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官能小説【最終話】あなたのすべてが性癖なのです。
特殊な性癖は…
★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブグッズで熱く感じる小説コンテスト」のLC賞作品です。
「いやらしいんだぁ。イヤホンでそんなものを聞きながら出社するとか
ニヤニヤとした顔でこちらを見る森村を、外崎は見下ろす。
「よく分かったな」
「私、耳いいですもん。イヤホン外すときちょっと聞こえてきちゃった。まぁ、樫原さんは気付いていないみたいですけど。むしろ、録音されていたことも気付いていないんじゃないですか?」
外崎は答えず、ただニヤリと笑うだけにとどめた。
「悪い顔してるなぁ。いい趣味だとは思いますけど」
「誉め言葉だと受け取っておくよ」
森村とは趣味が合う。
外崎自体は森村にどんなプレイをするとかは話はしないが、森村は開けっ広げだ。加えて鼻が利くので同志はすぐに分かるらしい。
「樫原さん、外崎さんの趣味を聞いて引いていませんでした?」
「引いていたよ。でも、最後には受け入れてくれたから、まずまずといったところだな。これからが勝負だ」
「頑張ってくださいよぉ。私の彼氏も変態だ頭がおかしいと言いながらも、今では何だかんだ可愛い顔して気持ちよさそうに受け入れてますから。要は慣れですよ慣れ」
こんな風に森村に応援されたのは意外だったが、彼女の言葉には大きく頷けた。
「人は順応する動物だからな」
「ええ。周りは私たちのような趣味を変態、特殊と言いますけどね。これが日常化して当たり前になっていけばそれはもう特殊じゃなくなる。何がどう変態的だなんて人にとって様々だし、紙一重なんですよね。だから樫原さんもそのうちコスプレだろうとSMだろうと緊縛だろうと普通に思う日が来ますよ。…………あ!部長おはようございます!」
ちょうど向こう側からやってきた部長に挨拶をした森村と共に外崎も挨拶をすると、部長も少し控えめに挨拶を返してくれた。
もう四十近い彼は、実力で若くして部長職に就いた猛者だ。外崎も尊敬していた。
「今の見ました?部長、絶対に外崎さんとの仲を嫉妬した顔してましたよ!あー可愛いなぁ。超絶シコい。今すぐあのスーツをひん剥いて押し倒したい」
「会社では立場のある人だ。やめて差し上げろ」
残念なことに、森村の新しい恋人ではあるが。
それこそあの部長が、森村のドSな攻めをどんな顔をして受け入れているか想像もつかない。
「いいなぁ、嫉妬した顔。可愛い。どうです?今度四人でスワッピングとかしちゃいます?」
「お断りだ。樫原のあの顔を他の誰にも見せたくない」
「残念。部長の恥ずかしがる滅茶苦茶可愛い顔が見られると思ったんだけどなぁ」
森村が酷く残念そうな顔をしている。
ひとごとながら部長も大変だな、と外崎は心の中で合掌した。
END
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あらすじ
朝から“例のボイス”を聞いていた外崎。
趣味の合う後輩と話していると、後輩が「今度四人で」ととんでもない提案をしてきて…。