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官能小説 絵の中のあなた 2話


彼氏の未練と苦しみ…

真実は、目を閉じてシュンの柔らかな唇の感触を味わった。
あの素敵な唇にキスをしていると思うと、真実は今まで感じたことのない熱を下腹部に感じたのだった。
シュンは静かに真実を押し倒し、キスをしながら胸を揉んだ。

「あっ……」

シュンの器用な動きに、真実はすっかり心酔してしまっていた。
もう、どうなってもいい…そう思いかけた時、シュンの動作がいきなり止まった。

「どうしたの?」
「やめておくよ。真実は、俺が出会った女の子の中でもとびきり純粋な子だから、大切にしたいんだよ。せめて絵が完成するまでは我慢する」

そう言い残して、シュンは帰っていった。

その次の日から、シュンは毎日のように真実の部屋を訪れモデルをつとめた。時間が遅くなった時は、シュンが泊っていくこともあった。状況としては、完全に恋人同士である。
でも、シュンが真実の身体にふれることはない。
大切にしてくれているのだと真実は自分に言い聞かせるが、一方で、レイナに未練があるからできないのかもしれないと思うこともあった。

ときめきと不安が入り混じった真実の初恋は、まだ始まったばかりだった。
一緒にバイト先を出ようと思い、ロッカーの前にいたシュンの後ろから真実が声をかけた。

「シュン、一緒に帰ろうよ」

するとシュンはビクッとして振り向き、その瞬間手に持っていた物を落とした。落ちていた物を拾い上げた真実の手が、少し震えた。

「ごめん……なんか、やっぱ気になってさ」
「そっ、そうだよね、当然だよ。別にあやまらなくても…」

そう言いながらも、真実の目には自然と涙があふれてきた。

「先に帰る」

真実は手に持っていた物をシュンに返し、走り去った。
シュンが手に持っていたのは、レイナのデビューシングルだった。

彼の気持ちが見えなくて…

真実は、完成間近のシュンの肖像画をぼんやり眺めていた。もう3日もバイトを休んでいるのに、シュンは部屋に来てくれないだけでなく、電話もしてこなかった。
真実は、シュンがレイナのCDを持っていたくらいで泣いてしまったことを悔んだ。
しかしその一方で、とてつもない嫉妬心が心を駆け巡り我慢できない苦痛にあえいでもいた。

肖像画に布をかけ、真実は気をまぎらわすために何気なくテレビをつけた。画面に映っている人物を見て、真実は凍りついた。
なんとゴールデンタイムに放送されている有名な音楽番組に、レイナがゲスト出演しているのだ。
美しい顔は、芸能界でさらに磨かれ後光がさしているようにすら見える。色っぽいハスキーヴォイスも魅力的だ。

真実はその時痛感した。しょせんレイナとの思い出になんて、勝てるわけがなかったのだ。
真実は落胆と同時に、自分を笑いたくなった。 こんな人に嫉妬するなんて、と自分に叱咤した。
馬鹿馬鹿しい気持ちでいっぱいになりながら、自分が手に入れようとしていたものの大きさに改めて気付かされた。

シュンからメールがあったのは、真実がコンビニのアルバイトを正式に辞め、近所の本屋で働き始めて3日めのことだった。
会わなくなってから1ヶ月が過ぎようとしていた。

「俺達のバンドのライブがあるから、見に来て欲しい」

文章はたったそれだけで、あとは日時と場所の説明があるだけだった。
突然のことにうろたえながらも、そのシンプルなメッセージに何か重大な意味が含まれているような気がして胸が高鳴った。

あらすじ

彼氏のシュンは、元彼女に未練があるのでは・・・?
彼の気持ちが見えなくて…ときめきと不安が入り混じった真実の初恋の行方は!?

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