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官能小説 揺れる明るみ〜癒し〜 1話


緊張と不安

(蛍光灯の光って…。どうして、こんなにはっきりと見えるの?視界の隅の本棚や服、壁の模様まで…)

一人暮らしの自分の部屋で、恋人の雄一とベッドにいる。
天井のライトを眺めながら、私は緊張で奥歯を噛みしめていた。

――次のときには明るくしてもいい。

そう言ったのは、私。
幼児体型がコンプレックスで、暗い場所でしかセックスができない。
そんな私の心を、雄一は解きほぐしてくれた。だから、心から明るくしてもいいと思えたのに…。

「葵、大丈夫?」

雄一が、髪を撫でてくれる。
返事に困っていると、彼はベッドから降りた。
呆れられたかも…。
私は、思わずうつむいた。

優しい明かり

「ねぇ」という彼の声に顔を上げると、手に箱を持っている。
「何?」と私がきく前に、彼は箱を開けて4つのキャンドルを見せた。
そして、火を灯して本棚やチェストの上に置く。ガラスのキャンドルホルダーから、温かい光が漏れる。
彼は、部屋のライトを消すと、ベッドに戻ってきた。

「これなら、怖くない?」

彼の言葉に、涙がにじんだ。
察してくれていたんだ…。

私は、ゆっくり頷いてから目を合わせた。

「葵が笑ってるの、見える」

嬉しそうに、彼はゆっくりと唇を近づける。
一瞬だけ唇を合わせると、彼は私の目を覗き込んだ。

「唇めちゃくちゃキレイ。いつもと何か違う?」

「あ…ヌレヌレ、新しいグロス」

私は、恥ずかしさで下を向いて、ドレッサーを指さした。

「そうなんだ!すごくきれいだし、嬉しい!」

優しい明かりに揺れて、彼の唇が近づいてくる。

見える幸せ

長い長いキスの後、彼は、キャミソール一枚の私の鎖骨から腕へと、舌を伸ばした。
私は、目を開けてみる。
…彼が、これまでになくはっきりと見える。
その途端、全身の血が逆流するように火照った。

「ねぇ、見えるの?」

私は、恐る恐る訊いてみた。

「うん、見えるよ。すごく幸せ」

彼は、私の腕から手の甲、中指まで舌を滑らせてそう答えた。
そして、目を合わせたまま、指先をチロリと舐めた。

揺れ光る唇

見える…。
彼の肌や動きが強烈に目に飛び込んでくる。

指を、1本ずつ含む口。その唇は、唾液に溺れて濡れている。
テラテラと光る唇から、別の生き物のように舌が這い出てくる。
時にねっとりと指に絡みつき、時に細かく震える舌先。
チュパチュパと吸い付かれ、押し出され、甘噛みされ…。私の指も、唾液に溺れて揺れ光っている。

「ぁぁぁっ…」

彼の口の温かみに溶かされて柔らかくなった指が震えて、小さく吐息が漏れた。

今まで、暗がりの中で感触だけを味わっていたのに…。
目に見えると、こんなに深くて濃い快感になるんだ…。
指だけじゃない。
彼の口元を見ていると、全身が甘い心地よさに包まれる。

「あぁぁぁぁ。雄君…」

さっきよりも大きな声が漏れてしまう。

彼は私の小指を丸ごとくわえこんで、目をこちらに向けた。
「キレイだよ」と言う口の周りまでたっぷりと、唾液で光っている。
目を合わせ続けたまま、彼は、チュルッとそれまでよりも大きな音を立てた。

⇒【NEXT】「トロリとした目と視線が絡んだ瞬間…」(揺れる明るみ〜癒し〜 2話)

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あらすじ

今度から明るくしてセックスをしてもいい」と思えた葵。
しかし、実際に部屋のライトの電気をつけたままエッチしようとする恋人・雄一に、怖気づいてしまい…

はづき
はづき
肌の細胞すべてに、体の動きすべてに、心が宿る。 心が…
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