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官能小説 遠回りした私たちの恋
同級生と再会
「遥ちゃん?」
営業帰りに駅前を歩いていた青木遥は、 自分を呼ぶ声を聞いた。
入社一年目で配属された北海道・札幌。 誰ひとり知り合いのいないこの街で、 下の名前で呼ばれるなんてありえない。 聞き間違いだろうと行こうとすると、 声の主はもう一度呼んだ。
「…鈴木くん?」
振り向いた遥は、懐かしい顔に息を飲んだ。
大学2、3年次に ゼミが同じだった鈴木隼人がいた。
「どうしてこんなところに?」
遥が驚くのも無理はない。 二人の大学は東京だった。
「俺、保険会社に就職したんだけど、
いきなりこっちに回されたんだ」
「すごい偶然…私もそうなの。
私は旅行代理店だけど」
ゼミが同じとはいえ 関係といえばそれだけで、 4年次は丸一年連絡を 取っていなかったから、 お互いがどこに就職したのかも 知らなかった。
隼人が遥を名前で呼ぶのは 親しいからではなく、 名前で呼び合う女子たちに合わせたからだ。
「ほんと、偶然だね。
ね、仕事何時に終わるの?」
「よかったら食事でもしない?
久しぶりに会えたんだし
いろいろ話そうよ」
隼人は携帯番号の書かれた 名刺を渡してきた。
押しは強いものの押しつけがましさはなく、 何だかわくわくしてくるから不思議だ。
(変わらないな)
隼人が去った後、遥は胸のうちで呟いた。
大学の頃から隼人は誰とでもすぐ打ち解け、 会って5分後には本気で にこにこ笑っているような人だった。
それに引き替え自分は…暗くはないが、社交的とは言い難い。 サバサバしてはいるが、 負けず嫌いなところもあり、 表面には「頑固」として出てしまう。 弱みを見せられず悩みを溜めこみ、 それが次の問題を引き起こしてしまう。
慣れない場所で一人という環境に加え、 そんな性格もあって、 最近は上司に怒られてばかりもいた。
(友達なんていなくても大丈夫。 私は強いはず)
来る前はそう思っていたが、 心細さや寂しさに泣きそうになるときもある。
だから、それほど親しくなかった とはいっても、隼人との出会いは嬉しかった。
また隼人もこの再会を喜んでいた、 なぜなら卒業するまで隼人は 遥にひそかに思いを寄せていたから。
好きな人に素直
馴染みのない土地での偶然の 出会いをきっかけに、 遥と隼人はたびたび食事をしたり、 お酒を飲んだりするようになった。
それほど親しくなかったとはいっても、今、 仕事だけの付き合いをしている人々よりも ずっと自分のことを知っている 隼人といるのは心が安らいだ。
だが、ときには安らぎが 甘えとして出てしまうこともあった。
仕事でうまくいかなかったときなど、 何も悪くない、ただ黙って 話を聞いてくれるだけの隼人に ついあたってしまう。 お酒が入っていると、特にそうだった。
「どうせ鈴木くんみたいな、 どこにいっても人気者になれる人には わからないよ!」
は隼人へのひがみとも 受け取られかねない言葉を口にし、 そのたび、後になって自分を責めた。
あんなふうに言ってしまったら… もう会ってくれないよね…)
だが、隼人が遥を遠ざけることはなかった。
隼人にしてみれば、 遥の性格からして遥が普段どれだけ 外で気を張っているか、 強がっているかは容易に想像できた。
そんな遥が自分の前では、 あたるという形であれ、 素直になってくれるのがむしろ嬉しい。
守ってあげたい、 そんな気持ちが日増しに強くなっていく。
(鈴木くん、どうして こんな私と一緒にいてくれるんだろう)
遥にとっては疑問ではあったが、 ただひとつだけ、 はっきりしていることがあった。
隼人と一緒にいるだけで、心が落ち着く。
愚痴を聞いてくれるからではない。 たとえ愚痴なんか聞いてくれなくても、 近くにいてくれるだけでもよかった。
いや、落ち着くだけではない。 最近では隼人のことを考えると、 胸の奥がきゅっと 締めつけられるような気分になる。
(私…鈴木くんのこと…)
ベッドの中で隼人のことを考えていた遥は、 自分の腕で自分の体をぎゅっと抱きしめた。 隼人にそうされることを想像しながら。
体の芯が熱い。
(…告白、しよう)
土曜日には、初めて隼人の家に 遊びに行くことになっていた。 きっとそのときに… 遥は決心して、目を閉じた。
同級生に告白
土曜日、遥は隼人の家を訪れた。
郊外の住宅地にある ワンルームマンションで、遥が住む場所と そう変わらない雰囲気だった。
テーブルに積み上げられていた バイクの雑誌を下ろして、隼人はまず インスタントコーヒーを出してくれた。
ビールも買ってきていたが、 遥も隼人もそれにはまだ手を出さなかった。
(告白するなら…シラフでしなきゃ)
生真面目な遥は、告白にお酒の勢いを 借りたくないと思っていた。
隼人がつけたテレビでは バラエティ番組が流れていた。 だが、一人の時のように のんきに見る気にはなれない。
1時間ほど経っただろうか。 番組が終わって、 コマーシャルが始まった。
(今だ…)
遥は隼人のほうを向いて、 口を開こうとした。
その瞬間、隼人と目が合った。
隼人もまた、遥のほうを向いて 何か言い出そうとしていたのだ。
隼人のほうが一瞬、早かった。
「青木…」
名前を呼ばれてドキっとする。
「俺…かなり前からお前のことが好きで…
でも大学のとき、一度あきらめたんだ。
何度か食事とかに誘っても断られたから、
脈ないのかなって」
「えっ?」
「好き」と言われたことにも驚いたが、 ずっと好意を持たれていたなんて。
でもそういえば確か、 何回か誘われた気はする。 確かバイトで断ったんじゃなかったっけ…。
「でも、まさか北海道で 会えるとは思わなかった。それで… お前が俺の前で素直になってくれて、 前よりももっと好きになった。 お前を守りたいんだ。ずっとそばにいたい」
遥はしばらく茫然としていた。気がつくと、涙が 次から次へと溢れ出してきた。
「えっ…ちょ、俺、 まずいこと言ったかな!?」
隼人は焦ったが、「ありがとう…嬉しい… 私も、鈴木くんが好き」遥はその場に泣き崩れた。
隼人は遥の隣に行って、 肩を優しく抱きかかえると、 その唇にそっと唇を重ねた。
「もっと…」
遥は隼人の首に腕を回して、求めた。 隼人の体温をもっと感じたかった。
「…いいの?」
隼人の問いに、遥は黙ってうなずく。
ニットの下から、 隼人の手がそっと忍びこんできた。
告白とセックス
ニットの下から入ってきた 隼人の手がブラに触れると、 遥はそれだけで大きく息を吐いた。
告白すると決めたからには、 こうなる覚悟はしていた。
だが、だからといって 緊張しないわけではない。
「あっ、シャワー、浴びる?」
ふいに思い出したように、隼人が尋ねた。
「うん…」
まずは隼人に済ませてもらい、 その後に入った。 すでにボディソープの香りの漂った バスルームで体を洗うと、 不思議とだんだん気分が落ち着いてきた。
用意してもらったバスタオルに体を包み、 ベッドで待っていた隼人に近づくと、 タオルごと抱きしめられて押し倒された。
隼人の手が、そっとタオルを剥がしていく。
裸を見られると、恥ずかしいのか 欲情に火がついてしまったのか 自分でもよくわからないまま、 キスがしたくなった。
「キス…して…」
求めると、隼人は優しく応じてくれた。
「鈴木くん…」
「隼人って呼んでよ」
少しだけ戸惑いながらも 言われたとおりに名前を呼ぶと、 遥、と返された。
首筋にやわらかなキスを受け、 乳房を大事なものを扱うように 揉まれていると、 隼人の脚が膝の間に入ってきて、 硬いものが太ももにあたった。
「…入れていい?」と聞かれて、頷く。
隼人は手早くコンドームをつけた。
「…あぁ…ん」
隼人の熱を感じる。 突かれるたび、それは体の隅々にまで あたたかく広がっていくようだった。
「隼人…」
たくましい背中を力いっぱい抱きしめる。
幸せだった。遠回りした。けれど、大事な人に改めて巡り会えた。
隼人と遥は夜が更けるまで、 軽く上着を羽織っただけの姿で、 ベッドで睦み合いながら時を過ごした。
翌朝、目覚めると 柔らかな日差しが窓から入り、 辺りをほの明るく照らしていた。
隼人も目覚めたらしい。 隣でまた目を閉じていた遥に小さな声で 「おはよう」と声をかけ、額にキスをした。
心の中に花が咲いたようで、 嬉しくて思わず微笑む。
「わ…起きてたんだ」
隼人は照れくさそうな表情を浮かべた。
二人は見つめ合い、 もう一度長いキスを交わした。
<遠回りした私たちの恋 〜おわり〜>
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あらすじ
東京の大学で二年間同じゼミだった遥と隼人。
社会人になって、お互い研修で毎日忙しい日々を過ごしている中、二人は同じ北海道配属に…
「遥ちゃん?」営業帰りに駅前を歩いていた遥は、自分を呼ぶ声を聞いた。
誰ひとり知り合いのいない札幌で、運命的に同級生と再会をする…