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官能小説 純白と快感のあいだ 第2話【LCスタイル】


蘇る香りと体のしびれ


「美味しかったぁ。ごちそうさまでした」


民宿での夕飯は、本当に美味しかった。
傷心旅行初日の今日、観光の後、沈む心に追い打ちをかけるような雨に降られているところを、この民宿まで送ってくれた宮里拓也。


彼の言葉をそのまま借りれば「いい民宿を選んだね。ここの大将と女将さんの料理は最高だよ」なのだそうだ。その言葉は、きっと本当なのだろう。


傷ついていたのは、心だけでなく、体も同じだったのかもしれない…。そう思えるほどに、料理の味の奥にある優しさが、体に染み込んでいった。


≪あの後、体は冷えなかった?明日、楽しみにしてるね≫


お風呂にもゆっくりと浸かって、そろそろ眠ろうかと思っていたところに、拓也からメッセージが届いた。


≪今日は本当にありがとう。拓也君のおかげで、風邪を引かずにすみました。この民宿、お料理も本当に美味しいね!私も、明日楽しみにしてます≫


返信をすると、スマホを枕元に置き、布団に入る。明日からの拓也との時間を思うと、どこからともなくソワソワとしたくすぐったさが湧いてきて、妙に寝付けなくなる。


(甘い香りだったな…)
傘に入れてもらったとき、拓也から漂ってきた香りが、寝付けない思考のすき間にふと蘇る。
鼻の奥の粘膜を直接刺激するような、それでいて少しも押しつけがましくない、スッと一瞬にして全身に馴染んでいくようなその甘さの記憶が、私を眠りからさらに遠ざける。


時々、不意に触れる肩…、笑ったときにふわりと流れてくる息…、高い湿度の中で至近距離にいるからこそ感じる彼の体温…、優しさと深みのある声…。
香りを思い出すと、一緒に歩いた短い時間が、五感に舞い戻ってきた。


布団の中で、少しずつ、息が荒くなっていく。
閉じていた口がうっすらと開き、鼻だけでなく口からも酸素を吸い上げようとするほどに呼吸が高まっていた。
全身の表面が、ジンジンとしびれ始めているのを、私は否定できなくなる。


(そんな…。今日会ったばかりの人なのに…。それに、少ししか一緒にいなかったし…。何より、私、彼氏と別れたばかりなのに…)
体のしびれを抑えようとする理性の訴えは、次々と浮かんでくる。
しかし、それをかき消すように、しびれは、一瞬一瞬、強くなっていく。


止まらない指

オナニーする指が止まらない女性


浴衣の合わせから手を忍ばせ、太ももに触れる。
体のしびれを抑えるには、それしか方法がないような気がした…。


「あぁ…」


太ももの内柄に指先を這わせると、思わず息が漏れる。
瞬間、ゾクッとした感覚が体の内側を通って頭のてっぺんにじんわりと届く。その一瞬に、拓也の声と香り、体温、息…すべてがないまぜになって押し寄せてくる。


「あぁ…だめ…」


私は、形のない罪悪感を言葉にしながら、指を下着に伸ばす。
ショーツの上に、中指だけを滑らせる。
敏感な泉の出口付近は、熱さを含んだ温かさを発していた。ショーツと柔らかい肉を介しても、クリトリスがひときわ大きくしびれているのが分かる。


何度も何度も、もったいつけるように、下着に指をなぞらせる。
一往復するたびに、高まっているカラダの熱を感じ、大きくなるしびれが迫ってくる。


布団の中で、脚がだんだんと開いていく。
開いた脚の間で、柔らかな肉に包まれていた突起がむき出しになるのが分かる。
ショーツの上から触れる指の感触が、一気に強烈になった。


「ぅうっ…ん」


クリトリスに跳ね返されるように、指が浮く。
その指は、まっすぐに突起に戻り、グルグルとクリトリスを回し始める。
すっかり敏感になっていたその小さな塊は、柔らかな指先に翻弄されるように、ますます敏感になる。まるで敗北宣言をするように、指の動きに身を委ね、快感を増していた。


「あぁ…いい…もっと…」


思わず出た声が自分の耳に届くと、その声に押されるように、私は、ショーツをずらし、つま先のさらに先へと追いやった。


左手の中指でクリトリスを直接撫でると、「はぁぁ…」と息が漏れる。
そっと泉に指を伸ばすと、すでに愛液が溢れて、体温よりも少し高い湿り気が指先を覆う。
その温かな液をすくった指先を、硬くなっている突起に戻すと、快感のスイッチはさらに強く押される。


「ぅんん・・」


愛液にクリトリスが溺れるようで、私は、思わず体をくねらせる。
(もっと…もっと…もっと、溺れたい…)
心が吐き出す声が、指の動きをさらに激しくさせる。
快感がさらに高まり、息が苦しくなる。その中で、拓也の発する香りと声が、脳裏にいっそうくきりと蘇った。
私は、抑えきれず、右手の人差し指と中指を、愛液の溢れる泉の入り口へと忍ばせる。


「あぁぁ…入っちゃう…」


吸い込まれるように、中指が、泉の中に沈んでいった。


「あぁ…そこ…そこ…いい…」


泉の中の壁の、特に敏感なスポットを、中指は、すぐに探り当てる。最初は撫でていたつもりだったその指の動きは、徐々に、こするというスピードに変化していく。それと同時に、クリトリスをもてあそぶ左手の動きも、激しさを増す。
快感の鼓動はさらに高まり、全身の細胞が硬直し始めるのを感じていた。


「ぅううっ…もっと…あぁ…きもちいい…きもちいい…」

鼻の奥に拓也の香りを感じながら、目の奥に拓也の瞳をやきつけながら、耳の奥に拓也の息と声を染み込ませながら…。そしてそれに、やはり、少しの罪悪を覚えながら…。
私は、快感の渦が自分を巻き込んでいこうとするのを、止めることができなかった。


「あぁぁ…いく…っ…」


溢れる泉のクチュクチュという音と浴衣と腕がこすれる音とが、妙に強く脳の真ん中を突き抜けて、私は、果てた。


ハァ…ハァ…、…フゥ…


息を整えながら、今日会ったばかりの拓也を思いながら快感をむさぼった自分が、急に恥ずかしくなる。
それでも、記憶の中の拓也の笑顔は果てしなく輝き、声はどこまでも澄んでいた。


魔法の国


翌朝、拓也と私は、約束通りに民宿の玄関で10時に会い、拓也の案内で島のいろいろな場所に連れて行ってもらった。


地元の人しか知らないような森の中の小道、その先にあるこぢんまりとしたビーチと、キラキラ光る水の奥に動く小さな魚。
自分たち以外には誰もいない、人の声も車の音も聞こえない。拓也と私の声、それから波と風と木々のささやき。それだけが耳に入ってくる。透明感のある景色と拓也の姿だけが、目に入ってくる。それはまるで、魔法の国に来ているかのような美しい時間だった。


彼とデートで透明感のある水と魚をみる女性

「あ、そうだ!明日のランチは、俺、作るよ。友だちと一緒に」


おすすめの島料理のお店でランチを食べながら、拓也は最高のアイデアを思いついたという表情で笑顔を向けた。
明日は、子どもの頃から一番仲の良い友だちが休日なのだそうだ。朝から釣りに出かけ、釣れた魚を使ってふたりの得意料理をご馳走してくれるという。


「ほんと?嬉しい!でも、釣れなかったら?」


「ましろは、東京でつらいことがあったから、なんかネガティブになってるんだな!大丈夫だよ、釣れるから。任せとけって!」


拓也は、いつの間にか、私を呼び捨てにするようになっていた。それが私には、とても心地よく馴染んだ。


翌朝、拓也は親友の大吾を連れて民宿の前に現れ、早速海に向かう。
拓也の言うとおり、魚は釣れた。
そして、拓也と大吾は、その場で魚をさばき、持って来ていた少しの調理器具や食材を使って、その場で驚くほど手際よく料理をした。


「なんか、バーベキューとは、全然違うね…」


ふたりを眺めながらただその場に立っているしかできない私は、どこかぼんやりとした口調で呟いた。


「全然違うよ、決まってるだろ」


拓也と大吾は、小学生の男の子のような表情で笑い、楽しそうに魚と野菜の蒸し料理を作っている。そのすぐ隣では、潮と魚の香りがフワッと漂ってくるパスタ。
できたての料理を、私は、何度言ったかわからないほど何度も「美味しい」と興奮して言葉にしながらたいらげた。


その後、拓也と大吾は、自分たちが小学生のときに秘密基地を作ったという場所に案内してくれた。遠くから、小学校のチャイムや子供たちの声がうっすらと聞こえてくる。
懐かしそうに15年も前のことを話すふたりの姿は、私の傷ついた心に光を当て、感情も思考もフラットにしてくれた。


「なんか、いいね。元気出るよ、ふたりを見てると」


私は、自分まで一緒に懐かしい気持ちになるような気がする。


「だろ?この島にいれば、元気になれるんだよ」


自信に満ちた拓也の言葉に、さらに自信を加速させるような大吾の頷きが、私に、失ったエネルギーを注いでくれる。


彼らの後ろを歩きながら、拓也を思い出してひとりHをした記憶がよみがえり、心臓がキュッとしめつけられるほどの恥ずかしさを覚えた。


戸惑う心


その翌日からも、拓也は、島の中をあちこち案内してくれた。


日を追うごとに、彼は、歩くときに、近くに寄り添ってくる…ような気がする。


日を追うごとに、彼の視線は、優しさを増している…ような気がする。


日を追うごとに、彼から発せられる甘い香りは深まっている…ような気がする。


拓也と私の間の空気は、一緒にいる時間が長くなるほど、着実に親しみを増していった。
ただ、寄り添ってくれているのも、優しく見つめてくれているのも、私の希望的観測にすぎないかもしれない。その希望的観測が、甘い香りが深まっているという錯覚を引き起こしているのかもしれない。


この戸惑いは…何かしら?
私は、拓也に惹かれている…のかしら?
でも、旅先の一時的な関わりにすぎない。それに私は、ついこの間、彼氏にフラれたばかりなのに…。


それでも、彼の優しさも温もりも、そしてあの甘い香りも…。すべて、もっと近くに感じたい。もっとたくさん味わいたい…。その気持ちがあることは、自分自身に対して、決して否定できなかった。


明後日の朝には、私は東京に帰る。


(ずっと一緒にいられたらいいのに…)


あまりにも現実離れした願いだからなのか、失恋の傷がそうさせるのか、私は、まとまらない気持ちを悶々と抱えながら布団をかぶり、眠りについた。


⇒【NEXT】島を離れる日がだんだん迫ってきて…(純白と快感のあいだ 第3話)

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あらすじ

傷心旅行で訪れた島で偶然出会った男性、
拓哉に島を案内してもらうことになったましろ。

優しい彼はましろを泊まっている民宿まで送って帰って行った。

民宿の美味しい料理に身も心も癒されていると、

拓哉からさっそくメールが届き…。

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