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官能小説 救世主 1話
オンラインゲームからの恋愛〜見えない相手
「助けてくれてありがとう」とルナが言う。
「危ないところだったね」とアポロン答える。
「またどこかでお会いしましょう」と言ってルナは去る。
とその瞬間、ピリリリ…と現実へ連れ戻す電子音が鳴った。
「もしもし?」
素っ気ない調子で晴子は電話に出る。
後輩の真弓だ。
「え、紹介!?」
「たまにはいいじゃない。
仲間内の飲み会だと思って、出ておいでよ」
晴子は電話を切った後、苦笑いした。後輩が男性を紹介してくれるという。
3年前に大失恋をした後、晴子には恋人がいなかった。
長く付き合った相手だっただけに、別れた後は恋愛への意欲を失い、最近は、仕事のとき以外は家に引きこもりがちの晴子。
今の晴子には、ゲームの中のファンタジーだけが世界だった。
見知らぬ人とオンラインでつながり、世界を救うゲーム。
ゲームの世界で晴子は、ヒロインの『ルナ』として活躍している。
現実世界の『晴子』より、『ルナ』でいる時のほうが今は楽しい。
意気投合
思わぬ偶然こそ、運命を感じる瞬間だ。
そして晴子は、後輩が紹介してくれた、ゲームプログラマーの新太郎にまさに運命を感じた。
なんと、先日オンラインゲームの中で、晴子を救ってくれた『アポロン』という戦士が、今まさに目の前にいる、新太郎だったのだ。
ゲームプログラマーという職業は、青白い顔にボサボサ頭という固定観念を持っていた晴子は、自分の目が信じられなかった。
新太郎は、体型こそ華奢なものの、背が高く、スタイリッシュなフレームレスのメガネをかけた、感じの良いインテリ風青年だった。
少しだけ意地悪そうなつり目も、晴子好みだ。
「そんな偶然…」
せっかく集まった真弓や、新太郎の友達をそっちのけで、晴子は新太郎と、新旧のゲーム話で朝まで盛り上がった。
作戦
次の日曜日、晴子は初めて新太郎のマンションを訪れた。
新太郎が今、開発に取り組んでいる、新しいゲームを試させてくれると言うのだ。
晴子は、ゲームが目的なのか、新太郎が目的なのか分からないまま、華やぐ気持ちを抑えて出かけて行った。
ターミナル駅のセレクトショップで、少し値の張るワインを1本だけ買う。
新太郎は、晴子のために焼きそばを作って待っていた。
見栄えは良くなかったが、味は悪くない。
焼きそばと赤ワインというミスマッチな組み合わせのディナーの後、2人は新太郎がプログラミングした、格闘ゲームで勝負した。
新太郎がコントローラーを持つ手が、何度か晴子に触れるたび、酔いの回った晴子は、少しもどかしいような、 懐かしいような感情が湧き上がってくるのを感じた。
その時だった。
画面に登場した女性キャラクターが、戦いに負け、服を脱ぎ始めたのだ。
「野球拳方式でバツゲームって、どう?」
誘惑するように新太郎が言う。
1時間後、晴子はキャミソール姿になっていたが、新太郎は一枚も脱いでいない。
「プログラムした人に勝てないよ」
晴子は笑ってそう言ったが、新太郎は笑わずに、急に無口になる。
ついにその時が…。
晴子は胸を高鳴らせて、抱擁を待った。
しかし新太郎は動かない。
きっかけを作らなければと焦った晴子は、苦し紛れに呟く。
「負けたら勝ったほうにキス…って、どう?」
晴子に顔を向け、驚いた表情をする新太郎。
晴子は新太郎の顔を手のひらで包んだ。
そしてそっと唇を重ねる。
晴子の唇には、新太郎の興奮が伝わってきた。