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官能小説【2話】エッチな女性はお好みですか?
カレのことを思い出して…
★作品について:この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブグッズで熱く感じる小説コンテスト」の大賞作品です。
「佐倉さん、今日はありがとうございました」
1時間ほど一緒に飲んだ後、タクシーで帰ると伝えたら、伊地知くんはわざわざ乗り場まで見送りに来てくれた。
「うん、伊地知くんも気を付けて帰ってね」
ドアが閉まり、タクシーが発進する。火照った頬を冷ましたくて、少しだけ窓を開けてもらった。
「かわいいなって思って」
伊地知くんの声が、脳内で何度も再生される。瞼を閉じると、彼の熱を帯びた瞳を思い出した。
(……危なかった)
上司としての、仮面がはがれるところだった。これまで3年間、ずっと守ってきたものだったのに。
(……あんなこと言われたら、うぬぼれちゃうじゃない)
伊地知くんのことは、ずっと気になっていた。初めて会った時から、あのまっすぐで強い視線に射抜かれるだけで、自分の中の何かが、急き立てられるようにぞくぞくと震えた。彼から好意に似たものを感じることはあったけれど、それは全部勘違いだと自分に言い聞かせてきた。
私を慕ってくれてるだなんて、そんなことあるわけない。相手は、私より8つも年下なんだから――
なのに。
伊地知くんのあの目。年下なのに、あの、男の目。
「困るのよ……」
ぽつりと呟いた言葉が、夜風に溶けて消えていく。そう、困るのだ。最近毎晩、疼いちゃうから。

疼く身体を慰めて
「ふう……っ」
家に帰ると、シャワーを浴びてベッドに寝転んだ。枕元のサイドテーブルに置いた「ラブデンマ」が視界に入る。
(……ちょっとだけなら、いいよね)
デンマを手に取ると、条件反射のように体が疼き出す。汚れないようにと下着を脱ぐと、Tシャツを捲り、胸の突起を弄った。
「ん……っ」
一人暮らしの部屋に、私の鼻にかかった声が響く。ゆっくりと胸を揉みながら、デンマを足の間へと伸ばす。
「あっ……!」
激しい振動が、快感になって私を貫く。かわいい、という伊地知くんの声が、耳元でしたような気がした。
「あっ、ん……あぁんっ」
もし会社の人間が、私が家でこんなことをしていると知ったら、どう思うだろうか。
もし伊地知くんが、知ったら。
「佐倉さんって、変態なんですね」
「――っ!」
びくっ、と身体が震えて、軽くイってしまった。感じやすすぎる自分の身体に、呆れて苦笑してしまう。
(……ほんと、変態だ)
昔から好奇心が旺盛で、エッチなことにも興味津々だった。
「セックスが好きすぎて引く」
大学時代の元カレにそう言われてから、男性と身体を重ねることができなくなって、もう十年以上経つ。 ひとりエッチをするようになって、男性から性的な目で見られることは増えたものの――彼らと身体を重ねたいと思えるほど、心の傷は癒えてはいなかった。
頭でっかちで、天邪鬼で、素直になれない自分が嫌い。
(……伊地知くんは、こんな私でもいいって言ってくれるのかなぁ)
でも、彼は絶対モテるタイプ。こんな年上なんてやっぱり眼中にないだろう。あの瞳だって、きっと私の勘違い。期待しちゃダメ。絶対ダメ。けど、妄想するくらいなら。
「ふ、ぁ……っ」
再びデンマのスイッチを入れて、快感の糸を手繰り寄せる。
伊地知くんの熱を帯びた視線を想像する。伊地知くんの細くて長い指が、私に触れるところを想像する。
(私……ダメな上司……)
そう思う気持ちとは裏腹に、どんどん快感が上り詰めてきて――盛大にイった私は、ベッドの上で荒い呼吸を繰り返した。火照った身体が、妙に寂しさを増幅させた。
ちょっとした期待
「はい。はい、わかりました。ありがとうございます、失礼します」
電話を切ると、私はふうと息をついた。デスクの前で伸びをしてから、伊地知くんの席を振り返る。 何やら真剣な顔で、パソコンと向き合っている彼に、小さく笑みが零れた。
(さて、と……)
立ち上がり、伊地知くんの席へと近づいた。すぐに気づいて、姿勢を伸ばした彼は、また、あの目で私を見つめてきた。
(あ……ダメ)
ぞく、っと何かが背筋を駆け上がり、一瞬だけ視線を逸らす。ダメ。その目、やめて。
「……伊地知くん、来週の金曜日、空いてる?」
尋ねると、彼はすぐに頷いた。
「はい! 大丈夫です」
「先日のクライアントとね、飲みに行きましょうって話が出てて」
一瞬だけ、彼が寂しそうな顔をしたように見えたのは、私の思い過ごしだろうか。
「……ぜひ伊地知くんも、って。先方が」
「……はい、行かせていただきます」
彼がにっこりと、愛想のいい笑顔を浮かべる。
(……うん、そうだよね)
二人きりで飲みたいなぁと思っていたのは、やっぱり私だけだったらしい――
あらすじ
帰りのタクシーで何度も彼の言葉がループする。
ずっと気になっていた彼から、冗談かもわからないがかわいいなんて言われて動揺せずにはいられなかった。
そして今晩、彼のことを思い…