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官能小説【3話】エッチな女性はお好みですか?

居心地の悪い場所

★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブグッズで熱く感じる小説コンテスト」の大賞作品です。

「…………」

飲み会の席で、俺はきっとすごい表情をしていたと思う。
仕事の付き合いでそんな顔しちゃダメだとわかっているのに、嫌悪感が押さえられない。

「ふふっ、もう、やめてくださいよー」

クライアントの男の身体を、佐倉さんが軽く押し返す。
けれどそれを拒絶とは受け取っていないのか、男は再び佐倉さんの太ももを撫でた。
膝上のタイトスカートから伸びた白い脚が、ぴくりと震える。

――座敷の個室で、俺はなんでこんなものを見せられているんだ。

(佐倉さんも、もっと嫌がればいいのに……なんで満更でもなさそうな顔、してるんだ)

笑顔で対応を続ける佐倉さんにも、苛立ちが募る。

「ほら、君ももっと飲みなさい」
「あ……ありがとうございます」

一番最年長らしいクライアントは、セクハラの実態に気付いていないのか、にこやかに俺に酒を勧めてきた。

ビールを注いでもらった後、俺は瓶を受け取って、空のグラスにビールを注いでまわった。
礼儀がなっているとか、好感が持てるとか、俺を褒めてくれる声が多々あったものの、そんなこと俺にはどうでもよかった。まずはあいつを、なんとかしろ。

セクハラ男の席に近づいて、俺は笑顔で声をかける。

「お注ぎしますね」
「おう、ありがとう」

男は片手でグラスを持つ。ビールを注いでもらうと、なぜか隣の佐倉さんの肩を抱き寄せた。

「でも俺よりほら、佐倉さん。全然飲んでないじゃないですか」
「いえ、いただいてますよ」
「これもほら、飲んで飲んで」

男が自分のグラスを佐倉さんの口元に近づけるものだから、我慢の限界だった。
立ち上がると、男の手からグラスを奪う。

「俺がいただきます!」

ぐっとグラスを煽って、一気に飲み干す。
その場からはゲスな笑い声と拍手が巻き起こり――
俺はその後、ひたすらに一気飲みをさせられ続けた。

大事なところでの失態

「ありがとうございました! お気をつけて!」

クライアントたちをタクシーに乗せ、深々と頭を下げて見送ると、佐倉さんは俺を振り返った。
路上の片隅に座り込んだまま立てない俺の前に、佐倉さんがしゃがみ込む。

「伊地知くん、大丈夫?」

くりっとした大きな瞳に覗き込まれ、思わず視線を逸らす。
視界に映る、しゃがみ込んだスカートの隙間が気になった。

「……大丈夫、です」
「そんな風には見えないけど。はい、これ」

自販機で買った水を、俺の頬に押し当ててくれる。
ひんやりとした感触が、余計に俺の身体を熱くさせた。

「タクシー捕まえるから。一人で帰れる?」
「……まだ、帰りたくありません」

ぼうっとした頭で、思わず呟いた。
佐倉さんの視線を感じたけれど、口が止まらない。

「帰りたくありません。佐倉さんといたいです。なんで今日、俺にあんなの見せたんですか。あんなの、あんな、ずっと触られてて、俺腹が立ちました。ぶん殴ってやろうかと思いました」

佐倉さんは、何も答えない。
恐る恐る顔を上げると、驚いたような彼女と目が合った。

「……俺」

唇が震える。声が震える。
でも、目を逸らしちゃダメだ。

「俺、ずっと前から、佐倉さんのこと――

――おええええ。

「……! い、伊地知くんっ!」
「…………」

ああ、終わった。

俺は道端に吐いた吐瀉物を見つめて、そう思った。

せっかく佐倉さんに、告白しようと思ったのに。
酔った勢いを言い訳に、伝えてしまおうと思ったのに。 なのに吐いてしまうなんて。 こんな醜態を晒す男に、彼女がなびくわけないじゃないか。

「ほら、水で口ゆすいで。服にかかってない? 大丈夫?」

佐倉さんは、引いた様子も見せずに、せっせと俺を介抱してくれる。
なんでこの人は、こんなに優しいんだろう。
なんで俺は、佐倉さんの前だと、カッコよくいられないんだろう。

「今日だいぶ飲まされてたもんね。あ、でもあれは助かった。グラス押し付けられた時に、奪って飲んでくれて」

俺にハンカチを差し出しながら、佐倉さんは微笑む。

「……うち、おいで。すぐ近くだから、休んで行きなよ」

部屋で見つけた彼女の秘密

(俺、何やってんだろ……)

佐倉さんにベッドを借りながら、俺は情けない気持ちで天井を見上げた。
彼女が貸してくれたバスローブは少し小さくて、そして、彼女と同じ匂いがする。
酒が入っていなければ間違いなく勃起ものだった。危なかった。

(佐倉さんが、いっつもここで寝てるのか……)

ドキドキと心臓が早打ち初めて、ごろんと寝返りを打つ。
鼓動が早いのは、酒に酔ってるからだ。
そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。

洗面所で音がして、シャワーを浴び終えた佐倉さんが、Tシャツに短パンという無防備な格好で出て来た。

「具合、どう?」
「あ……だいぶよくなりました。水も飲んだし、吐いたし……」
「そう。よかった」

パタパタと髪をタオルドライしながら、佐倉さんは微笑む。
白くて細い脚に、無防備なTシャツの膨らみに、眩暈に似た感覚を覚える。

(こんなに簡単に家に上げられるなんて……やっぱ俺、意識されてないんだなぁ)

「すみません、帰ります」

ベッドから立ち上がると、佐倉さんが驚いたように声を上げる。

「ダメだよ、泊まっていきな。別に私、取って食べたりしないよ?」
「いえ、俺が取って食べちゃいそうなんですよ。なんつって」

冗談めかしてそう言って、枕元に置かれたスーツに手を伸ばす。
コトン、と音がして、何かが倒れた。
サイドテーブルに置かれていたらしい、ピンクと水色の――

(……デンマ?)

「あっ、それ――!」

佐倉さんが声を上げて、慌てて口元を覆った。
その顔が、真っ赤に染まっている。

(肩こりに悩んでる……ってわけじゃ、なさそうだな。佐倉さん、こういうのを使うんだ)

これ相手に、身悶える佐倉さんは、きっと、ものすごく綺麗なんだろう。

「……佐倉さん」

気が付くと、名前を呼んでいた。
びくっと、彼女が肩を揺らす。
恥ずかしさで潤んだ瞳に、一瞬怯みそうになるけれど、恥ずかしさを堪えて、まっすぐ見つめ返した。

「佐倉さん、好きです」
「あ……」

佐倉さんは視線を泳がせながら、下唇を噛んだ。

「……すみません。飲み過ぎて吐いて、失態を晒した日に、言うことじゃないですよね」
「ううん……それは、いいんだけど」
「同じ会社だし、年齢だって8つも下だし、男として見れませんよね」
「ううん……それも、いいんだけど」

佐倉さんはおずおずと俺を見上げて、そして、意を決したように口を開いた。

「……こんな、寂しくひとりエッチするような女だよ、私」

(……なんだ、そんなことか)

「最高ですよ、エロい女性」

言ってから、少しおかしな言い回しになってしまったと気付いた。
案の定、佐倉さんの目が大きく見開かれる。

(やっべ……)

俺は、慌てて訂正を入れた。

「いや、今の最低ですね、身体目当てに聞こえますよね。でも違くて、僕、佐倉さんのことはずっと好きで。気づいたら目で追ってるというか、あの、いつも誰より一番頑張ってるし、でもそれをひけらかしたりしないし、女性だからって甘えたりしないで、やることやってて、面倒見もよくて――」

官能小説挿絵:エッチな女性は年下の男性とキスをするイメージ

くすっ。
佐倉さんが笑う声がして、俺は言葉を切る。

「ありがと。……でも時々、ただの女になりたいなって、思うよ」
「佐倉さん……」
「……甘えたいし、甘えられたい。……ただの普通の女です、私は」

そっと、佐倉さんに近づいた。
彼女は逃げることなく、俺を見つめる。
頬に触れると、ぴくっと身を震わせた。

「キス、していいですか?」
「……キスだけ?」
「……いえ、その先も」

⇒【NEXT】「本当に……エロい、ですね。佐倉さん」(エッチな女性はお好みですか? 最終話)

あらすじ

飲み会の席は散々なものだった。
目の前で繰り広げられる光景に嫌悪感を感じられずにはいられない。終始彼女に進められるお酒を自分が飲み、そして…。

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