁ…っ」
たまらず吐息が漏れた。スマホの画面を指で波上になぞり振動に微妙な強弱をつけてみる。すると、そこをじっくり舐められているようで、マリエの息使いはより荒くなった。
「もう…我慢できない…」
マリエはベッドに横になり、ショーツを脱いだ。そして十分すぎるほど潤ったそこにKOIKOI(コイコイ)の先端を当て、限りなく弱い振動を与えながら中へと進める。
奥をじんわり焦らすように刺激され、思わずぞわりと体が震えた。指で感じるところをじっくりなでられているようなエロティックな愛撫…。
ゆっくり、でも確実に快感の波が押し寄せているのを、マリエは感じていた。
(あ、私ここが感じるんだ…。中がこんなに感じるなんて…知らなかった)
ずっと微弱な振動を与えながら、ここで例のツイストのような動きを追加してみた。
「あっ…そんなグリグリしたら感じちゃう…っ」
今まで感じたことのない、不思議な感覚。だがとてつもなく切ない快感が中からじんわりと包み込んでくるようだ。
その部分をこするように刺激しているうちに、マリエのそこは細やかな吸縮を始める。と同時に、はぁはぁという吐息が声に変わり始めた。
「あぁ、あぁん…すごい、中が気持ちいい…っ」
マリエは少しスイングを強くし、夢中でそこを攻めた。下半身がとろけてしまいそうなくらい、快感が中からじわじわと広がっていた。
そしてついに、大きな波が押し寄せてくるのを感じた。
「あっ、ヤバイ…!すごいのきちゃう…っ!あっ、あっ、ダメ、イク…っ!ああぁんっ!」
ガクガクと腰が震え、脳天を突き上げるような快感に襲われた。目の前が真っ白になり、意識が朦朧とする。
はぁ、はぁと息をつき、ようやく落ち着いたのは数分後だった。
(こんなに満足したの初めてかも…)
マリエは力の抜けた手の先に握っているKOIKOI(コイコイ)を改めて指でなぞり、ぼんやりと天井を眺めた。
思えば、剛からは力強い刺激ばかりで、焦らしてなぞるような愛撫を受けたことがなかったな、と改めて気づいた。
(私は弱い方が好きなのかも)
そう思い、剛にどう伝えるかな…と、うとうとし始めたとき。ピコン、とスマホから通知音が聞こえた。
久しぶりのお誘い
(え、こんな時間にメッセ?明日見ようかな…)
一度開けた目を閉じようとすると、またピコン、と音が鳴った。
「はぁ…」
重い腕にグッと力を入れ、脇に放ってあったスマホを手に取った。
すると、そこには剛のメッセージが。
『次の週末、泊まりに行ってもいい?』
猫のスタンプとともにお誘いの言葉が並んでいた。
(剛も猫!?最近流行ってるのかな…)
そんなことを頭の隅で思いつつ、またお家デートか…と肩を落とした。いつものようにDVDを観て、ご飯を食べて、お風呂に入って、お決まりのエッチをして…。ん?エッチ?
ふと手に握られているKOIKOI(コイコイ)に目が行った。
(そうだ、これ剛と一緒に使ってみたい!)
剛はなんて言うだろうか?考えると、急にドキドキしてきた。ぐったりしていた体も、一気に力が戻ってきている気がする。
『OK!猫と一緒に待ってるね』
そう返信すると、マリエはスマホを閉じ、布団にもぐりこんだ。
久しぶりに、デートが楽しみだ、と思う自分に嬉しくなっていた。
あらすじ
彼氏とマンネリを感じているマリエ。
色気を磨きたいなと考えていると、猫を飼うと色っぽくなるという噂を聞いて…。