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官能小説 恋の花の咲かせ方 5話 (エッチのタイミング)
エッチのタイミング
初デートをしてから数週間が過ぎたが、マユと拓巳の関係には特に進展がなかった。
もどかしさで悶々としていたマユは、思わず親友のあやかに相談していた。
「それは脈ありでしょ。 潤んだ瞳で見つめて『キス…して』とか言っちゃえば? 絶対グッドタイミングはやってくるって!」
マユは、この突拍子もない提案に深いため息をつきながら帰途についた。
次の日、花屋を訪れると珍しく拓巳はいなかった。
アルバイトの女の子に聞くと、風邪をひいて寝込んでいるとのこと。お見舞いに行きたいが、彼女でもないのに…と、躊躇した。
だが、これがあやかの言う「グッドタイミング」なのかもしれないと思い、自分では信じられないくらい大胆に勇気を出して拓巳の家を訪れることにした。
拓巳の家のチャイムを鳴らすと、ボタンをとめきれず、胸があらわにはだけたシャツ姿の拓巳が顔を出した。
拓巳は、驚いた顔のまま何も言わずに…いや言えずにマユを見ている。
突然の告白
「具合、どう?」
マユから話しかけた。
「熱は……下がったよ…」
力なく微笑む拓巳。
マユは拓巳を促し、部屋に入る。
ベッドにこしかけた拓巳のおでこに、マユはそっと手をあてる。
「本当に、もう熱はないの?」
マユがたずねると、拓巳は一瞬びくっとしてから、虚空を眺めるような視線を流したまま、沈黙が時を止めた。
「どうし…」
マユが言い終わるか終わらないかという瞬間、拓巳が視線をマユに戻して、突然手首をつかんで自分の方へ引き寄せた。
拓巳に抱きしめられたマユは、
『タ、タイミング…』
頭の中にこの単語が反復して、次の瞬間、自分の声では聞いたこともないセリフを言っている自分に驚いた。
「好きです」
花になる
「僕も」
マユが自分の声に驚いた以上に彼の声にも驚いた。
シンプルな愛の言葉で通い合った二人は、どちらともなく、そっとキスを交わした。
熱にやられているのかと思ったマユも恋の熱だと自然に信じられた。
「風邪、移っちゃうよ」
拓巳が言うと、
「いいよ。そしたらとっておきの花をお見舞いに持ってきて」
と、マユはいたずらっぽく笑った。
二人は、ベッドへ倒れ込む。唇からお互いの熱を奪い合うように、激しいキスをした。
拓巳に触られていると、マユは花になった、と感じる。
彼の指は、マユの柔らかな胸や隆起した乳首を優しく、そして時には感情に抗えず強く愛撫した。
同時に、片方の手の平でお尻の頬を大きく撫でまわしながら、太ももの間に分け入っていく。
優しく指を間に滑り込ませる拓巳。
マユから「あっ……」という艶めかしい声がもれる。
樹脂が零れ出るように、熱くとろみのある蜜が秘部から流れ出てきた。
ゆっくりとマユの分け目を開き、拓巳はその間に顔を埋める。
溢れ出る泉を舌で絡めとりつつ、膨らみが大きくなった蕾も刺激し続ける。
一枚、一枚、花弁が開いていく幻想をマユは抱いた。
欲しいと思った直後、察してマユの上に体を重ねる拓巳。
マユの蜜壺にすんなりとおさまると、二人は一つになる。
二人は同じリズムで揺れていた。
風に揺れる花のように、私は、拓巳に咲かせてもらう花……
そう思った瞬間、今まで感じたことのない大きな快楽の波が押し寄せる。
そして、ついに容赦なくつき上げる快感にこらえきれず、「ああっ!!」という叫びにも似た声をあげる。
マユは満開の花のごとく、拓巳の腕の中で咲いた。
その大輪の花を幸せそうに両手で抱きながら、拓巳もまた絶頂へと一気に到達した。
眠りに落ちた二人の周りには、拓巳が生けたたくさんの花々が、祝福するように静かに揺れていた。
<恋の花の咲かせ方 〜おわり〜>