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官能小説 ルームナンバー701 3話


やっぱり大好きだなぁ、なんて…

毎週末は、お泊りデート。いつの間にかできあがった2人の習慣。

今回は、1泊2日の那須旅行。彼の愛車でドライブ。 ぽかぽかと暖かい日差しの中、オープンカーで木漏れ日のなかを走る。

風が髪を優しくさらう。きみどり色が視界で揺れて、キレイ。 移り変わって行く景色を見ていたら、なんだか優しい気持ちになって、モヤモヤしていた気分がすーっとどこかへ消えてった。

山田さんのことも、やっぱり大好きだなぁ、なんてたちまち愛しさが倍増しちゃって、 私ってばゲンキンだなぁ、とひとり苦笑い。

着いた先はなかなか予約が取れないことで有名なオーベルジュ。 森の中に点在するプライベート重視のコテージは、各部屋に露天風呂が付いていて開放感たっぷり。

「うちのホテルも、こういう露天風呂あったらいいなー」 って思わず言ったら、 「愛子はいつも仕事の目線を忘れないね」 とニッコリ。 …ん?これって、ちょっと微妙? 褒められてるような、俺と一緒にいるときに仕事の話してんじゃねー、って皮肉られているような? せっかく上がったテンションが、ちょっぴり下がる。

考えすぎかもしれないけれど、山田さんといるとき、たまに感じる違和感がある。 顔は笑っているし、言い方も普通なんだけど…心のどこかのセンサーが、ちょっと違うぞ、って私に告げる瞬間。

(気にしない、気にしない。さっき、山田さんのこと大好きって思ったばっかりじゃない!)

自分に言い聞かせてバスルームへ。

するするとショーツを剥ぎ取られて…

ジーンズを脱いでシルクのワンピースに着替える。 これも、彼からのプレゼントだ。ラズベリーの香りのボディクリームで全身を潤す。

お料理を台無しにしたくないから、今日は香水はつけない。 鏡に映る自分を見つめる。繊細な生地。大胆に開いた胸元。デコルテをそっとなぞる。 ――と、彼が私の後ろに立った。

振り向いたらキスされて、胸を揉まれる。 するするとショーツを剥ぎ取られて、イキナリ挿入されてしまった。

(濡れてないのに…)

そう思うけど、 「んっ…」 声を出してる自分がいた。

「相変わらずキツイね」鏡の前で立ちバック。

――ねぇ、山田さん。どうしていつもまだ濡れてないのに挿れてくるの? ぐちゃぐちゃになる思考。

(もう限界かも…)

別れの言葉が頭をよぎる。

「いやらしい顔だな」

そう言って、彼が私の髪をグイっと掴んで鏡に顔を突きつけた。激しくなる腰の動き。 ―――が、突然その動きが止まった。

何かにショックを受けている彼の表情。鏡の中で見つめあう2人。ヌルッ、と彼がペニスを抜いた。

「山田さん…?」

私のアソコが、失ったペニスの形状をとどめたまま、洞窟のように口を開けている。スースーする。

無言のまま背を向けると出て行ってしまった彼は、ベッドに腰掛けうなだれている。

「あの…」

どうしたらいいのかわからずにいる私に彼が言った。

「俺、鼻毛出てる女だけはダメなんだ」

…こうして、私の2年の恋愛はあっけなく終了した。

――――マジですか?! 有り得なさ過ぎて、笑えないよ…。

⇒【NEXT】「指が乳首に触れた瞬間、体中に電気のような快感が…」(ルームナンバー701 最終話)

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あらすじ

1泊2日の旅行。彼の車でドライブしながら過ごす、旅館までの道。
気分がよくモヤモヤが晴れたのにもかかわらず、バスルームの鏡の前、濡れてないのにいきなり挿入されて…

日向琴子
日向琴子
19歳で上京し22歳で漫画家デビュー。以後、漫画家とし…
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