女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 キミに出会う旅 後編
旅行での恋愛
京都に着いた南波は、旅慣れた直哉の 手引きで大原行きのバスに乗った。後ろから二番目の二人掛けの椅子に、 二人は並んで座った。
数時間前に知り合った男性と こうして寄り添って座っているのが、 南波は不思議でならなかった。
もしどちらかの新幹線の座席番号が一つでも ずれていたら、別々の席に座っていたのに。
新幹線の中ではおしゃべりだった直哉も、 バスに乗り込んだ途端寡黙になり、 ひたすら窓の外に向けて シャッターを切り続けている。
しかしそれを冷たいとは全然思わなかった。
武夫と一緒に居た時のような、 妙な緊張感や居心地の悪さもない。
窓の外には、慎ましやかな京都の自然が 広がっている。 揺れる柳から零れる午後の陽光が、 南波に向けて時々眩しい閃光を放った。
大原に着くと、冷たく澄んだ空気が 南波を包み込んだ。
写真を撮り続ける直哉の背を追いながら、 寺までの道のりを歩く。
直哉はこの辺りでよく知られているようで、 出店などでよく声をかけられた。 ほがらかに受け答えする直哉は、 眩しいほどに好青年だった。
日が暮れかけた頃、二人は大原を後にした。
バスに乗り込むと、 直哉が南波に申し訳なさそうに言う。
「つき合わせてしまったけど、大丈夫?
疲れたでしょ?」
「全然。心底、癒された」
南波は、しみじみと大きく息を吐いた。 すると直哉が、ふいに言った。
「おなか空いてない?祇園行こうか?」
二人は、直哉行きつけの祇園の 小料理屋に入った。 そこは、ガイドブックでは探せない 知る人ぞ知る隠れ家的な名店だという。
味のある地味な佇まいの店内で、 横に並んで京都のおばんざいを堪能しながら 日本酒を酌み交わす二人。
不思議なほど話は尽きない。
武夫とつき合っていた頃、 こんな風にリラックスして 心から笑ったことはあったろうか。 そう考えた南波は、京都に来た本当の理由を つい直哉に漏らした。
「ごめん、つまらない話して。
でも、京都に来て良かった。
直哉君と話して元気になれた。ありがとう」
「いや、僕も楽しかったから。
僕は、仕事柄日々点々としてるから、
なかなか恋愛する時間なくてさ。
人との出会いは多いんだけど、
恋愛は…。っていうか、
そういうの考えたことなかったな…」
直哉は一旦そこで言葉を切ってから、 付け足すように、「…今日まではね」と言った。
直哉は、持っていた日本酒のお猪口を ゆっくりテーブルに置く。
「…僕、もっと南波さんを知りたい。 出会ったばかりで何言ってんだって思われる かもしれないけど、けっこう本気で思ってる」
南波の右手の甲が、ふいに温もりに包まれた。 直哉が、テーブルの下で手を握ったのだ。
夢かもしれないと思ったが、 右手には確かな感触がある。
「私も」
南波は、小声で囁き直哉を見る。 不安気な顔の直哉が、南波の呟きが 届いた途端みるみる笑顔になる。
そんな素直な彼を、 南波は心の底から愛おしく思った。
店を出た二人は、自然と手をつなぎ、 南波の予約したホテルに向かった。
旅行先でのセックス
南波はチェックインを済ませ、 先にホテルの部屋で直哉を待った。 こんな急な展開を、すんなり受け入れられる 自分に南波は驚いていた。
コンコン…と、ドアがノックされる。
静かにドアを開けると、 照れくさそうに直哉が立っていた。 彼を招き入れ、ドアを閉める南波。
振り返ろうとした瞬間、 大きな温もりが南波の背中を包む。 背後から強く抱きしめられたのだ。
南波の背中に、 激しい鼓動と微かな震えが伝わってくる。 直哉も緊張しているのだろう。 そんな不器用さが、南波を安心させた。
しばらくの間、二人はそのまま重なり合い じっとしていた。
二人の呼吸がそろってくるのを感じ、 南波の胸の中で愛おしさが膨らんでいく。
直哉の腕をふわりとすり抜け正面を向くと、 今度は南波から抱きしめた。
自然と重なり合う唇。
熱い吐息混じりの湿った感触が、 南波の上唇と下唇を順に覆う。
彼の滑らかでゆっくりした舌の動きに 呼応するように、南波もまた舌を絡ませる。
徐々にぎこちなさは消え、 緩やかに溶け合っていく二人。
こんな風に余裕を感じながら、何も考えずに 愛おしい人との時間を楽しむのは いつぶりだろう… と、南波は頭の片隅で考える。
直哉の愛撫は、優しくも激しさを増し、 南波はいつしか狭い部屋の壁に 押し付けられていた。
もっと重なりたい、一つになりたい… 南波の気持ちは、もどかしさと喜びで ぐんぐん昂っていく。 それは、直哉も同じらしかった。
「あっ…」
こらえきれずに声を漏らす南波。
全身に鳥肌が立つような興奮が後から後から 押し寄せるので、南波は不安さえ感じて、 思わず直哉のシャツの背中を強くつかんだ。
そして、それが合図となり、 二人はベッドへ倒れこんだ。
直哉は、南波の洋服や下着を 早々と剥いだりはしなかった。 優しく体をさすりながらゆっくり洋服を 脱がせ、下着を愛おしそうに撫でる。
南波は、 彼が自分を尊重してくれていると感じた。
直哉が、南波の柔らかい部分に唇を 這わせている間、南波もまた、 彼の硬く隆起した二の腕や胸の筋肉に 指や唇を這わせた。
指先から彼の情熱が伝導し、 南波の中心を刺激する。 ごく自然な流れで南波の泉に直哉が滑り込み いつしか二人は一つになった。
長い時間、 二人は一つになったまま揺れていた。
そして南波は、幾度となく絶頂を味わった。
南波が恥ずかしいほど大きな声で 歓喜の叫びをあげるたび、 直哉は全力で奥へ奥へと突き上げる。
流れ出る汗でシーツは湿りきっていたが、 二人は繋がることをやめられなかった。
「離れたくない…」
直哉は南波の耳元で何度もそう囁き、 自分が達してしまわないよう 全身に力を込めた。
しかし、たとえ体が離れても、心は決して 離れないであろうことを南波は確信していた。
直哉もそう感じたらしく、 やがて南波という安らぎの中で静かに果てた。
狭いベッドの上で二人が心地良い疲労感に 包まれ、我に返ったのはすでに明け方で、 カーテンの向こうでは新しい一日が始まろうとしていた。
<キミに出会う旅 〜おわり〜
今、人気・注目のタグ<よく検索されるワード集>(別サイト)
あらすじ
旅行での恋愛によりいっそう胸が高鳴る…!
親しくなった男性とのこれからに期待を隠せない南波は…
古い恋愛を断ち切るには新しい恋愛。旅先で運命の出逢い…なんてロマンチックなストーリーを楽しみたい人へ。