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官能小説 心の糸を結ぶ場所 1話
大人の落ち着きとの出会い

「あ…」
思いがけない写真を本の中から見つけ、たったひとりの部屋の中で、気まずくなる。
元恋人、哲弥とのキス写真だ。 読んでいる本のスピンが切れてしまい、しおりが欲しいと言った私に、「じゃ」といきなり口づけ、その瞬間の写真をプリントアウトした哲弥。
「ねぇ、みさき。次は、こういうところも撮ろうか」
と、片手で私のシャツのボタンを器用に外し、もう一方の手を裾から忍ばせてブラのホックを外すと、胸にしゃぶりついた。
スカートのファスナーも下ろすと、ストンと床に布が落ちるほのかな感触に、私のスイッチが入る。
哲弥のベルトを外して下着まで一気に脱がせ、すっかり硬くなった彼自身を右手で包み込む。
その間に、彼も私のショーツに手をかけ、ふたりとも、ほんの数十秒の間に体温も鼓動も直に感じる姿になった。
そのままベッドになだれ込み、激しく口づけながら、胸と胸を合わせる。 そして、ゆっくりと肌と肌を滑らせるのが、私たちは好きだった。
上半身をぴったりとくっつけて、彼自身が私の太ももの間に挟まり、あちこちが同時に摩擦と興奮の熱を上げていく。
哲弥の肌が、私の全身に快感を塗り込んでいくようで、太ももの間でさらに硬くなる彼自身を、いつのまにか溢れてくる愛液が包み込んでいた。
「あぁぁ」
予告もなく、愛液の壺の中に突き入れられる硬直した彼自身に、思わずのけぞる。
「いきなり入れても、こんなにグチョグチョ…」
たっぷりと唾液の湿り気を含んだ声で耳を噛む哲弥に「だって…ぁぁ…突いて」とねだりながら腰を突き上げた…。
―――結局は、その写真を撮ってすぐに別れてしまい、気力が落ちた私は、読んでいた本も本棚に眠らせたままだった。
「ついこの間まで、結婚とか、何も考えずに恋愛してたのに…」
哲弥と別れて半年。 あれから、恋愛はいまひとつパッとしない。誰のことも好きになれないし、きっと誰にも恋されていない。
そんな中で27歳の誕生日を迎えて以降、いつの間にか「次の恋人とは結婚したいな」と思うようになっている。

―――数日後。
「みさき、その服、いいよ!」
同僚でもあり友達でもある美穂は、待ち合わせのカフェで顔を合わせると、まずそう言った。 今日はこれから、美穂が見つけてきた婚活パーティーに一緒に参加するのだ。
美穂は、何度か同じようなパーティーに参加していて、今回は「ウジウジしてても仕方ないから、一緒に申し込んじゃったよ」とハタからみれば強引な、でも本当はとても温かい友情を発揮してくれた。
「あれ?美穂さん?」
コーヒーを飲みながら、美穂の婚活パーティー講座を受けていると、男性がにこにこと近づいてくる。
「直樹くん!」
美穂の大学時代の後輩だという直樹は、24歳という年齢よりも、さらに若く見えた。
「フリーデザイナーしてるのよ、直樹くん。こちらは、銀行の同僚のみさき」
それぞれを紹介し終わると、美穂の携帯が鳴る。「ちょっとごめん」と美穂が席を立つと、直樹と私は必然的にふたりになった。
「すごく、似合ってますね。水色のストール」
キラキラという言葉が少しも誇張ではないくらいに瞳を光らせながら、いかにもデザイナーらしい言葉を口にした。

直樹と別れて婚活パーティーに向かうと、会場には予想以上の人が集まっていた。
「ここにいるだけで、くすぐったい感じがしますね」
参加者全員が1対1で自己紹介をした後のフリータイム。 カウンターでワインを受け取っていると、不意に話しかけられた。
「あ…、お付き合いで参加の、健二さん」
「お互いさまですね、みさきさん」
はにかんで自分もワインを受け取った健二という男性とは、友達に連れられて初めて婚活パーティーに参加したという共通点があったおかげで、自己紹介でも自然と笑顔が出た。
「ほんと、くすぐったい。友達は、どこかに行っちゃうし」
男性と楽しそうに話す美穂から健二へと、視線を移す。
「僕もです」
さっきより少し砕けた笑顔に、私も気持ちがリラックスしていった。
落ち着いた話し方の健二は、私よりも4つ年上の31歳。 歯科医師をしていて、数年のうちには開業する予定だという。
きちんと組み立てた人生設計を話す健二は、たった4歳差とは思えない大人の空気を放っていた。
吹き始める、ふたつの風

目が覚めると、カーテンの外はぼんやりと明るくなっている。
昨夜、婚活パーティーの帰り、美穂に、パーティーに行く直前に知り合った直樹にも、パーティーで知り合った健二にも、連絡先を訊かれたことを打ち明けた。
「モテ期だね〜」
美穂は冷やかしながらも
「でも、直樹君はオススメしないなぁ」
と釘を刺した。 大学時代、遊んでいるという噂があったのだという。実際、女友達は多いだろうという印象は、昨日の短い時間の中でも伝わってきた。
「でも、その健二さんって人は、よさそうじゃない?」
美穂が言うとおり、健二は、申し分ない。心の隅で結婚を考えている私にとっては、願ってもない相手だ。
ぼんやりと昨夜の美穂との会話を思い出しながら、ベッドサイドにあるスマホに手を伸ばすと、直樹と健二、両方から連絡が来ていた。
連絡先を訊かれても、連絡が来るとは限らない。社交辞令かもしれないと思っていた私は、少し驚いた。

“みさきさん、こんばんは。今日は少ししか話せなかったけど、偶然の出会いに感謝!今度、ゆっくり会いませんか?”
直樹からのメッセージには、昨日会ったときよりも、そして美穂から聞いていたよりも、穏やかさが漂っている。 何よりも、“感謝”という言葉に、私は正直、ギャップを覚えた。
(本当に、遊び人なのかな?)
まだ眠気が充満する頭の中に、疑問が漂う。
“みさきさん、今日はありがとうございました。友達に誘われた婚活パーティーで、どうしたものかと思っていましたが、あなたのおかげでとても充実した時間になりました。その後、無事に帰宅されましたように”
健二からのメッセージは、会ったときの印象を裏切らない。
(やっぱり、いい人そうだなぁ)
―――コーヒーを淹れてソファに座る。
“こちらこそ、バタバタだったけど、ありがとうございました!直樹くんは、いつも、どんなところに遊びに行くの?”
会いたいと言う直樹に、イエスともノーとも答えずに返事をした。
“こちらこそ、ありがとうございました。私も、健二さんのおかげで楽しく過ごせました。あの後、無事に帰宅しました。健二さんは、今日もお仕事ですね。頑張ってください!”
まだ健二の始業前であることを確認して、送信する。
「ふぅ」
ひと口めのコーヒーを喉の奥に落とすと、スマホの着信音が鳴る。
“よかった!返事、もらえた!俺、みさきさんが好きそうなカフェも知ってるし、バーもよく行きますよ。ドライブも好きです!”
直樹のメッセージからは、年下らしい勢いと、どこか慣れた感じが伝わってくる。
そのメッセージを読んでいる最中、健二からも早速返信があった。
“みさきさん、休日も早起きですね。無事に帰宅したようで安心しました。お返事もらえて、今日の仕事も頑張れそうです!”
「お返事もらえて、頑張れそう…か」
コーヒーをもうひと口飲み込むと、健二の返事を声に出してみる。
その後、直樹とは、彼の誘導に引き込まれて、出かけるお店や場所の候補が絞られていった。 一方で健二は、私の返信に対して休憩のたびにさらに返信をくれて、仕事が終わってから
“文字での会話は、もどかしいですね。食事でもいかがですか?”
とスマートに誘ってくれた。

「どうしよ…」
ひとり暮らしの部屋の掃除をしながら、ふたりの男性とやりとりを繰り返して1日を過ごした。
直樹は、こちらが乗せられてしまうような楽しさがある。つい「そこ、行きたい!」と言いたくなるように話を盛り上げる。 やはり遊び人かも…というざわつきも心をよぎるが、軽すぎない何かがある…ような気がする。
健二は、自分が仕事をしながらも、休日を過ごす私をねぎらい心配してくれる。つい、掃除のことなど話してしまうのは、やはりリラックスしているからだろう。
今までは、気になる人ができれば、他の男性は目に入らなかった。 だから私は、自分がものすごく一途でシンプルな恋愛をする人間なのだと思ってきた。
しかし、今は…。 直樹にも健二にも、きっと、惹かれている。 どちらから連絡がきても、素直に嬉しい。 返事をしたい…。 でも、いいことじゃない…。
“いつなら、都合がいいですか?”
葛藤が渦巻く中、ベッドに入る直前、直樹にも健二にも、同じ返事をした。
ふたつの風の真ん中で

「きれい…」
丘の上にある海の見えるカフェレストラン。 空と、水平線と、海と…。すべてが違う青で、すべてが美しい青で…。
直樹と健二、ふたりからのデートの誘いに対して、ふたりともにイエスの返事をしてから1週間後。 今、私は直樹と一緒にいる。
「俺、こないだ会ったとき、水色のストールがすっごく似合ってるみさきさんを見て、真っ先にここが思い浮かんだんだ。絶対、この風景も似合うはずだって」
やはり、女性の扱いに慣れていそうな言葉を、直樹はまっすぐに目を見て口にする。
「あ、ありがとうございます」
水とメニューを運んできてくれたウエイターにも、直樹は視線を合わせてお礼をした。
食事もデザートも、彼に任せて注文してもらい、改めて窓の外の海を眺める。
「俺、青ってすごく好きなんだ。なんか切なくて、でもすごくまっすぐで誠実で。青を見てると、気持ちがしゃんとするっていうか。でも包まれている気分になるっていうか。空とか海とか、広いものが青だからかな?」
窓の外にキラキラとした瞳を向けていたかと思うと、最後は質問で私に視線を向けた。
「なんか、さすがデザイナーだね」
少しも直樹の質問の答えになっていない返事に、ふたりで同時に笑う。
(楽しいな…)
ふと、笑い声の奥から、心の声が聞こえてきた。
「みさきさん、彼氏いないの?」
水のグラスを置くのと同時に、直樹は真顔になる。
「いないよ。直樹君は?」
「いるわけないでしょ?いたら、みさきさんと二人で出かけないよ」
少し怒ったような直樹に「ごめん、そうだよね」と返す。
“私だって、彼氏がいたらこんなふうに出かけないよ”という言葉は、喉元で詰まってしまった。
―――美穂からの遊び人だったという忠告で、私は直樹を色眼鏡で見ていたのかもしれない。
玄関の前まで送って「また誘うから、すぐに」と笑って帰る彼に、そんなことを思いながら手を振った。

「足元、気をつけて」
飛石を先に歩く健二は、振り返って私を気遣い、「大事な人を連れてくる店なんだ」というお寿司屋さんのカウンターに案内した。 板前さんと挨拶を交わすと、「改めて隣に座ると、緊張するな…」とはにかむ。
「確かに…」
私も照れ笑いが浮かぶけれど、やはり健二の雰囲気にはほっとするものがある。
直樹と会った翌日の今、私の目の前には、昨日とは違う顔があり、昨日とは違うときめきがある。
(まさか、こんなふうに二人の間で揺れるなんて…)
「今、物件を探している最中なんだ」
自分自身の心の動きに戸惑っていると、健二は、寿司下駄に乗せられた握り寿司を私に勧めながら言った。
「あ、歯医者さん?」
「うん。実際に独立するのは数年後だけど、物件をみておかないと。曜日とか時間帯とか、いろんなタイミングでいろんな土地に行くとね、意外なことが分かるんだよ。人の動きとか年齢層とかね。不動産屋さんの情報だけじゃ分からないこと、たくさんあるんだ。たとえば…」
相変わらず私を気づかってくれながらも、熱心に仕事の話をする健二の表情は、婚活パーティーで会ったときよりも、はるかに輝きを増していた。
今勤務している歯科医院の先生との話、患者さんとの話…。聞いていくと、リラックスできるだけでなく尊敬の気持ちも湧いてくる。
健二も、前日の直樹と同じように私を玄関まで送り、「次は、お酒でも」とにっこりと笑った。

「どうしたいんだろ…私…」
その夜、熱めのお風呂に肩まで浸かって、ため息交じりに呟いた。 直樹からも健二からも、早速、次の約束を匂わせる連絡がきている。
直樹は、3つ年下で24歳。フリーデザイナーとしては、まだまだ駆け出しだ。将来は、未知数といえば聞こえはいいけれど、要するに不透明。あの若さで、結婚を考えているとは思えない。
健二は、独立に向けて動いている31歳の歯科医師で、将来設計は頼もしいとしか言いようがない。お寿司屋さんで「婚活パーティー、行ってよかった。 思いがけず、本当に婚活になった」と冗談めかして言っていたのは、友達に誘われたとはいえ、そろそろ結婚を考えているからだろう。
“やっぱり、結婚を考えるなら、健二さんかなぁ”
お風呂上りの髪を乾かしながら、美穂にひとり言のようなメッセージを送った。
あらすじ
ある日、元彼の哲弥とのキス写真を本の中から見つけた。
その写真は、しおりが欲しいと言ったみさきに、いきなり口づけ、
その瞬間の写真だった。
「ねぇ、みさき。次は、こういうところも撮ろうか」
哲弥はそういうと片手でみさきのシャツのボタンを器用に外していく。
次々を服を脱がされ、スカートがストン、と床に落ちるほのか感触にみさきのスイッチも入った。
哲弥のベルトを外し、一気にぬがせ、そのままベッドになだれ込む。
―――結局は、その写真を撮ってすぐに哲弥と別れてしまった。
つい、この間まで結婚とか何も考えずに恋愛してたのに…。
哲弥と別れて半年が経ち、みさきは誰の事も好きになれず、
誰にも恋されていない、そう思っていた。
しかし、27歳の誕生日を迎えると、いつの間にか「次の恋人とは結婚したいな」と思うようになった。
数日後、友人である美穂とカフェで待ち合わせをする。
美穂が見つけてきた婚活パーティーの参加について話し合う事になっているのだ。
この時、美穂の大学時代の後輩である直樹と出会い、そして、その後の婚活パーティーで出会うもう一人の男性・健二との出会いで、みさきの運命が動きだす…。