女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 秘密の氷が溶ける音 2話
もうひとつの告白
29歳で処女であることを、混乱の勢いで洋平に告白してしまった自宅の玄関先。張りつめた空気に、目を閉じてしまっていた。
「そうなんだ…」
小さく答えた洋平の声には、戸惑いが織り込まれている。 私の心の奥にある、処女という秘密を覆う氷が、また少し厚くなったかもしれない。
「ごめんね。どうしてそんな話するの?って感じでしょ。…帰らなきゃ、だよね」
玄関のノブにかけた私の手に、洋平の手が重なる。
「嬉しいよ」
さっきと同じだけ小さいけれど、さっきとは明らかに違う強さも含む彼の声。 もしかして洋平は、処女が好きなの?処女信仰が強くて、処女にこそ価値があると思っているの?
「夕子さん」
彼は私の手を握り、正面に立つ。 視線を向けられているのに気づいても、私は、顔を上げられない。
「あのね、これまでの経験がどんなものでも、いいんだ。ただ、話してくれたことが、嬉しいな」
うつむいたままの私から視線を外さない彼。私は、ゆっくりと彼に向いた。
「ありがとう、夕子さん」
声も表情も、果てしなく柔らかくて温かな彼が、そこにいた。 想像もしなかった言葉に、私は、声も涙も出ず、ただ、視線を返していた。
「抱きしめて、いいかな?」
彼は握る手に力をこめた。 その手を握り返しながら、頷いた。少し、震えながら…。
「夕子さん、好きだよ。最初に会ったときから、ずっと。付き合ってくれませんか?」
すっぽりと洋平の腕の中に納まると、ついさっきまで、失恋を覚悟していた私の耳に、それとは真逆の言葉が響く。
「…私で、いいの?」
それは、心からの疑問だった。 彼が私に好意を抱いてくれているかもしれないと、なんとなく感じていた。 けれど、処女だと知れば、その好意は消えてしまうと思い込んでいた。 その思い込みは、実際に処女だと知った彼の反応をみても消えないほどに、強かったのかもしれない。
「夕子さんを好きなんだよ。夕子さんと、付き合いたいんだ」
そう言って視線を強く結ぶ彼に、今度は私が「ありがとう」と返した。
「ねぇ、さっき泣いてたし…。このまま、ひとりにして帰りたくないな…」
少し思い切ったような声からも、彼の優しさがにじんでくる。
「うん、もっと一緒にいたい」
前回電車で別れたときも、今夜玄関の前まで送ってもらったときにも言えなかった言葉が、スルリと出てくる。
しばらくリビングで過ごしてから、一緒にベッドに入る。
「おいで」
腕枕を促してくれる彼を前に、安堵の幸福感と極度の緊張という両極端な感情が同時に湧きあがる。 ベッドの上で改めて私を抱きしめて、「大丈夫?」と背中をさすりながら、ゆっくりと私を横たえ、彼も横になった。
「嬉しいな、夕子さんと、こんなふうにできて」
ギュッと抱きしめてくれる彼に、私は、体の力が徐々に抜けていった。
「うん。私も…」
「そうなんだ!もっと嬉しい!」
洋平の声が、初めて年下らしく聞こえたかもしれない。
「私ね…処女だって言ったけど…。まだ学生の頃、彼氏がいたの。でも、いざってときに、うまくいかなくて…。それでそのときに彼が、舌打ちしたように聞こえて…。勘違いかもしれないけど…。それから、怖くなっちゃって。それで、仲良くなった人がいても、すぐにぎこちなくなっちゃって…」
親友の、たったひとりにしか打ち明けていないトラウマを、目の前にある洋平の胸に向けて話した。髪や背中を撫でながら、彼はときどき「うん」と頷いて聞いている。
「つらかったね…」
強く私を抱きしめて、洋平は髪に口づけた。
「僕も、夕子さんを苦しめちゃったな…ごめん」
さらに強く抱きしめる彼の腕の中で、私は、思い切り首を横に振る。
「夕子さん」
呼びかける洋平に目を向けると、ゆっくりと、唇が近づいてくる。 重なった唇は、彼の言葉と同じに温かく、柔らかく、そしてさらに深い安堵へと私を連れて行ってくれた。
その後、彼は、「今夜はずっと離れないから」と宣言したとおりに、ずっと腕枕で寝てくれた。 ときどき目が覚めると、これまでに経験のないような幸福感が全身に染み渡る。 これから彼をがっかりさせないだろうかという不安も、正直、胸を刺す。 それでも、心の奥にある秘密の氷が溶ける小さな小さな音も、確かに胸の奥に響いていた。
恋人からの誘い
≪ねぇ、今夜、また会えないかな?≫
一晩中腕枕をしてくれた翌朝、洋平と私は、それぞれに仕事に向かった。 洋平からの連絡があったのは、フワフワとした気分で過ごしていた昼休みが終わりかけたときだ。
≪うん!会いたい≫
すぐに返事をして、仕事に戻る。
普段の洋平ならもう3杯はワインを飲んでいる頃に、まだ1杯目が半分も残っている。何か気に障ることをしただろうかと、食事をしながら、つい考えてしまう。
「あのね、夕子さん」
少し緊張気味な彼の声に反応するように、私は姿勢を整えた。
「僕と…、僕と結婚を前提に付き合ってくれませんか?」
私の口は、何かを言おうとして少し開いたかもしれない。けれど、何も声が出なかった。
「やっぱり、…早すぎたかな?」
無意識に首を横に振っている自分に気付きながらも、やはり、すぐには言葉が出ない。
「そう…じゃなくて…」
自分の声が震えていることに、驚いた。
「まだ、お互いに知らない部分が多いっていうか…」
その言葉の真意は、(処女だから、すぐ飽きられてしまうんじゃないか…)だ。洋平が私のことを知らなすぎるのだ。腕枕をしてもらうだけなら大丈夫だけれど、それ以上進んだら、彼をがっかりさせてしまうかも…。
「何を知っても、もっと好きになる自信がある」
私の頭の中を駆け巡るネガティブをかき消すように結ばれる洋平の視線に、思考が止まってしまった。
「すごく、その自信があるんだ。だから、指輪も何もないけど、すぐに伝えたいって。もっといろいろ準備して言うべきかもしれないけど。とにかく、今伝えなきゃって…」
強い視線も声も、少しもたゆまなかった。
「だめ…かな?」
その言葉だけが、少し、語気を弱めたような気がする。反射的に、私は、また首を横に振っていた。
「いいの?」
声に力と明るさを戻した洋平の瞳が、キラリと光って見える。
「私で…いいの?」
「よろしくお願いします」
照れ笑いを浮かべて頭を下げる彼に、私も同じ言葉を返していた。
昨日と同じベッドの上で、昨日と同じように洋平と横になる。 そして昨日よりも、さらに深い安堵感に包まれる。
「全部引き受けたいって言ったら、おこがましいんだけど、全部受け止めたいって思ったんだ。 夕子さんの全部を、自分の全身全霊で、ちゃんと受け止めて、愛したい。守りたい。昨日、夕子さんの話を聞いたとき、そう思った。 それで、夜中に時々目が覚めたり、今日仕事してたり、一緒に食事したり… そうしているうちに、どんどんその気持ちが大きくなった」
何度も何度も唇を重ね、私の唇に舌を這わせながら、 洋平は 「信じてくれる?」 と、少し顔を離した。
「信じたい」
「あ、夕子さん、信じてない!」
「違うよ!ただ、私…、洋平くんをがっかりさせちゃうかもしれないから…」
一瞬、空気が凍ったかもしれない。
「ほら!そう考えちゃうんだよ、夕子さんは」
まっすぐに私の目を見て、彼は 「何もがっかりしないよ。何も気にしないで。俺と知り合う前の夕子さんだって、全部好きだし。これからの夕子さんは、もっと好きだし。その自信があるから、結婚したいんだよ」 と続けた。
彼が、自分を俺と呼ぶのを、初めて聞いたと思う。 黙って頷きながら、私は、彼に唇を寄せる。 彼の舌が、ゆっくりと私の唇を上下に割る。 そのまま口の中に入ってくると、私の緊張は一気に高まった。
「大丈夫?嫌じゃない?」
彼の言葉に、不思議なほど緊張の糸が緩む。
「大丈夫。ありがとう」
そう返すと、私は、無意識に、自分から唇を寄せ返していた。 絡まる舌の温もりは、私の心の奥にはびこっている厚い厚い氷を溶かすように口から全身へと広がる。顔から首、肩を撫でると、ワンピースの上から、洋平は私の背中、腰、お尻へと、ゆっくりと手を伸ばした。 太ももに触れる彼の手が、ワンピースの裾から忍び、ウエストから胸へと伸びる。
「あぁ…」
瞬間、息が漏れて、すぐに息を飲むように吸い込む。
「大丈夫?怖くなったら、すぐにやめるからね」
大きな手で私の胸を包んだまま、彼は目を合わせた。
「ありがとう。大丈夫…。ただ、ちょっと緊張して…」
「可愛い…夕子さん」
もう一方の手で、ワンピースをたくし上げる彼に、私も、体の動きを合わせてしまう。
溶かされる氷、不思議なうず
「俺のも、脱がせて」
ブランケットの中で私の上に四つん這いになってワンピースを脱がせながら、洋平は耳元で囁いた。
緊張で返事もできない私を、笑って脱がせ合いに持ち込んだのは、彼の思いやりなのだろう。
「触れて…」
まずは自分が裸になると、彼は、私の手をとって自分の胸に当てて「俺も、すっごい緊張してる」とクスッと笑った。
その笑い声に、ふと心の糸が緩む。
「洋平くんは、緊張しないでよ」
思わず、普段どおりの会話のように笑みを返していた。
「嬉しいな、夕子さん、笑ってくれて」
優しく私の頬を撫でると、彼は再びワンピースの裾に手を伸ばし、ゆっくりと脱がせた。
「恥ずかしい…」
胸を腕で隠して、横向きになった。 洋平は、私の後ろに回ると、肩に舌を這わせる。 柔らかく背中を撫でながら、それよりももっと優しい温度で肩を舐めて、「美味しい」と彼は息を吐いた。
その息の一粒一粒が、肩に触れる舌の温かさが、私の心の奥の氷を、また少し溶かしていく。
「平気?」と耳に息と声を注ぎ込む彼に小さく頷くと、彼の手が、背中から胸に伸びた。
心臓の鼓動が伝わってしまうのではないか…。そんな心配をしていると、彼の指先が私の乳首に触れた。
一瞬、ビクンとなる私に、「柔らかくて、すっごくきもちい、夕子さんのおっぱい」と耳を舐める洋平。 その声と胸をウズウズさせる初めての感覚に、無意識に「あぁ…」と声がもれる。
「舐めさせて」
私を仰向けにすると、洋平は私の胸に顔を埋めた。
「はぁぁ…」
彼の頭で隠れた自分の胸元に目を向けながら、自分の口から吐き出される息に、これまでの人生では経験したことのないしっとりとした温もりを感じていた。
無意識のうちに、彼の背中を撫でている。
(この年齢まで処女で過ごしてきても、こんなに自然に体が動くものなの…) 胸に馴染んでいく彼の舌が、次第に心地よさを増していく。
チュルチュルと音がすると、チラッと彼の口元が唾液で光るのが見えて、それがウズウズした感覚をいっそう強くした。
「美味しい…」
上目遣いに私を見ながら、ジュッと唾液を吸い上げ、洋平は胸に頬をつけた。
「夕子さんの鼓動、さっきより柔かい」
嬉しそうに微笑んで心臓に耳を当てたまま、彼は私の太ももへと手を伸ばす。
思わず、閉じていた脚をさらに強く閉じてしまう。
「初めてだって話してくれて、本当にありがとう。処女がいいとか、経験があったほうがいいとか。そういうことは、俺は考えないよ。好きになっちゃえば、夕子さんのこれまでの人生も含めて、全部好きなんだから」
硬直しているような私の脚を撫でながら、彼はゆっくりと、でもはっきりとした声でそう言った。
「ありがとう…。でも、この年齢で処女なんて…。やっぱり、ちょっと重くない?」
それは、私の正直な気持ちだった。
「どうして?」と目を合わせて「付き合い始めて、次の日に結婚を言い出す俺って、重い?」太ももを撫で続けながら、質問に質問を返す彼に、私は、首を横に振った。
「ありがとう。ね。そういうことだよ、夕子さん。俺も、同じだよ。ちっとも重くない。ただ、大好きな夕子さんがここにいて、そこに俺も一緒にいられて。それで嬉しい。それだけだよ」
「うん」
自然に頬が緩んで、私は、キスをせがむように唇を近づけた。
さっきよりも激しく、洋平の舌は私の口の中をまさぐる。 太ももを撫でている手も、少しずつ両脚の真ん中へと伸び、器用に私のショーツに手をかけて脱がせる。
「恥ずかしい…」
舌の合間から言葉にすると、彼は、ついさっきまでショーツが隠していた部分を手の平全体で包み込んだ。
「大好きだよ、夕子さん」
少し、彼の息が荒くなってきているかもしれない。 それを感じると、なぜか、私の中から羞恥心がこぼれ落ちていく。
「私も…」
自分でも驚くような熱い息を吐いて、私は、彼の唇をふさいだ。 片方の手で胸を包み、乳首を転がし。もう一方の手で私のコンプレックスの塊を包み込む。 彼のすべてから発せられる優しい感触に、私は、溺れるように舌を絡めた。
「こっちも、舐めていい?」
太ももの間にある手に少し力を込めて、彼は尋ねる。 でもその言葉は、半分は質問でありながら、半分は意志のように聞こえた。
あらすじ
処女であることを勢いで洋平に告白してしまった夕子。
それでも引くことなく「好き」の気持ちを伝えてくれる洋平に、夕子は安堵と緊張を抱えながら、ベッドの上で優しく抱きしめてくれる彼に、ゆっくり向き合っていく…