女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 わたしたちのラブストーリー 第5話〜私らしく、勇気を出して〜
わたしたちのラブストーリー 第5話〜私らしく、勇気を出して〜 セカンドバージン 紗季
「私、紗季先生みたいな40代になりたいんです」
レッスン前、スタジオにモップをかけていたら、優絵と彩芽がやってきた。
「この間、レッスンあとに出版社の方にインタビューされて。私達、そういう風にこたえちゃいました」
伊沢が、スタジオ前で待ち伏せしたのだろうか。
やはり私よりも若い生徒さんがねらいだったとか。
「出版社の方、紗季先生のことずっと待っていましたよ」
疑心暗鬼になっていたら、見透かすように優枝が言った。
「そうそう。私、紗季先生の彼氏かと思ったもん」
モップを手にしたまま、うつむいた。
私ったら、若さに嫉妬している。
「……本当に、私みたいな40代になりたいの?」
離婚後に起業して、ひとりでも大丈夫だと信じてきた。
40代も後半になったら、男なんか自然に必要なくなると思っていた。
でもいざ好意をよせられると、すぐに揺らいでしまう。
大きな身体やあたたかい皮膚に、まるごと守ってもらいたいと切望してしまう。
「40代って、けっこう情けないわよ」
自虐的に笑ってみた。すると優絵と彩芽は、
「30代だって大変です!」
口々に言ったのだ。
だからこそ、今、努力して後悔しない40代を迎えたいのだと。
「紗季先生。これを見てください」
『ウーマンズライフ』に隣接するカフェで、伊沢が差し出したのはアンケート用紙だった。
「30代、40代でセックスレスの女性が多いかと思えば、50代、60代でもセックスをしている女性、したい女性はたくさんいるんです」
驚くことに、70代や80代でも性生活を謳歌していた。
確率は少ないとはいえ、女というものを閉じ込めることなく解放している。
「伊沢さん。ひとりの男性として、こういう女性をどう思う?その、年配になってもセックスしたいと願う女性のこと」
正直にこたえて、と私は念を押した。
「僕は、すばらしいと思います。日本人男性は若い女性に傾倒しがちだけど、年を重ねた女性の素直な欲望を知ることによって、男性側も変わっていけばいいと思うんです」
「伊沢さん、私……」
実は、数ヶ月前から取り入れたいプログラムというか、グッズがあった。
インナーボールやオイルなど、いわゆるセルフで女性器を鍛えたりケアするアイテムだ。
本格的な更年期を迎えれば膣が委縮する可能性もあるし、予防のためにもケアを習慣づけるべきなのではないか。
女性器のお手入れに抵抗感がある女性は多いだろう。
でも、男性だって女性器は謎なのだ。まず女性側が理解を深めなければならない。
それにパートナーがいる、いないに関わらず、自分の身体をまるごと慈しむことで、女性はみんな、内面から輝くはずだ。

「紗季先生のように独立して、しかも内面から輝く女性に憧れる若い世代は多いんです」
……いつだったか、伊沢が私に言った。
私は、女性のためにと謳った教室をひらいている。
そんな私が実行に移さなくてどうするのだ。
ヨガやハーブだけではなく、インナーボールやオイルなども、ここからポピュラーにしていけばいい。
「伊沢さん。あの……、私の考えを聞いてもらえますか」
顔から火が出そうになりながら、言葉を選んで伊沢に伝えた。
伊沢は興奮したように身を乗り出し、
「そうです、僕もそういう本を紗季先生と作りたいんです」
私を、正面から見つめた。
「でも私」
プチ更年期の上に長年セックスしていない。
こんな私が先導する形でいいのだろうか。
「でも、何ですか、紗季先生」
「私……」
いっそのこと白状してしまえばいい。
延々と気を持たせるより、私自身もけじめがつく。
ここであの告白がなかったことになっても、傷は浅くてすむ。
「私こそが、ご無沙汰なんです。もう10年以上も。笑っちゃうでしょう。『ウーマンズライフ』なんて主宰しているくせに、本当は身も心も不調。えらそうなこと言っているけど、自信なんかないんです」
笑って、何でもない風をよそおった。
ハーブティーを飲もうとしても、うまくいかない。
指がふるえているのだ。
だからきっと、本を書く資格はない。
立ち上がろうとした私の手を、伊沢が握りしめた。
「そういうところが好きなんです。きっとたくさん、悩んできたんでしょう?でも女性のために奮闘している」
「離してください」
私から、手を振り払うことができない。
一度別の熱を感じてしまったら、もうひとりでいたくなくなってしまう。
「……離してください」
伊沢は、まったく離そうとしない。
それどころか、いっそう力を込めてくる。
「離したくないんです」
大胆に言いつつ、次第に伊沢の手が汗ばんできた。
正直な人だ。
もがきながら、手探りで生きてきた。
私の経験が、様々な女性の励みになるだろうか。
セカンドバージンからのセックスへの道。
私が自分をさらけ出すことで、前向きな女性が増えていくのなら。
勇気を出しても、いいかもしれない。
「伊沢さん。私を、助けてくれますか」
私を、託していいですか。伊沢の手を握り返して、私は言った。
年齢や立場、人間関係や容姿など、女性は各々の事情を隠し、今日も健気に過ごしている。
胸の内をほんの少しでも明かすことができたら、もっと晴れやかに笑えるかもしれない。
性的なコンプレックスは根深いけれど、手を差し伸べてくれる人は、必ずいる。
男性に限定せず、女友達や、たとえば、そう、私のような。
私は同じ女性として、そんな架け橋になりたい。
「伊沢さん。女性は、いくつになっても輝けますよね」
伊沢が何度も何度も頷く。
「もちろんです」
よかった、と安堵しつつ、私も泣き笑いの顔になっているのだ。
END
あらすじ
身近にあるセクシャルなコトにスポットを当てた小説短編集。
甘くて切ない恋愛模様…内面から輝くわたしに。