注目のワード

官能小説 幼馴染 1話 (転勤、そして遠距離)


転勤、そして遠距離

瞳は、息を荒げながら、閉じていたまぶたをゆっくりとあける。視界がぼんやりしている。

(ああ……またやっちゃった)

瞳は1人ベッドに横たわったまま、チクチク刺さるような罪悪感にさいなまれていた。

太ももをつたい、今更のようにトロリとした生温かい液体が流れ出す。
慌てて瞳はティッシュでそれをぬぐい、 大きなため息をついた。

利貴への愛しさがこみあげると、反射的に下半身に意識が集中してしまう。
彼の骨ばった長い指や、 引きしまった浅黒い胸板を思い出すだけで、自然と秘部に隠れた小さな蕾はふくらみを増し、熱く突起するような感覚を憶えるのだ。

そうなるともう瞳の右手は勝手に動きだしてしまう。
利貴の強引な愛撫や湿った舌の感覚を思い出し、指先の動きで再現する。
左手は、慣れた手つきで豊満な胸を激しく揉みしだくのが常であった。
ときおり利貴の真似をして、人差し指で乳首をつまんだり転がしたりしながら。

利貴とのセックスは、何度再生しても飽きることはない。
想像の中の利貴は、本物以上に優しく情熱的で、そして瞳を誰よりも愛してくれたから。


虚しさが襲う

しかし、昇りつめた後の倦怠感は凍りつくほど虚しい。

(今度、本物の利貴に抱かれるのはいつ?もしかしたら二度と…)

不吉な予感が頭をよぎった瞬間、瞳は頭を激しくふって想像を打ち消した。そして、勢いよくベッドから降りシャワーに向かう。
ザーザーと流れるしぶきを受けながら、ずぶ濡れの瞳は涙を流していた。

つき合い始めて半年経った頃、利貴は博多に転勤になった。東京と九州という距離に阻まれすでに5年。

「数年後には東京に戻るから、その時は結婚しよう。待っててくれ」

利貴のその一言を頼りに、瞳はひたすら待ち続けた。
もしあの1件さえなければ、瞳はまだ彼を信じて待っていただろう。しかし今の瞳には「待つ」ことが無意味に思えて仕方がない。

逃れられない真実

ちょうど1週間前のことだ。
夜も更けた頃、いつものように 利貴の携帯電話に電話をしたが電源がオフになっていた。
わけもなく不安になり、普段は絶対にかけない固定電話に電話をかけてみた。

「もしもし?」

見知らぬ女の声。瞳の背中に戦慄が走る。瞳が黙ったままでいると、

「誰から?」

という、聞きなれた男の声がかすかに聞こえる。瞳はそのまま電話を切った。

あれから瞳は利貴に一度も連絡をしていない。そして瞳の僅かな期待を裏切り、利貴からも音沙汰はなかった。

瞳はシャワーのしぶきの中に蹲り、声をあげて泣いた。


女性のための官能小説でもっとときめきたい方へ

あらすじ

カテゴリ一覧

官能小説