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官能小説 Vな彼女と彼氏 1話

天使の拓馬くん

★作品について

この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の大賞作品です。
ドキドキの小説をお楽しみください。

最終下校を告げるチャイムが小学校内に響く。

図書館で長居しすぎた佐久間さくま結華ゆいかは、廊下を小走りで進む。その視線の先に、ゆっくりと左右に動く黒いランドセルが見えた。小さな体に不釣り合いな大きな紙袋。それを両手で持ち、歩きにくそうにしている男子。本多ほんだ拓馬たくまであった。

「拓馬。私が持つから、貸して」

結華は手にしていた本を手提げ鞄に入れると、駆け寄る。現れた結華に声をかけられて、拓馬は一瞬喜んだ。けれどもすぐに「重たいよ?」と言った。結華が紙袋を覗くと、可愛らしいラッピングのチョコレートがあふれていた。バレンタインデーは女子だけでなく、拓馬にとっても大変な行事であった。

「大丈夫、大丈夫。これくらい軽いよ。平気」

結華は紙袋を借りた。チョコレートのひとつくらい軽いものである。それがいくつ集まったとしても、重くはないだろう。そう思って片手で受け取ったが、途端に体が傾きかけた。

「ね、重いでしょ?」

ぷるぷると拓馬の腕が震える。

拓馬は結華の片腕を両手で掴んで、彼女を一生懸命支えてあげていた。

「あ、ありがとう」

すぐに結華は立ち直ったが、重さを軽視していたことが急に恥ずかしくなった。自分よりも体が小さい拓馬が両手で持てるのだから、もしかすると、自分ならば片手で軽々しく持てるはずだと思ってしまったのである。

「えーっと……そうだ! じゃあ、拓馬の家に着くまで半分こっちに移したら? そうしたら、歩きやすいでしょ?」

まだ沢山入る手提げ鞄を見せると、拓馬は「ありがとう」と大きくうなずいた。

「拓馬はお菓子をたくさん食べれていいなぁ」

「でも、こんなに沢山あるとひとりじゃ食べきれないよ。お返しにも困っちゃうし」

ふたりで紙袋の中の物を移し始めると、目を細めて困ったように拓馬は笑った。

拓馬の少しくせ毛のふわふわの髪は、薄い自然な茶色がかっている。目にかからない長さの前髪から見えるのは、ぱっちりとした二重だ。髪色よりも深いダークブラウンの瞳をしている。その目を細めて、いつもにこにことした人懐っこい笑顔を見せる。その笑顔は夏のヒマワリ畑よりも眩しく、まるで子猫のように愛らしい。

バレンタインデー

「チョコレート、重たいね。去年より量が増えていない?」

「どうなんだろう。増えているのかな?」

「絶対に増えているよ〜」

帰路を歩きながら、結華は言った。

拓馬がバレンタインデーに貰う量は、そこらの男子とは比べ物にならない。けれども、これらの量に対して、拓馬はホワイトデーに必ずお返しをしている。お返しの内容は毎年菓子であるが、ただの菓子ではない。拓馬が返す菓子は、そこらに売っていないくらいに美味しいものである。その律義さゆえに、女子からの評判は大変高いものだ。

『拓馬くんは、まるで天使みたいだね』

外見のこともあってか。拓馬を見た人は、よくそう言った。

拓馬の家に着くと、結華は玄関でチョコレートを返した。ひとつふたつと、結華は無意識に数えながら返すが、その多さに途中で数が分からなくなる。

――拓馬はいい子だからね。

拓馬が持つ菓子の山を見て、結華はその人気に納得する。

だが、女子に囲まれている拓馬の姿を想像すると、胸がチクリとした。

――あれ? なんでいま……変な気分になったんだろう?

分からなかったが、とても結華の心がモヤモヤとした。

「ありがとう、結華。すごく助かったよ」

「う、うん……」

結華は歯切れの悪い返事をすると、軽くなった手提げ袋の底をチラリと見た。そこには、綺麗にラッピングされたピンクの小箱があった。拓馬に渡すために用意してきたものだが、結華は渡すべきか迷った。

「……あっ、これって! もしかして!」

結華がおろおろしていると、拓馬は小箱に気づいた。そして、結華を見るなり目を輝かせた。きらきらとした瞳におされるように、結華は手提げから小箱を取り出す。小箱は先ほどのチョコレートたちの重みに負けてしまったようで、少し凹みができていた。楽しげに用意していた自分の姿が頭をよぎり、結華のなかのモヤモヤが大きくなった。

「結華のガトーショコラ、大好きだから。僕、すごく嬉しい!」

久しぶりに幼馴染に渡すガトーショコラ

けれども、拓馬は満面の笑みで言った。結華から受け取った小箱を、まるで宝石を扱うかのように小さな両手で大切に持つ。眩しいくらいの笑顔を拓馬は浮かべていたので、つられて結華も微笑んだ。

――拓馬の笑顔って不思議だなぁ。

拓馬の笑顔を見ると、いつも結華の心には温かい気持ちが生まれる。結華は拓馬の笑顔が大好きだった。

幼稚園の頃から毎年バレンタインデーに、結華は拓馬にガトーショコラを渡していた。しかしながら、それは結華が恋心から始まったことではない。菓子作りが趣味の母に誘われて一緒に作り「拓馬くんにも渡しましょう」と言われたことが発端であった。そのようにこれまでは恒例の季節行事でしかなかったが、いまとなっては拓馬の反応が楽しみで、結華のガトーショコラを作る手にも気合が入っていた。今年も喜んでくれた拓馬を見て、結華は「作ってよかった」と心から感じた。

「あのさ、これ……ずっと僕にくれるの?」

「どういうこと?」

拓馬の思わぬ言葉に、結華は首を傾げた。

「もし大きくなって、学校が離れても、それでも……そのー……僕にくれる?」

「うん。お母さんと一緒に作っていたら、私もお菓子作りが好きになったの。だから、ずっと作るよ!」

「えっ! ほ、本当に!? じゃあ、指切りして!」

可愛らしい小指を見せ、拓馬は嬉しそうにした。「いいよ」と結華は歯を見せて笑った。「指切りげんまん〜」とふたりの愛らしい声が響く。そして「指切った」の声と共に指が離れ「じゃあ、また明日ね!」と結華は元気に家を出た。

「約束だからね! 約束! ずっと、だから!」

拓馬は結華に向かって大きく手を振って叫んだ。

⇒【NEXT】子供のころの約束は果たして…?(Vな彼女と彼氏 2話)

あらすじ

チャイムが小学校内に響きゆいかは天使のような拓馬へ声をかけ…。

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