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官能小説【4話】あなたのすべてが性癖なのです。


同期が望んだ言葉

★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブグッズで熱く感じる小説コンテスト」のLC賞作品です。

私、何でこんな高級ホテルで、新たな扉を開こうとしているんだろう。
いや、扉というか今まさに外崎の手によって身体の一部を開かれようとしているんだけどね。

まずはキスから始まって、全身を確かめるように口と手でありとあらゆるところを触れられた。

外崎の唇、柔らかかったなぁ。
舌も熱くて手も大きい。ちゃんと手入れしているのか手のひらも滑らかだった。指先も器用で繊細な動きで私を翻弄し、そして私も結構喘いでしまった。
だって滅茶苦茶気持ちいんだもん。
真面目なだけあってそういうところも突き詰めて研究とかしたのかなぁって邪推してしまう。

ローションを手に取ってそれを温めた外崎は、私の耳元で『挿れるぞ』と囁く。
私とは言えばもう外崎の手によって身体も頭もトロトロに蕩けさせられて、うつ伏せになって腰だけを上げている状態だ。外崎にお尻を向けているとても恥ずかしい恰好をしているけれど、それすらも構えないほどに私の思考は真っ白になっていた。
その格好はさながら猫。もう尻尾を挿れれば完璧に私は猫になる。

「…………やさしくしてよぉ…………外崎ぃ」
「ああ、もちろんだ」

泣きべそをかきながら私は外崎に懇願する。

だってお尻の穴なんて怖い。
未知の領域だし、下手すれば切れてしまう可能性だってある。出すところであって決して入れるところではないそこは、デリケートなのだと知っている。
外崎の几帳面さを信用しているが、それでも不安なものは不安だ。

生暖かいぬめっとしたものが私のお尻に触れて、あぁ、いよいよかと処刑される気持ちでそれを受け入れた。
穴の周りをマッサージするように指の腹でクニクニと擦りつけられて、ゾワゾワとしたものが私の腰に広がる。

「……ふっ……ンぁ……」

決して気持ちいわけではない。でもくすぐったいのとはまた違った感覚。
それに耐えながら、私はひたすら外崎の丁寧な指先に耐えた。

結構長い間マッサージを繰り返され、何となくそれに気持ちよさを感じ始めた頃、ようやく外崎の指は中に潜り込んだ。ローションを追加しぬめりをよくしてゆっくりと差し入れられる……おそらく人差し指と思われるものは浅いところで止まり、穴を押し広げるように円を描いた。

…………うぅ。拡張されている。

その指の動きが明らかに私のお尻の穴を大きくするような動きで、あのアナルプラグを挿れられるようにしているんだ。
あれを挿れられるようになるにはどのくらい拡張しなきゃいけないんだろう?
そんなに大きくはないけれど、私の穴の入り口はきっと狭い。そんな奥まで広げる必要もなさそうだけれども、ある程度には指を奥まで差し込む必要がある。

「…………あっ!はぁっンっ!」

そんなことを考えていると、外崎の指がまた奥に入り込んできた。そして進むとその場で拡張し、また少し奥に進み拡張。その動きを繰り返して私のお尻を開発していった。
大胆に抽送できるまで解れると、すでに飲み込まれている人差し指に添えるようにもう一本指が入ってくる。一本目より太いそれは中指だろうか。同じように丁寧に指二本を飲み込めるように解すと、気が付けば私のお尻の穴は大の大人の指を二本もずっぽりと咥えこんでいた。

「…………羽和子、凄いな。随分と広がってきた」
「おめでとう……外崎」

そんな嬉しそうな声で凄いと言われても、私はあんたの指の違和感に耐えるので必死でそれどころじゃない。

「これくらい広がったのなら、そろそろいけるんじゃないか?これは初心者向けだからそこまでしっかり解さなくても大丈夫なようだ」
「…………そこら辺の判断はお任せします」

その割には随分と丁寧に時間をかけていたから大丈夫なんじゃないの?私は研究を重ねた外崎と違って丸っきり初心者だからね、すべてこの身をお任せしますよ。

と言うか、もうその尻尾を挿れてしまってよ……外崎……。
このままお尻を弄られ続けるくらいならば、尻尾を一思いにつけられた方がまだマシだ。

もうここまで振り切れた私は、顔を上げて外崎の方へと肩越しに振り返った。

「もう……挿れてよ……外崎」

そこまですれば十分でしょう?
彼に恥じらいながら言うと、何故か外崎は天を仰いだ。

「…………ありがとう、羽和子。俺がずっとお前に言ってほしかった言葉第五位をここで…………ありがとう」

何故か滅茶苦茶感謝された私は『おめでとう』と返すしかなかった。
外崎、プレイだけじゃなくて、言葉までリストした上にランキングまでつけていたんだね。

何だろうなぁ……別に幻滅するとかじゃないけれど、外崎の私の中のイメージが今日一日で随分と変わったような気がする。気がするんじゃなくて、確実に変わった。

「じゃあ、挿れるぞ」

弾んだ声で尻尾を手に取った外崎は、プラグ部分にまたローションを塗りたくって私のお尻の穴に押し当てた。

「……あぁ……はいって……ぅぁっ……あっ!あぁっンっ!」

先端が細いプラグは徐々に太くなっていって、徐々に私に圧迫感を与えてくる。
ある程度まで挿いると、残りはお尻の穴に吸い込まれるようにクプンっと飲み込まれた。

…………はい……ちゃったぁ。

私は朧げな頭で下半身に感じる違和感だけを拾い取っていた。

「あぁ、羽和子。何て可愛い猫なんだ……」

外崎の恍惚とした声が聞こえてくる。
猫耳を親指で撫で、人差し指で外耳をなぞり、そこからうなじに流れて背中に。窪みを追うように尾てい骨まで運ばれた指は、くるりと尻尾の根元を円を描くようになぞっていった。

同期が望んだ言葉をもう一度

ゾクゾクする。
お尻の穴を散々弄られた影響か、身体が過敏になって少しの刺激でもそれらを快楽に変えてしまっていた。
まるで全身が性感帯になってしまったかのように、私の身体は外崎の指に翻弄されてはあられもない声を上げた。

外崎はそんな私の身体を返し、仰向けにしてしまう。今、外崎の顔を真正面から見てしまったら絶対にヤバいのに彼は容赦なく私と向き合い、また無遠慮にこの猫の姿を見つめた。

「……可愛い……可愛い。本物の猫より可愛い。この世の何よりも可愛くて……何ていやらしい猫なんだ。お前が俺だけのためにこんな格好をしているのだと思ったら……興奮する」

私の猫姿からひと時も目を離さずに見つめ続ける外崎の息が、だんだんと荒くなってきた。その言葉の通り興奮は最高潮になっているようで、頬が紅潮して瞬き一つしない。はぁはぁ、と息を吐く様は危ない人。

私は少し怯えて身体を縮ませて身じろぎすると、外崎はその怯えた顔すらも愛おしいとでも言うように私の頬にキスをした。
ちゅ、ちゅ、といろんなところにキスをして、唇には深いキスを。恐怖を宥めるように優しく、情熱的に。 私もそれに懸命に応えた。

官能小説挿絵:ベッドの上で情熱的に愛しあう男女

「なぁ……羽和子……俺のも、挿れていいか?」

私の唇を啄みながら聞いてくる。
今さら何の許可を取っているんだか。もうここまできたら、勝手に挿れればいいのに。
こんなに蕩けてしまっているのだから。

もうここまで前戯を尽くされ愛撫を施されて私のあそこだってヒクヒクと震えるほどにそれを期待しているし、また一方でお尻の感触を忘れさせてほしくて仕方がない。わけが分からなくなるまで激しく奪ってほしいのだと、私は外崎を求めて小さく頷いた。

「じゃあ、羽和子、もう一回言って?あの言葉をもう一回俺に聞かせてくれ」

あの言葉って……あの第五位の言葉?
改めて言葉待ちされると恥ずかしい私はむむっと口を尖らせたが、目元を手で隠して口を開く。

「…………い、挿れて…………外崎」

あぁ〜だからその笑顔ー……。
そんなに嬉しそうな顔をされてしまうと、私の女心が突かれてヤバいんだって。もう可愛いなぁ、そんなに喜んでいるなら次も言ってあげてもいいかなぁって思っちゃうからダメなんだって。
私はまた別の意味で悶絶した。

外崎は羽織っていたバスローブを脱ぎ、急くように口でコンドームの袋の封を開く。
うわっ……悔しいほどに様になる。
と、魅せられてしまうことほんの一瞬。
私は、外崎が己自身のものに被せているそのゴムを見て、『ひぇ』と悲鳴を上げた。

「なにそのエグいゴムは……!」

何故……何故そのゴムをわざわざ選んだ外崎よ!
いや、もしかすると彼なりのまたこだわりがあるのかもしれないけれど、でもそこくらいはノーマルでいようよ、外崎!
私は声にならない叫びを心の中で叫んだ。

透明な色のそのゴムには、いたるところにイボがついていた。いわゆるイボ付きゴムだ。
しかもそのイボが結構な立体感があるイボで、見るからにエグい。なかなか立派な外崎のものに装着されてしまうと、見た目は凶器に近かった。

「知っているか?猫の雄の陰茎には棘がついているんだ。それで射精後膣から抜くときに痛みを与えて雌の排卵を促すんだが、さすがに俺のものに棘を生やすわけにはいかなくてな。羽和子を傷つけたくはないし。だから、形だけでもと思ってこのゴムを選んだ」

あぁ……外崎、外崎。ありがとう、そこは思いとどまってくれて。
もしそこに棘が生えていたら、私は絶対に今この格好のままでもいいからこの部屋から飛び出していた。よかったよ、まだイボで。

猫のように鳴いて…

ここでようやく見せてくれた彼の妥協というものに安堵して、私は彼の営業スキルに取り込まれていることに気が付いていなかった。
最初に顧客に高価なものを提示して難色をしめさせての、次のプランでハードルを下げさせるというこのテクニック。自分も使う手のためにその有用性は知っていた。
やっぱり最初にプランがどぎついと、それよりはって思っちゃうんだよなぁ。上手いなぁ。

「猫は人間よりも着床率が高いのは、交尾のたびに刺激で排卵するからだ。こうやって挿れて中に出してしまえば、子供が生まれる可能性が高い」
「…………はぁ……んっ!」

私の足を脇に抱えて腰を浮かせた外崎は、私の顔を見つめながら挿入していく。
イボイボのそれを挿れられてしまった私は、今までに感じたことのない中の抵抗感を感じながら首を反らしながら受け入れた。

――――あ……大きくて……凄い。

痛みはもちろんないものの、処女のように圧迫感に呻く。
イボイボのせいなのかそれとも外崎のものが大きいからなのか分からないけれど、奥まで入り込んでくる外崎になかなか慣れずにいた。
ようやく彼の腰が私の腰に密着できるまでに中に挿いると、外崎は『はぁ』と熱い吐息を吐く。

「ちなみにお前に言ってほしい言葉の第三位は『外崎の子どもが欲しい』だ。もし俺らが猫なら、このままその言葉が現実のものになっていたかもな」
「……バカ……あぁっ!……あぅ……ンんっ」

外崎の腰が動いて、私はそれに腰をびくりと震わせた。
中をイボで擦られ刺激を受け続ける私のそこは、ぐちょぐちょに濡れていた。外崎が動くたびに卑猥な水音が私の耳に聞こえてくる。自分がどれほど感じてしまっているのかをまざまざと思い知らされているような気分になった。

「…………羽和子…………そんなに締め付けるな」

外崎が掠れた声で私に言う。
私だってわざとそうしているわけじゃない。勝手に私の身体が反応して感じてしまい、外崎を求めて中を狭くしてしまうのだ。
意識的に緩めることなんてできないし、そんな余裕もないほどに激しく揺さぶられている。というか、外崎のものが大きいのが半分くらい原因なんじゃないの?だってこんなに奥まで入られたこと、今までなかった。

「……ひぁっ……あっ……あぁ……っ」

上から腰を打ち付けられて、最奥まで穿たれると少し焦らすようにグリグリとその先端で円を描くように抉られる。それが気持ちよくて喘ぐと、今まで私を虐めていたそれが中から抜かれてしまい、突然喪失感を味わった。
まだ……もっと。
欲張るように疼く私のあそこはヒクリと震える。多分、顔も残念そうな物足りなさそうなものになっているはずだ。

そんな私の姿をを見て外崎は小さく笑い、私の身体をひっくり返した。
さきほどのように四つん這いになってお尻を上げるような格好だ。

「猫と言えば……こっちだろう?」
「……ふぁっ、あンっ!」

ズンと後ろから一気に挿いってきた外崎は、容赦なく最奥まで貫く。
そしてシーツにしがみつく私の顔の両側に手を突いて覆いかぶさってきた。

「あと、猫は雌が逃げられないようにうなじに噛み付きながら交尾する」
「……私は……逃げてないじゃん」
「あぁ、そうだな。お前が俺を受け入れてくれたことに、今この上ない幸せを感じている」

外崎はそう言うと、猫のようにうなじを噛むのではなく、唇で吸い付いてきた。
腰を動かしながら舌で舐めて唇で食み、そしてキスマークを付けるようにきつく吸い上げる。
私はうなじを責められるという新たな快楽に溺れ、ただただ喘ぎ声をあげた。閉じる暇もなく喘がされた口からははしたなく涎が零れ、シーツを汚す。

「羽和子……『にゃあ』って鳴いてみて」

猫のように。
外崎が希う。

私は首を横に振ってそれを拒絶するが、『羽和子、お願いだ』となおも食い下がる。
『にゃあ』とか無理……そんな恥ずかしいこと、無理。
頑なに首を振る私に、外崎は卑怯にも攻め手を増やしてきた。

真っ白なシースルーのネグリジェの上から私の乳首を摘まみ上げて、指で押し潰してきたのだ。
ジンジンと鈍い痛みを感じたと思ったら次に指で扱かれる。弾かれて先を指の腹で擦られてあらゆる攻め方をされて。私は頭の中が吹っ飛びそうなほどの快感に身体をよがらせてしまう。

気持ちいい……もうこんなのおかしくなりそう……気持ちよすぎる。

揺さぶられ胸を揉みしだかれてうなじを舐められ、そして喘ぐ私。
思考は朦朧とし、今与えられている快楽しか考えられないほどに狂わされる。

そんな私の耳元で、外崎が再度囁く。

「羽和子、『にゃあ』って……言って」

腰に響くようなエロい低音ボイスが私を追い詰める。
抗う気持ちを突き崩すように私を追い上げた外崎の声に導かれるように、私は小さく口を開いた。

「…………ぁ………………にゃ……ぁ」

本当に小さく掠れた声だったけれど、彼には十分だったようだ。

「最っ高」

感情を昂らせてそう言う外崎は、律動を速めた。
私ももう高みがすぐそこまでやってきているのを感じて、ただその先にある絶頂を追い求める。

あぁ……もう……イっちゃう……イっちゃう……。

それしか考えられずに外崎の腰の動きに合わせて、いやらしくお尻を振った。

「……とのさきぃ……もぅ……イっちゃう……わたし……イちゃう……」
「俺も……イく……羽和子……イくっ」
「あぁっ!あっ、ひぁンっ……あ……あぁっ!」

もう、無理。
こんなの耐えられない。
感じるなって方が無理だし、腰がビクビクと震えるのも止まらない。
ゾクゾクと腰から快楽が駆け抜けて、私の頭をよがり狂わせて。

あっという間に私の中で弾けた。

「…………ダメ…………あぁっ……あぁぁー!!」
「…………っく」

かなり深い絶頂だったと思う。
カクカクと動く腰は外崎のものを絞り上げて、私にまたそれを刺激として伝えてくる。外崎もすべてを吐き出すように小刻みに腰を打ち付けては、気持ちよさそうな吐息を零す。
私は絶頂の余韻を全身で感じながら、身体の力を抜いた。

五年間の片思いの分だけ激しく抱かれて

めちゃくちゃ感じてしまった……この倒錯的なセックスで。

それが驚きなような悔しいような、新たな扉を開いた妙な悦びを感じているような。
よく訳の分からない複雑な感情が私を取り巻く。

外崎は私の耳にキスをして、クスリと笑う。

「一応言っておくと、お前に言われたい言葉第一位は『大好き』だ。お前がいつか俺にそう言ってくれる日がくるのを、ずっと願っていた。これからも願っている」

ずるいなぁ。
そんな健気なことを言ってくるだなんて。
あの外崎が、自信家でいつも強気な外崎が私にそんなことを言うだなんて、ギャップがありまくりじゃないか。この胸がキュンキュンしてしまうじゃないか。

こんな変態じみたセックスを恋人になったらすることになるのには躊躇いがあるし、正直どこまで受け入れられるか分からないのに、私のこの心は不用意に高鳴ってしまっている。
普通にセックスして、普通に素っ裸で抱き合うってこともしたいのに。それが一番だと思っていたのに。
けれど、私への想いをここまで募らせて拗らせてしまっているのだと思ったら、それだけでグッとくるものがあった。

「ねぇ……次はさ、コスプレとかなしで……やろ」

私がそうお願いすると、二回目は普通にセックスをしてくれた。

ただ、かなり激しかったけれど。
五年片思いした分のすべてをぶつけるかのような激しさで抱かれてしまい、私は外崎にしがみつきながら啼いた。

今は外崎のすべてを感じていたくて、余計なことを考えたくなくて。
私は彼の激しさに身を任せたのだ。

⇒【NEXT】9/25公開予定!でもそれを補って余りあるほどに、外崎と一緒にいる楽しさや喜びを私はもう知ってしまっていた。(あなたのすべてが性癖なのです。 最終話)

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あらすじ

彼に懇願され、今まさに新しい扉を開こうとしていた。お尻を使う、なんてもちろん初めての経験。不安に押しつぶされそうな中、彼のキスや手に感じ、そして…。

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TLを中心にじれったくて甘い恋愛小説を書いております。…
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