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官能小説 ここにいること 3話 (エッチな指)【LCスタイル】

エッチな指〜再会

官能小説;コーヒー

「…ふぅ」
タバコの煙を吐く息に、少し声が混じる。

晴れた土曜の『喫茶 白樺』。
窓際の席で、手持ちぶさたに
コーヒーとタバコを行ったり来たり。

―――3週間前。

財布を忘れて
清算ができずにいた私の代金を、
翔…という青年が立て替えてくれた。

その後はなんとなく、
ここから足が遠のいていたけれど…。

(お金を返しに来たんだわ…)

コーヒーを口に運びながら、
私は、何度も自分に言い聞かせた。

しかし、タバコの煙を吐き出すたび、
「また、来てくださいね」という、
翔の声が蘇る。

「それも、お金を借りてたからだわ…」

口の中だけで小さく呟いて、
席を立った。

お金を返すも何も、翔はいないのだ。

清算をしていると、
カラン、という入り口のドアの音と、
それよりはるかに大きな声がした。

「やっぱり…!」

驚いてドアのほうを向くと、

―――翔が立っている。

「最近来ないから、寂しかったんですよ!」

声と同じだけの勢いで私の目の前まで来ると、
カウンター席に座った。

そして、

「マスター、オリジナルブレンドふたつ、
お願いです!」

と注文すると、
動転している私の目を覗き込んで

「もう一杯、だめですか?」
「だめっていうか…、私…」

あまりにまっすぐな瞳に、私は目を逸らせず、
でも、答えらしい言葉も出てこなかった。

「よかった、じゃ」

翔は、私が出すはずの答えを決めてしまい、
自分の隣のスツールをトントンと叩いて、
座るように促した。

私は、操り人形のように、
不器用にスツールに手を伸ばし、
腰掛けた。

名前

官能小説;水の渦

「会えて、よかったです」
「名前、なんていうんですか?」

相変わらず、
ポンポンとゴムのボールが跳ねるような声だ。

「中村…佳織」

なんとか質問に答えたけれど、
思うように舌は動かないし、
声はかすれてしまう。

「佳織、さん?」

確かめてくる翔に、
私はやっぱり操り人形のように、
コクリと小さく頷いた。

「そっかぁ。…うん、イメージどおり。
…美人な名前ですよねぇ。
あ、ていうか、名前だけじゃなくて!」

さらに大きく、
翔の声のボールは、弾んでいく。

私は、黙って首を横に振っていた。

首を振るほど、
顔はどんどん紅潮する。

そして、
「若い男に飲まれて、騙されちゃダメ!」
という理性の声は、次第に遠のいてしまう。

「あ、佳織さん、少し笑った」

その声に私は思わず、

「え…?」
と、翔を見た。

「やっぱり、笑ってるよ」

最初から変わらない翔の笑顔に、
私は少し、肩の力が抜けた。

エッチな指

官能小説;花瓶に挿さった花

それから私たちは、
いろいろな話をした。

翔は植木職人で、私よりもひと回り年下。
この店の外壁にある蔦の葉も、彼の演出なんだそうだ。

「親方んところにお世話になって、
初めて少し任せてもらったのがここなんです」

「そのとき、力んで空回りしてる俺に、
親方が言ってくれたんですよ。

“希望なんて、太陽に照らされて
青々としてる葉っぱみたいなもんじゃない。

そういうのは、希望じゃなくてゆとりだ。

光がない土の中にいるから、
外に出てやろうって希望が生まれるんだ”

ってね。
その時からこれ、俺の座右の銘。ちょっと長いけど」

私は、いつの間にか
翔の話に聞き入っていた。

あんなにチャラチャラして見えたのに…。

(毎日のように、この指は、
真剣に細やかに、動いているんだわ)

そう思うと、話しながら、
つい翔の指を見つめてしまう。

関節はごつごつとしていて、
でもすらっと伸びる長い指。
…ちょっと、傷もあるみたい。

……美しい。

「やっぱり佳織さん、
思ったとおりの人だ」

その声に、
私は、慌てて翔の手から目を離し、
改めて顔を見た。

「ほんとに、よく笑うのね…」

私は、年上らしく落ち着いて見せたけれど、
本当は、翔の手に触れたい衝動で、
指先がほんのりとくすぐったかった。




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あらすじ

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