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官能小説 「妄カラ女子」…spotB〜彩子編〜・シーズン12
幸せにして下さい ●瀬野清彦
パーティには、サプライズとしてダンスの時間を入れた。事前に伝えていたフェブラリー・キャットの従業員がテーブルを片付け始めると、みんな何が始まるのかとざわついた。
「さぁ皆さん、ダンスを楽しみましょう。慣れていない人でも大丈夫。ステップはすぐに覚えられます。手始めに僕と彩子がやってみますね」
流れてきたワルツに合せて、俺と彩子が躍ってみせる。ほうぼうから溜息が漏れるのが聞こえた。
「さぁ、パートナーの手を取って。1曲終わったらパートナーチェンジをして下さい」
みんなおずおずと、一緒に来たパートナーや、パートナーのいない異性の手を取る。日本人はこういうときには変に遠慮して壁際に逃げてしまうものだが、招待した数が多くなかったのがよかったようだ。ひとりひとりに向けてきちんと語りかけられるせいか、こういうときは少人数のほうが参加してもらいやすい。
招待客が全員ペアになると、再び音楽が流れた。足運びに苦戦する人が大半だったが、最初は俺と彩子が回ってやり方をアドバイスした。皆、あたふたしていたが、楽しんでくれているようだ。
何曲か目で、俺は英梨とペアになった。英梨はさすがというべきか、俺や彩子が何も教えないでも、俺よりも上手に踊った。
「ありがとう。今日という日があるのは、英梨のおかげだと思っている」
「こちらこそお礼を言うわ」
英梨は昔と変わらない、高飛車そうではあるが不思議にいやみのない笑顔を浮かべた。
「おかげでもっと素敵な人に巡り合えたもの。末永くお幸せにね」
「あぁ、英梨も」
「当り前よ。私のほうがずっと幸せになるわ」
英梨と巡り合えて、以前とは違う意味で良かったと思った。
彩子は中村くんと踊っていた。
気にしていないつもりではあったが、二人の会話だけは妙にさえざえと耳に届いた。やっぱり多少は不安だったのかもしれない。
「僕を選ばなかったことを、いつか後悔させてみせます」
中村くんの彩子を見るまなざしはおだやかだった。大雨の後の青空のように澄んでいた。ステップはおぼつかなかったけれど、そんなことは些細な問題だと感じさせるような自信に満ちていた。
彼も彩子に恋をして、成長したのだろう。
「でも、後悔は幸せな生活の中でして下さいね。……おめでとうございます」
「……ありがとうございます」
彩子は中村くんの目をまっすぐに見つめて、はっきりとそう口にした。彼から逃げなかった。
ダンスタイムが終わり、再び彩子と一緒になる。
中村くんが近づいてきた。
「瀬野さんって一見静かにしているくせに、本ッ当に彩子さんのこと好きですよね」
「え、なっ」
突然のことに面食らう。
「さっき僕と彩子さんが躍っているときに、ずっと気にしていたでしょう。すぐにわかりましたよ」
「……降参だな」
俺は両手を上げて、「負けました」のポーズを取った。
「でも、そのぐらい彩子さんを見つめていてくれるのなら安心です。絶対に彩子さんを幸せにして下さい。約束ですよ」
中村くんがグラスを掲げる。
「約束するよ。もちろんだ」
俺は自分のグラスを軽く当てた。
もっといやらしい顔をしてごらん ●榊川彩子
パーティが終わると、清彦さんの運転する車で新居に戻りました。
私は少しだけ酔っていました。こんな日だからとお友達に勧められ、つい少しだけ飲んでしまったのです。
車の中で私は眠ってしまいました。清彦さんが頭をポンポンと撫でてくれた記憶がうっすらありますが、さだかではありません。
やがて家に着きました。
「彩子、彩子……」
清彦さんが肩を揺すってくれましたが、私は目を覚ませませんでした。
「仕方がないな」
助手席に座っていた体がふわりと浮きました。清彦さんが抱いてくれたのだとわかりました。
ゆら、ゆら、ゆら。車庫から家に向かう振動が何だかとても心地よくて……なぜか、少しエッチな気分になってしまいました。私はまだイクことはできていなかったものの、だいぶその行為に慣れてきていました。
部屋に入ると、清彦さんはリビングのソファーに私を横たわらせました。
「清彦さん……」
その体が離れていかないうちに、首筋に腕を巻きつけます。
「行かないで。抱いて……」
「酔って誘うなんて、よくない癖だよ」
清彦さんは私を抱きしめ返します。言葉とは裏腹に、言葉は妖しい力に満ちていました。
「おしおきをしないとね」
首筋に唇が吸いつきます。
「ん、あっ……」
唇は、そのまま鎖骨へ。その間に手はドレスの肩ひもを下ろし、裾をめくり上げました。
この日のために仕立てた、イタリア製のシルクのレースの下着があらわになりました。純白の、白バラの花園のような下着です。
花園に分け入るような手つきで、清彦さんはそれを一枚、一枚丁寧に脱がせました。
「こんなの、恥ずかしい……」
思わず漏らしてしまったのは、裸になったからじゃない。裸にガーターだけ残った姿になったからです。
「こっちのほうがきれいだよ。ほら、見なさい……」
清彦さんに抱き上げられて、私は鏡台の前に立たされました。
ガーターとアクセサリー以外は何も纏っていない私が、そこにはいました。
完全な裸よりも淫靡な気がします。
「ね、わかっただろう?」
脇の下から手が伸びて、乳房を優しく揉み上げました。
「あ……んっ」
じっくり体をほぐし、性感を高めていくような手つきです。私が少しずつ感じてくると、愛撫の範囲は少しずつ狭まっていきました。
「あっ、あぁんっ……」
乳首をくりくりと責められて、たまらず鏡台に手を突きます。その拍子に脚を広げられました。
「鏡の前なんて、恥ずかしいわ……」
「そのわりにはいつもより濡れているね」
「んっ……!」
指で割れ目をなぞられました。ちゅ、ちゅっ……と濡れた肉と肉がこすれる音が聞こえました。
「感じてるかわいい顔を見てごらん」
後ろからそっと顎を持ち上げられます。鏡に自分の、とろんと蕩けた顔が映しだされました。
「もっといやらしい顔をしてごらん」
濡れた部分に、清彦さんのものがあてがわれます。
「んんあ……あぁぁっ……あんっ……!」
少しずつ、少しずつ、質量のあるものが中に入りこんできました。肉を掻き分けられる甘い感触に、声が出てしまいます。
「……ん、くぅ……っ、きついな」
耳元に、清彦さんの息遣い。
「動かすからね」
「ふぁ、ふぁい……っ」
私が痛がらないように穏やかに、でもきちんと熱と感情を込めて、清彦さんは腰を動かしました。
「あ、彩子……彩子……愛してるよ」
「私も……っ、私も清彦さんのこと、大好き……っ!」
いつしかお尻を突き出していました。とろとろになった秘所に、清彦さんが激しく腰を突き入れます。
「あっ……イ、イクよ……!」
熱いものが中にたっぷり注ぎ込まれたのがわかりました。
奥が気持ちいい ●榊川彩子
華やかなハレの日はやがて終わり、日常がやってきました。
私たち二人ともの希望で新居には家政婦さんを置きませんでしたから、家事はすべて私がこなすことになりました。一人暮らしの経験があるとはいえ、まだまだ世間知らずの私にとって、結婚後の生活は戸惑うことばかりでした。
(男の人のワイシャツって、どんなふうにアイロンをかけたらいいのかしら……)
(下ごしらえに小麦粉をまぶすってどのぐらい? え、小麦粉を「ふるいにかける」って何をすることですの?)
失敗することも多い私でしたが、そのたびに清彦さんが執事だったときと同じご指導タイムの音楽に合わせて、丁寧に教えてくれました。
おかげで私の家事の腕はめきめき上達してきました。愛する人のために二人の住まいを心地よく整えて、安らいでもらうことの幸せを、私は心の底から感じられるようになりました。
ご指導タイムは昼だけではなく、夜にもありました。性について初めて教えてくれた清彦さんは、その後も丁寧に私を導いてくれました。最初は恥ずかしいと思うことのほうが多かったのですが、続けるにつれてもっと知りたい、そうして清彦さんに喜んでもらいたいし、自分も気持ちよくなりたいと願うようになりました。
そんな毎日を送っていたからでしょうか……いつしか私は、ご指導を受けているときから、清彦さんに優しく抱いてほしくてたまらなくなりました。
たとえばお掃除が行き届いていなかったとき。たとえば夕食のシチューを煮込みすぎてしまったとき。
清彦さんのご指導はもちろんちゃんと聞いていますが、夜のことを思うと胸が高鳴ってしまいます。
たまらなくなって夜になると自分から求めてしまう私を清彦さんはかわいいと言って、気持ちよくなれる腰の動かし方やフェラチオの仕方について、根気よく教えて下さいました。
今日のご指導は騎乗位でした。カノンが流れる中、私は清彦さんに導かれるままに腰を揺らしました。
「上下だけではなく、前後にも動かして……自分が気持ちいいと思うところに当ててみるんだ。ゆっくり動いて、それがどこなのか探してごらん」
「は、い……んんっ」
でも、なかなかそれが見つかりません。私が腰をもぞもぞさせていると、清彦さんは困ったように笑って腰を突き上げます。
「ほら……ここだろう?」
「あ、あぁんっ!」
這い上がった快感に、背中をのけぞらせました。
「奥……奥が気持ちいい……っ! あ……あぁ……あ!!」
体の深奥を、硬いものがえぐります。
「ポルチオだね。そのまま快感に身をまかせて……奥まで達しているものを感じてごらん」
「は……あ……んん……あ、あぁッ……あ、あぁ……!!」
頭に白く靄がかかっていきます。全身に力が入るのに、子宮の入り口からじんわりとあたたかいような気持ちよさが広がってきて……
「イク……清彦さん、私……イキます……」
それが、ぱぁんと弾けました。
初めての絶頂でした。
辿り着けてよかった ●榊川彩子
それから1年後――私は臨月を迎えていました。
休日の昼下がり、私は清彦さんを膝枕して、生まれてくる子供の帽子を編んでいました。子供の性別は女の子です。
ずいぶん大きくなったお腹を、膝の上の清彦さんがゆったりと撫でてくれます。
「彩子みたいにかわいくて、素直で、がんばりやの女の子になってもらいたいな」
清彦さんはお腹の中の赤ちゃんに向かって語りかけました。
「それから行動力があって、品もあって、好奇心が旺盛で……」
「よくばりね。私は元気に生まれてくれたら、それだけでいいわ」
編み物の手を止めて、私は清彦さんに笑いかけました。
「そうだね。でも、こうしているとつい、昔の彩子を思い出してしまってね。ひたむきで、世間知らずなのに怖いもの知らずで……執事時代はずいぶんやきもきしたものだよ」
そこでいったん息を吸って、清彦さんは視線を天井に向けました。その目はそこにあるものではなく、今となっては遠いものとなった過去の私たちを見つめているようでした。
「……そんな彩子もお母さんになるんだね」
私も思い出します。結婚してすぐに、
「私…いつか清彦さんの子供が産みたい。家族になりたい」
と話したのを。
あの頃は憧れだけでしたが、今は違います。確かな実感と覚悟が、胸の奥にあたたかく灯っていました。
私はこの熱を、絶対に絶やさない。
それは「お嬢様」と呼ばれていた時代に溢れていた、黙っていてもただ与えられたものではなく、自分で必死で手を伸ばし、もがいて掴んだものでした。
「絶対に幸せにしてあげましょうね、この子のこと」
もちろんだよ、と答えて、清彦さんは体を持ち上げ、私の首を抱き寄せてそっとキスをしてくれました。
清彦さんの顔がふっと真剣みを帯びます。
「これからも彩子の、そして子供のそばにずっといるよ。一生かけてお前たちを大事にする。彩子、愛してるよ」
「清彦さん……」
急に目頭が熱くなって、涙が湧きだしてきました。
――この人と結ばれて、よかった。自分の気持ちに気づくのに時間がかかって遠回りしてしまったけれど、それでもここに辿り着けてよかった。
「私も、ずっと、ずっと大事にします」
私たちはもう一度キスを交わしました。
感謝をこめて ●榊川彩子
それからさらに1年後、私は第一子の女の子に続いて、今度は男の子を出産しました。
出産や育児のことをよくわからないままの年子となってしまい、戸惑うこともたくさんありましたが、清彦さんは仕事で忙しい中でも子育てに参加し、家事も手伝ってくれました。
それからさらに半年ほどして、赤ちゃんの状態がだいぶ落ち着いてきた頃を見はからい、私たちはある小さなパーティを開きました。
昔、私たちがお世話になった人たちをお呼びする、同窓会のようなものです。皆さまの近況を伺うのに加え、新しい私たちの家族をご紹介するのが目的でした。
いらっしゃったのは未由センパイ、悠人さん、北村さん、雨宮さん、宗介さんとイケ店さんに、それぞれの彼女さんでした。
未由センパイと悠人さんは去年結婚式を挙げられ、未由センパイのお腹の中にはすでに赤ちゃんがいました。出産予定日が三ヶ月先に迫り、ずいぶんお腹が大きくなっています。「椅子に座りにくくって」なんてぼやいていらっしゃいますが、とても幸せそうです。お仕事は出産されてももちろん続けるそうで、
「ウチのアシくんたちが、『子供をあやすのはまかせて下さい!』なんて、わたしたちより楽しみにしているんだよね」
と笑っていらっしゃいました。

北村さんと雨宮さんは二年前と変わりませんでした。雨宮さんが仕事から当分離れたくないからと、お二人で話し合って子供はつくらないことにしたそうです。
「子供がいるかどうかよりも、英梨が幸せだと感じてくれるかどうかのほうが大事だから」
北村さんは相変わらず少し不器用そうで、英梨さんは相変わらず気がお強そうで、そんなふたりは相変わらずよくお似合いに見えました。
宗介さんは昨年メジャーデビューして、着実と売り上げやダウンロード数を伸ばしています。テレビやラジオでお名前を聞くこともありました。今日はラジオの収録とスタジオの合間を縫って来て下さいました。
宗介さんの彼女さんは、以前フェブラリー・キャットでメジャーデビューを持ちかけていた方でした。その後も「自分と付き合うことはべつに考えなくていいから」と根気よくデビューするように説得されたそうで、いつしか宗介さんもその熱意に気持ちが傾いていったそうです。今は宗介さんのマネージャーをなさっているとか。
イケ店さんは、お店の常連だった、当時大学生だった彼女さんに告白されて、結局ご自身が「縁結びカフェ」の実績第一号になりました。彼女さんは女性向けのラブグッズを扱う通販会社で働いているそうです。
いろんな生き方があって、思いがあって、それが交差して、今、私たちはここにいるのでした。悲しんだり、悲しませたり、笑ったり、笑わせたりして……私たちのそんな一歩一歩は奇跡のような一瞬一瞬だったのではないかと、今になってやっとわかりました。私たちは今もきっと、自分では気づかないだけでそんな一歩を踏み出しているのでしょう。そして、あるときふとそのことに気づくのでしょう。
「皆さん、ありがとうございます。これからも……よろしくお願いします!」
私は皆さんに、改めてお礼を申し上げました。心からの感謝をこめて――。
END
あらすじ
楽しかった二次会も終わり、少しお酒が入りまどろんでいる彩子は瀬野にお姫様抱っこをされ…。
空回りお嬢様とその執事との恋、とうとう最終話です!