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官能小説 「クロス・ラバーズ」…spotB〜月乃編〜・シーズン8
ずっとこうしたかった
哲也の手が月乃の胸に触れた。哲也はそのまま手を動かさなかった。
「月乃の心臓の鼓動が伝わってくる」
鼓動が、哲也の手のぬくもりに包みこまれていくようだった。胸にまだかすかに残っていた不安が、そのあたたかさで溶けていく気がした。
しばらくすると両手を月乃の脇の下から滑りこませ、哲也は月乃を抱いた。
「ずっとこうしたかった。……愛してる」
熱い吐息の混じった声が、首筋に響く。哲也は月乃から少し離れ、もう一度まじまじと見つめた。やっと手に入れた宝物を慈しむような視線。
「私も……好き」
体じゅうを痺れさせるような視線を受けるうちに、月乃の口からも言葉が溢れ出す。
その言葉は、哲也の中の何かを揺さぶった。こらえきれなくなったように、哲也は月乃の肢体へキスを始める。
唇から首筋に下り、鎖骨を経て、やがて胸もとへ至った。哲也はそのふくらみの感触をしばらく味わうと、頂きの小さな蕾にそっと舌先を這わせた。
「あっ……」
ほんのちょっと触れられただけなのに、月乃は体をのけぞらせる。その部分が今の刺激だけでツンと尖ってしまったことが自分でわかった。
自分はこんなに敏感だっただろうか。それとも体がずっと、この瞬間を待ち望んでいたからだろうか。
バイブとローターを使って、ひとりで自分の「女」を取り戻そうとした夜を思い出す。
あのとき、女として愛されたいと願ったことが、今、現実のものになっている。嬉しいだけでなく、何だか不思議でもあった。あの夜が、ずいぶん昔のことのように思える。
ほかのことに気を取られかけていた月乃を優しく罰するように、哲也が指の腹でそっと乳首を撫でる。
「はぁっん!」
甘い電流が胸から体を駆け抜け、月乃は思わず声をあげて哲也にしがみついた。
「敏感だね」
哲也は微笑しながら指を動かし続ける。触れられれば触れられるほど、そこはさらに感じやすくなる。
「あっ……あん……」
月乃はもう、哲也と彼から与えられる愛撫のこと以外、何も考えられなくなった。
どこが気持ちいい?
哲也は月乃が反応した乳房やその周辺をしばらく愛撫していたものの、そこから離れ、別の性感帯を探り当てようとした。その姿は優しさと貪欲さを同時に宿している。
哲也の指先と唇、そして舌が、月乃の体を滑るようになぞっていく。じっくりと時間をかけた愛撫。やっと月乃とひとつになれる喜びが、焦りではなく余裕として、その動作からは滲み出ている。
「どこが気持ちいい?」
尋ねられたが、月乃は喘ぎ声を漏らすばかりでうまく答えられない。
「ごめん……なさい……」
ようよう答えられたのは、それだけだ。
「どうして謝るの?」
月乃の肌から唇を離して、哲也はわずかに怪訝そうな表情をする。いったん愛撫が止まる。月乃はやっとまともに話すことができた。
「だって……哲也さんに触れられると……全部、気持ちよく感じてしまうから……」
言いながら恥ずかしくなったが、本当のことだ。
「その……今まで性感帯だとは思っていなかったところまで、すごく、感じてしまって……」
こんなことを言って淫乱だと思われないか心配な反面、哲也に気持ちを全部伝えたくもあった。
哲也はまた微笑んで、月乃を強く抱きしめた。
その熱情を一身に受けながら、月乃は自分も哲也に何かしてあげたいと思った。幸せなのだと行為で示したい。
そのとき、月乃の体の芯をとろけるような衝撃が襲った。
「ひゃあぁっん!」
哲也の指が、太腿を辿り、割れ目をなぞってクリトリスに触れている。
体が今までよりもいっそう大きくしなる。そこはもともと、性感帯だと自覚していたところだ。
自覚はしていたが、これまでとは比べものにならないほどの快感だった。哲也のじっくりと時間をかけた愛撫は、月乃の体を信じられないほど敏感にしていた。
「は……あぁんっ」
指先でそこをそっとこね回され、月乃は哲也にしがみつく。
この人と一緒なら、どこまでも行ける
「ここが気持ちいいんだね」
哲也の動きが止まる。哲也は体勢を変えようとしていた。
(何を……?)
疑問を覚える間もなく、哲也は脚の間に潜りこみ、指ですっかり感じやすくなっていた小さな芽を舌で突いてきた。
「やっ……あ、こんな格好……」
恥ずかしかったが、哲也は普段では考えられない力強さで脚を押し開いてくる。それにまた感じてしまい、さらに鋭敏になる。
月乃はもはや、哲也に何かしてあげたいなどと思えなくなってしまった。快楽を受け止めるだけで精一杯だ。
哲也の舌づかいは激しく、執拗だった。数分前の穏やかさが嘘のように、月乃から快楽を引きだそうとする。
唇をつけて吸われる。舌でトロトロに包みこまれる。体の中心が開き、中から熱い愛液が滲み出してくるのがわかった。哲也はそれをすべて絡め取ろうとするように、舌を奥深くまで差し入れる。
「あ……んん……あぁ……」
もう声を出すのを我慢できない。今まで出したことのない声だった。
嬉しかった。哲也の愛撫で快感を得られることが。だが、怖くもあった。どんどん感じやすくなっていることが。このままどうなってしまうのかわからないことが。
声を抑えれば自分を保てるだろうか。月乃は手のひらをみずからの口に押し当てる。
「月乃、かわいいよ」
唇を離した哲也が、こちらを見つめる。
「怖がらなくても、恥ずかしがらなくてもいい。もっと声を出してもいいんだ。僕はそんな月乃が見たい。飾らない、何も恐れていない月乃を愛したい」
ふっと体が軽くなった気がした。この人と一緒なら、どこまでも行ける。うぅん、行きたい。
その思いが深く濃くなっていくうちに、月乃は哲也がほしくてたまらなくなった。哲也とひとつになりたい。身も心も混じり合うのではないかというほど、強く結びつきたい。
そんな気持ちを込めて、哲也にじっと視線を注ぐ。
「だめだよ」
哲也の瞳に、悪戯っ子めいた光が揺らいだ。
「月乃が何を考えているのか、何となくわかる。でも、ちょっとだけ意地悪をしたいな」
「いじわる……?」
頬を火照らせたまま、月乃はおうむ返しに尋ねる。
「月乃の口から、僕に何をしてほしいのか聞かせて」
また一歩、近づく
何をしてほしいのか……自分の口から言う?
哲也はいつものもの柔らかな口調はそのままに、月乃にしてみれば無理難題を易々と口にした。
頬ばかりではなく、体全体がかぁっと熱くなっていく。もう、心も体もおかしくなりそうだった。
熱に浮かされたような気分で哲也にしがみつく。
「そんな……そんなこと……恥ずかしくて」
「だめ」
普段とは同じ物腰、同じ口調の柔らかさだからこそ、ぞくっとした。
哲也には意外と頑固なところがある。今までそういったところを直接目にしたわけではないが、接しているうちに何となく感じていた。哲也は月乃が「してほしい」ことを正直に打ち明けない限り、それをしてはくれないだろう。
月乃は心を決めた。哲也にしがみついた手にさらに力を入れる。耳に口を寄せ、息のような小さな声で囁いた。
「……もう、哲也さんがほしいんです」
心臓が破裂してしまいそうだ。だが、言ったことに後悔はなかった。これでまた一歩、哲也に近づけたと思う。
「ありがとう」
哲也が月乃の耳元で囁き返し、ベッドの下からコンドームを取り出して装着した。
脚の間に、哲也の体が割りこんでくる。重みを愛おしがる間もなく、その真ん中にまずは指があてがわれる。そこがまだ十分に濡れていることを確認すると、哲也は屹立したものをあてがった。
「痛かったら言って」
「は……あぁぁぁっ!」
異物が侵入したという違和感があったのは、最初だけだった。
「やっと……ひとつになれた」
奥までつながったところで、哲也はそっと月乃の頬を撫でる。指先から哲也の繊細さが伝わってくる。
哲也はゆっくりと腰を動かし始めた。単に入ったというよりも、「噛み合った」という気がする。何か欠けているものがあって、そこに本来嵌まるべきものがやっと収まった感じだ。
「月乃の気持ちいいところ、ちゃんとかわいがってあげないとね」
哲也は月乃をうつ伏せにさせると、その上にそっと乗る。後背位の体勢で挿入すると、また腰を動かしたが、さっきと違うのは後ろから指先でクリトリスを弄っているところだ。
「あっ、あっ……あんっ……」
奥も外側も愛されて、月乃は思わず自分から腰を動かしてしまう。羞恥心ももちろんあるが、むしろその気持ちのせいでさらに乱れてしまう。いけないと思えば思うほど、快楽を得たいという気持ちも強くなる。
「月乃、キスしよう」
哲也は月乃の体勢をもとの通りの仰向けに戻す。二人は再びつながると、お互いがお互いを貪るようなキスを交わしながら、果てた。
翌朝、同じベッドで目を覚ます。
「おはよう、月乃」
「おはよう……哲也さん」
少し迷ったが、月乃は自分からキスをした。不意打ちを受けて哲也は一瞬面食らっていたようだったが、すぐにそれよりも濃厚なキスを返してきた。

満たされた日々
満たされた日々を過ごしていた。
あの夜から月乃と哲也は、何度となくお互いの家を行き来し、そのうち何度かは体を重ね合った。
幸せだった。だが、事件というのはあるとき突然、何の前ぶれもなく起こるものだ。
竜英が社内試験で英語力を認められ、月乃と同じ副社長主導の海外事業展開業務に抜擢されたのだ。竜英は月乃の英語のレッスンが終わってからも、一人で黙々と英語の勉強に励んでいたらしい。その努力が報われた形だった。
海外に向けての営業をまかされた竜英は、現地の人々と連携をとるにあたって、月乃と何かと行動をともにすることが多くなった。まだ実現はしていないものの、ゆくゆくは二人で海外に出張に行くこともあるだろうとのことだった。
哲也は表向きは平静を装っていた。だが、それがあくまでも表向きでしかないことに月乃は気づいていた。月乃に余計な負担を掛けないでいようと努めて笑顔を保っているが、ときどき、どうしようもなく焦っているような表情をすることがある。
「心配しないで。神崎くんとは仕事以上の付き合いはしないわ。私が本当に好きなのは哲也さんだけよ」
月乃は毅然と伝えた。哲也も疑ってはいないようだったが、しかし、理性と感情は別物なのだ。
そんなとき、哲也が月乃より3歳年下の、ある月刊誌の編集部所属の女性から告白された。
女性は周囲を巻きこんで包囲網を固めようとしたのか、そのことをわざわざ周囲に触れて回った。もっとも月乃は哲也の口から直接そのことを聞いた。「もう断ったから心配しないで」と付け加えられて。
その女性はずっと哲也のことが好きだったらしい。それが、哲也が最近、誰とはわからないが気になっている女性がいるらしいと聞いて行動に出たようだ。気になっている女性というのはもちろん月乃のことだが、付き合いをおおやけにしていないので、周囲からはその程度に見えるようだった。
女性はふられてもめげずにアプローチを続けた。
月乃は不安になった。
(私のほうこそ、哲也さんを信じなきゃ)
とは思うが、月乃は人間の強さよりも弱さを信じてしまう性質(たち)だ。自分と竜英に対して、哲也は悶々とした思いを抱いている。哲也のことを信じてはいるが、そんな状態では、何かちょっとしたきっかけがあれば、本人でさえ思いも寄らずそちらに崩れかかってしまってもおかしくはないのではないか。
やっと結ばれたというのに、何をしてもしっくりいかない気分だった。
(私たち、どうすればいいんだろう。今の私たちに必要なものって何だろう)
月乃は考えた。
あらすじ
月乃は哲也の積極的なアプローチもあり、彼の部屋へ行き二人きりの時間を過ごす…。
「この人と一緒なら、どこまでも行ける」そう深く思うのだった。