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官能小説 【小説版】となりのS王子「ファースト・クリスマス」(後編)
彼の唇は……
見上げれば、瑛太の顔がすぐ近くにある。瑛太のキスはチョコレートケーキの味がして少しほろ苦い。
ここでするのかな……?
ワインの飲み過ぎで、ぼんやりしている頭で考える。
「どうしたの?じっと見つめて」
「瑛太の顔が近くにあるなぁって」
「キスしてるからね」
そう言って、瑛太は今日何度目かのキスをした。
「ワインもケーキも冷蔵庫に入れなきゃ」
「いいよ、あとで」
「でも……」
うるさいとでも言うように、瑛太は私の口を自分の唇で塞いだ。
「んっ……」
瑛太のキスは次第に深くなり、思わず声が漏れる。
のしかかる彼の重さを感じながら、私はそっと瑛太の頬に触れた。ワインの所為なのか、キスの所為なのかはわからなかったけれど、彼の頬は熱い。
瑛太はキスを繰り返しながら、優しく私の胸に触れる。ニットをめくり、彼の手が私の素肌に触れた瞬間、その冷たさに思わず身じろいだ。
「ごめん。冷たかった?」
心配そうに瑛太は私の顔を覗き込む。
「うん、大丈夫」
瑛太は私をあっという間に下着姿にしてしまった。
「いい眺め」
「ちょっと……!じろじろ見ないでよ」
「いいじゃん。減るものじゃないんだし」
「でも、明るいところで見られるのは恥ずかしい」
シーリングライトはちょうどソファの真上にあった。
「そう? じゃあ、ベッド行く?」
「うん……」
瑛太は身体を起こすと、ソファに横たわる私の腕を取り、立ち上がらせてくれる。
ソファのすぐ近くにあるベッドへと移動すると、瑛太はベッドに座り、私を自分の膝の上に乗るように促した。
「今日の千夏、エロいなぁ」
「そんなことないよ。いつもと変わらないと思うけど……」
「普段なら、俺の膝の上になんて乗ってくれないでしょ?」
うっ……言われてみれば……。
酔いに任せて、少し大胆になっているのかもしれない。
瑛太は慣れた手つきで私のブラジャーを外す。露わになった私の胸の先端をなんの躊躇もなく口に含んだ。
「あっ……、やぁっ……」
時折、瑛太は上目遣いで私のことを見つめる。
恥ずかしくて視線を遮りたいけれど、彼にしがみついているだけで精一杯だった。
クリスマスプレゼント
散々、私の身体を愛撫したあと、瑛太は私をベッドに横たえた。
「次は下ね」
「えっ……」
「ほら、脚開いて」
なかなか開こうとしない私の脚を瑛太は軽々と広げ、下着をはぎ取ると、そのまま顔を埋めた。
「やぁんっ、はぁっ……」
瑛太の舌が私の秘部に触れる度、甘い吐息がこぼれた。
「千夏、ここ好きだよね」
瑛太は私の弱点をよく知っている。的確に私の弱い部分だけを責めていく。
「ねぇ、瑛太……。電気消して」
「ダーメ」
「恥ずかしいよ」
「いいじゃん。千夏のこと、いっぱい見たい」
瑛太は言いながら、秘部を舐め上げながら、指をゆっくりと挿入する。
「ああっ……」
「もう、こんなに濡れてる」
「恥ずかしいから……んっ……言わないで……」
瑛太は容赦なく、挿入した指を出し入れしながら、私の胸の先端を再び口に含んだ。
「やぁっ!」
「ふふっ、いい声。もっと聴きたくなっちゃうな」
「次は瑛太の番……」
「知ーらない♪今日は千夏のこと可愛がるって決めてたから、俺のことはいいの。でも――」
瑛太は少し照れくさそうに笑う。
「挿れたくなってきちゃった」
「いいよ」
私の言葉にほっとしたように、瑛太はコンドームを手に取ると、手早く装着し、私の身体を一気に貫いた。
「ああっ……!」
「千夏の中、すっごくあったかい……」
瑛太は恍惚の表情を浮かべると、ゆっくりとピストン運動を始める。
「あっ、んっ……やぁ……」
彼が身体の最奥を突く度に私の口からは、我慢しきれない声がほとばしった。
「可愛い」
瑛太は私の身体を貫きながらも、口づける。
「瑛太……」
「そんな風に名前を呼ばれたら、我慢出来なくなりそう……」
「瑛太の好きな時にイっていいんだよ……?」
「千夏……」
彼は呟くように私の名前を口にし、私の頭を優しく撫でたあと、更に腰を激しく動かし始めた。
「やっ、あっ、はぁんっ……」
「千夏……」
切なげに瑛太は私の名前を呼び、果てた。
上下する肩を私はぎゅっと抱きしめる。
一緒にイケはしなかったけど、私の為にいっぱい前戯をしてくれたり、こうして身体を密着させたりしているだけで、私の心は満たされる。しばらく抱き合ったあと、瑛太は私の腕の中から抜け出すと、コンドームの処理をする。
「あ、そうだ……!」
何かを思い出したように、瑛太はベッドから離れてしまった。
私は酔いもあってかうつろなまま、枕を抱きしめてうつ伏せになる。しばらくすると、瑛太が戻ってきたことが足音でわかった。
「ちょっと、何……」
突然、瑛太の腕が首と枕の間に差し込まれ、私は非難の混じった声を上げた。
「いいからいいから」
全然良くないんですけど。
朦朧とする頭の中で反論する。
瑛太は私を半回転させて、自分の方を向けさせた。
「良く似合ってる」
「……?」
言っている意味がわからなくて、私がきょとんとしていると、スマホのカメラアプリを起動させ、私を映した。
「これって……」
私の首には華奢なネックレスがつけられている。ゴールドのチェーンの先には、小さなダイヤモンドが光っている。
「キレイ……」
「俺からのクリスマスプレゼント。前に言ってたでしょ?ネックレス欲しいって」
あ……、前に言ってたこと、覚えててくれてたんだ……。
「ありがとう……」
「それにしても、エロいなぁ……」
「そう?」
「うん。裸にネックレスなんて、エロ過ぎ。あーあ。エロい千夏を見てたら、もう一回したくなってきちゃった」
「何言って……」
「千夏も満更じゃないでしょう?」
瑛太は悪戯っぽく笑うと、私をベッドに押し倒す。
優しいキスから始まるセックスは心地良い。
私は身も心も瑛太に委ねた。
瑛太へのプレゼントは……
酔いと疲労も手伝って、私たちはついまどろみそうになる。
ダメダメ。私、まだ瑛太にプレゼント渡してないんだった……!
私は下着をささっと身につけると、ベッドから抜け出す。
「千夏?」
「お水飲みたくって。瑛太もいる?」
「俺も欲しいー」
私はキッチンに行くと、冷蔵庫の中にあるミネラルウォーターのペットボトルを二本手に取った。寝室に戻る前にリビングに置いた自分のバッグの中から、瑛太へのプレゼントを取り出す。
「はい、お水」
私は瑛太にプレゼントがバレないようにペットボトルを手渡した。
「サンキュー」
瑛太がペットボトルのキャップを外している間に私は彼の真ん前に座った。
「瑛太、目をつぶって」
「目?」
「そう。いいから、早く」
キャップの開いたペットボトルを瑛太の手から取り上げると、私は代わりにプレゼントの小さな包みを瑛太の手のひらの上に置いた。
「いいよ。開けて」
瑛太は手のひらに置かれた包みをまじまじと見る。
「私からのクリスマスプレゼント」
「ありがとう! なんだろう? 開けていい?」
「勿論」
瑛太はびりびりと包みを開ける。包みの中からは箱が現れ、彼はそっとその上蓋を開けた。
「これって……」
「名刺入れ。瑛太が今使ってるの、ボロボロだなって気になってたんだ。ねぇ、開いてみて」
私に促され、瑛太はゆっくりと名刺入れを開けた。
「すごい!名前が入ってる……!」
「オーダーメイドで作ってもらったの」
「本当に!?ありがとう……!絶対に大切にするから」
良かった……。喜んでもらえて。
私はほっとして笑みをこぼす。
コンビニのケーキだし、デートも出来なかったけれど、瑛太とこうして一緒にいられるだけで、幸せなだなぁ……。
「ねぇ、千夏」
「何?」
「大好きだよ」
そう言って、瑛太は私に甘くて優しいキスをした。
来年のクリスマス・イヴも瑛太と一緒にいられますように――。
END
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あらすじ
クリスマスの夜、瑛太の部屋でケーキとワインを楽しんでいた二人は、その後熱いキスを繰り返していた。
ワインの飲み過ぎで、ぼんやりしている千夏に対し、瑛太は更に深いキスをし優しく千夏の胸に触れるのだった。
ソファの近くにあるベッドへ移動した二人は、その後激しく愛し合う。
「あ、そうだ……!」と突然何かを思い出したように、ベッドから離れた瑛太が再びベッドに戻ってきて千夏の首と枕の間に腕を通した。
「ちょっと、何……」と朦朧とする頭の中で反論する千夏に「いいから」と説得させる瑛太だった。
そして瑛太が千夏を半回転させ自分の方に向けさせると…。