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官能小説 心も体もつながる夜は 3話

かすかな期待

知宏との夜がうまくいかなかった翌日。
美冬が意気消沈して自宅に帰ると、可愛いワンピースを着た妹が洗面所で髪をセットしているところに遭遇した。
「あ、お姉ちゃんおかえり。冷蔵庫にLaClochetteのプリンがあるから食べていいよ」
「うん、ありがとう」
妹は昔から自分とは正反対の破天荒な性格だが、姉妹仲はとても良い。お泊まりなんてラブラブだね〜とからかわれ、美冬は曖昧に頷く。
普段は大好物で、行列に並ばないと買えないレア物高級プリンにもあまり心が躍らなかった。

「それより今日はどうしたの?可愛い格好してるじゃない」
「うん、私もデートなの。だから気合入れちゃった」
入念に髪型をチェックする妹の姿に、道理でと苦笑する。
他人から見ると大して違いはないのに、細かい部分がどうしても気になって身だしなみにこだわってしまう、知宏と出掛ける日の自分を見ているようだ。

「菜々子、あんまり時間かけすぎて遅刻しないようにね」
そう言って自室に上がろうとした美冬だが、妹がはーいと返事をした瞬間にふわりといい香りが鼻をかすめた。ちょっとフルーティで、妙に気になるシャンプーの香りである。
「ねぇ、こんなシャンプー使ってたっけ。マスカットの香りかな?」
「あ、お姉ちゃんも気に入った?でもこれシャンプーじゃなくてヘアオイルなの」
そんな妹が見せてくれたのは可愛らしい薄緑色のラベルがついた小瓶だった。
ラベルにはNa・de・teと書いてある。
ナデテ……?」
「うん、髪のお手入れにもスタイリングにも使えるからデート前に使ってるんだ〜。お風呂上がりみたいな香りになるの。いいでしょ」
「へぇ、素敵だね」

他にも種類がいっぱいあるから見てみなよ、と販売しているウェブサイトを教えてもらい、美冬は妹を見送った。
早速自室でパソコンを開いてみると、目移りするくらいたくさんの商品がある。パステル調のサイトデザインがかわいらしい。
「わぁ、こんなにあるんだ。香水に、石鹸に、ボディケア……。あ、食べ物も売ってる」
そうやってしばらく商品一覧を見ていた美冬だが、ふとあるページに目が止まった。
それはリュイールホットという名前のラブコスメで、塗ったところからじんじん、じわじわと濡れてくると書いてある。『性交痛』『緊張感や気持ち面での準備不足』という文字に強く惹きつけられた。

「これを使えば、私も最後までできるのかな……」
もちろんこういう商品の場合、効果には個人差があると分かっている。
だがこのまま何もせずに時を過ごすよりはと、美冬は藁にもすがる気持ちで購入ボタンをクリックした。
彼は焦らなくてもいいと言ってくれたけれど、いつまでも前に進めないのは悲しすぎる。
最近、休みの日はいつも知宏の自宅で過ごすのが習慣のようになっているから、次の週末には試せるだろうか。

思わぬ噂

腕時計を取ろうとする手

その週の金曜日、美冬はナデテリュイールホットをバッグに忍ばせて出勤した。
退社後はそのまま知宏のマンションに行く約束をしているから、そこで勇気を出してこのことを話すつもりだ。ずっとアプローチを続けてくれていたのは彼の方だけれど、今では自分だって同じくらい、いやそれ以上に好きになっている。
心だけでなく、体も繋げたいと思っているのは美冬だって同じなのだ。

しかしその日の昼休み、なんとなくそわそわウキウキしていた彼女は、給湯室から漏れ聞こえてきた同僚たちの会話に大きな衝撃を受けた。
なぜならそれは、恋人である知宏にかかわる重大な内容だったからである。
「ねぇねぇ、聞いた?飯塚さん、来週専務の娘さんとお見合いするらしいよ」
「うそ、あの人相川さんと付き合ってるんじゃなかったっけ」
「それがさ、秘書課の同期から聞いたから確実。顔合わせ前なのに連絡取り合ってるんだって。だいたい倉本専務から直々に指名されたんだよ。断れる訳ないって」
「そっかー。専務の娘婿なんて出世確実だしねぇ」
「うん。しかもフランスにピアノ留学してたお嬢様で、超美人の22歳。別世界の話だよ」
「うわ、完璧じゃん」

「お見合い……?」
目の前が真っ暗になるとはこういうことなのか、と美冬は思った。
鈍器で殴られたように頭がガンガンする。
既に連絡を取り合っている、出世、専務の娘、美人でお嬢様の22歳。秘書課が噂の出処で、確実な情報元。
もしも周囲に聞いて回ったら、このお見合いに乗る方が絶対正しい選択だと誰しもが答えるだろう。ごく普通のOLで、とりたてて美人でもなく、さらに面倒なトラウマによってセックスすら満足にできない美冬と付き合い続けるメリットなど何もない。
それほど分かりやすい状況だった。

「そっか……。今日で終わりにしなきゃ、だよね……」
知宏のことは好きだ。ずっと一緒にいたい。
でも、本当に彼のためになることを考えたら、自分の気持ちばかり押し通しては駄目だと思った。まだ優しくしてもらえるうちに、静かに身を引くのが一番正しいはず。

それに彼は思いやりのある人だから、なかなか別れを切り出せずに困っているのかもしれない。
顔合わせ前なのに既に連絡を取り合っているのなら、お互い気に入って本格的に話を進めるつもりなのだろう。若い美人と結婚できて出世まで望めるなんて最大のチャンスだ。それを邪魔してはいけない。
あんな素敵な人に、キラキラ輝く夢のような思い出をもらえただけでも幸運だったのだ。

同僚たちに気付かれないよう給湯室を後にして、美冬はきゅっと手を握りしめる。
大好きな彼の負担にならないように、笑顔で別れようと思った。

【NEXT】別れを決意した美冬に知宏は…(心も体もつながる夜は 4話)

あらすじ

知宏とのセックスが上手くいかず落ち込む美冬が帰宅すると、
デート前の妹に出くわした。
良い香りのする妹に勧められた
ヘアパフュームを販売している会社のウェブサイトでは、
性交痛の悩みのためのラブコスメも販売されていた…。

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