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官能小説 揺れる明るみ〜癒し〜 5話


向かい合わせに波打って…

「入りたい」と訴えるように歩み入って来る彼自身。
そして、「入ってきて」と懇願するように吸い込み、締め付ける私自身。
「はぅ…」とも「ふぅ…」とも「あぁぁ・・」とも聞こえるふたりの声は、腰の動きが大きくなるほどに、ピッタリと重なっていった。

泉の壁にジンジンと深く響く快感に悶えながら、つながっている部分からなかなか目が離せなかったけれど、私は雄一へと顔を上げた。
彼の目は、半分苦しそうで、半分微笑んでいた。
「葵…、大好き…」と、甘い吐息の間に囁いてくれる。

「私も、大好き」

迷わず言葉が出た。

もう、大丈夫…

彼は、私の髪をなでて、もう一度、私を横たえた。
右の肩を下にして寝かせると、私の脚の間に入り込んで、また、踏み入ってくる。

「んんんはぁぁぁぁ…」

正常位とも座位とも違う部分が、甘くこすられる。
でもその部分は、快感を飲み込む準備がすっかりできていて、待っていたかのように、悦んでいる。
私は、陸に上がった魚のように、全身で跳ねてもがいた。
彼は、なだめるように私を押さえて、優しく撫でる。
そして、私のコンプレックスである小さな胸とくびれのないウエストに触れると、「もう大丈夫だね」と、これまでに聞いたことがないほど優しい声で、囁いた。

私は、返事の言葉が出ない。
ただ、うんうんと頷きながら、なんとか首を持ち上げて彼へと目を向けた。
激しく動くカラダと、それに呼応して荒くなっていく息を証明するように、キャンドルの火の揺れが、大きくなっている。
ユラユラと柔らかく照らされる彼の表情は、声以上に優しかった。

傷を撫でぬぐってくれる指

それから彼は、私を四つん這いにしたり、腹這いにしたり、自分が仰向けになったり…。
いろいろな角度から私の中に入って来た。
そのたびに、私の胸とウエストを丁寧に撫でてくれる。
私は、あんなに恥ずかしくて、時に憎たらしくなった自分の一部が、ひと撫でされるごとに、敏感になっていくのを感じていた。

「きもちい…」

私は、彼の上でゆっくりと腰をグラインドさせて、胸を撫でてくれる彼の手に自分の手を重ねた。

「ここ?」

と、彼はイタズラな目で両方の胸の先端を軽くつつく。

「ちょっと!意地悪っ…」

笑って返したけれど、胸の先から光の速さでほとばしる、七色の快感の線に、腰を立てているのが精いっぱいだった。

香りごと、抱きしめて…

雄一は、上体を起こして、再び私を仰向けにした。
私の脚を広げて、もう一度泉の中に収まってくる。
そして、胸をぴったりと重ねてから、「今日ね、葵、香りもいつもと違う気がする」と、鼻から大きく息を吸った。

「あ、うん…」

と、私はベッドサイドのチェストに目をやる。
雄一は、チェストのライトの影に隠れるように置かれている香水を見つけた。

「リビドー?」

彼は瓶の文字を読むと、「葵も、準備してくれてたんだね。グロスとか、これとか」とにっこりと笑って、思い切り私を抱きしめた。
少しの息苦しさと、その何倍もの幸せを感じながら、私は、中心の泉で、ギューッと抱きしめ返した。

⇒【NEXT】「はぁぁっっん…とキャンドルの光の中に響かせて…」(揺れる明るみ〜癒し〜 最終話)

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あらすじ

何度か体位を変えた後、変化する体位の中で、葵は興奮を覚える。
正常位とも座位とも違う部分がこすられ、オーガズムへと向かっていく…

はづき
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肌の細胞すべてに、体の動きすべてに、心が宿る。 心が…
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