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官能小説 彼女を震わせるモノ 1話
通話エッチ
★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の金賞作品です。ドキドキの小説をお楽しみください。
――――――
――――
『はぁ、凄い。濡れ濡れだね・・・。ホラ、まだちょっと指先でつついただけなのに、こんなに糸引いちゃってるよ』
「ん、・・・ふ」
『クリトリスも、こんなに膨れてさ。――――――ああ、さきっちょからちっちゃいのが覗いてる。こうしたら、どうかな?』
「・・・ゃ、・・・ぁ」
私の手の中には微かに振動するローター。
切なげに喘ぐ女の子を楽しそうに弄ぶ彼の声はPCに繋いだイヤホンから聞こえている。
最初はショーツの生地越しにその振動を滑らせていたけれどもどかしくなって、途中で脱ぎ捨てられた小さなピンク色の布地は丸まった状態で視界の隅に転がっている。
やっぱり直にあてる方が、怖いけれど気持ち良い。
『どう?気持ちイイ?』
「ん・・・イイ」
応えながら、ローターをクリトリスの横から押すように攻めると、思わず腰を引きかける快感がじわじわと溢れてくる。
あ、――――――キそう。
『ゃだ、イっちゃう、イっちゃうぅ』
私も、
「・・・イク、・・・ッ・・・ぁ、・・・」
クリトリスから波紋のように広がる快感に、身体がビクビクっと震える小さなイキの感覚を味わいながら、膣にも神経を集中すると、ギュ、ギュ、と膣内が締まって反応しているのが判る。
その時の、潤った柔らかな内壁がウズウズと擦れ合う感触すら気持ち良くて、
・・・ここから先も、本当は、クリトリスだってもっと刺激して、派手にイってみたい。
でも、
『あ、ダメ、またイっちゃう、やだよぉ、あああぁぁ』
長くなりそうな彼女のイキ声に、私はローターのスイッチを切って、耳からイヤホンを引き抜いた。
「・・・ふぅ」
弾けるように私という存在を震わせていた快感は、その表現の通り、あっという間に霧散して消えた。
耳鳴りがしそうな程の静けさと、それに冷やされてどこまでも冷静になる思考。
二十一歳になる社会人が一体何をやっているんだって、無性に自分を哂いたくなる。
目の前のPCの画面では、私のお気に入りの肌の浅黒い男優さんが、ショートカットの色白の女優さんの脇腹を執拗に舐めていて、けれどその手や指は、まだまだ潮を吹かせようと激しく動き続けている。
無音で見ていても、ピクンピクンと痙攣する彼女の体の動きからは、更に達しようとしている様子が窺えて、
「これは演技?それとも――――――」
殆どが羨望に近いいつもの疑問を口にしながら、自分の愛液の匂いがする指とローターを洗わなければと、ソファベッドから立ち上がった。
洗面台にいって、除菌も出来るハンドソープでピンク色の楕円形のボディを綺麗に洗う。
「・・・はぁ」
自慰行為をした後に思う事。
なんだか寂しいし、そして虚しい・・・。
二十歳の誕生日に親友からサプライズプレゼントとして貰った事が始まりで、このピンクちゃんとはそろそろ一年近くのお付き合いになるけれど、終わった後のお洗濯時間の空虚さには、小さなため息しか出てこない。
――――――でも、
やっぱり、二週間ぶりに自慰をして分かった事。
「・・・自分でしたら、ちゃんとイけるんだけどなぁ」
それなのに、どうして彼氏とのエッチでは、
私は達する事が出来ないんだろう――――――?
――――――
―――――
亜希くん
「七緒」
「・・・亜希君?」
短大卒業と同時に勤め始めた不動産会社での仕事を終えていつも通り裏口から出ると、ほんのり薄暗くなった正面の街並みの中で、長身の亜希君がガードレールに腰かけた格好で私に手を上げてきた。
大学からそのまま来たのだと判る鞄をスラ掛けして、意外と細マッチョだと最近知ったばかりのその体を、まだ付き合う前、有名なファストファッションショップに一緒に買いに行った黒のダウンで隠している。
同じ年の彼は大学三年生。
そろそろ就活戦線の中に足を踏み入れている時期だと思うけど、これからどうするとか、まだ一度も聞いた事が無い。
知り合って半年、付き合って二か月。学生の彼と社会人の私。
まだまだ、二人にとっての快適な距離感については手探り状態。
「お疲れ、七緒」
「どうしたの?ラインくれてた?」
小走りに駆け寄りながら口頭だけで確認すると、彼はかなり端正な部類に入るその顔を、柔らかい笑みで満たした。
「ごめん、してない。七緒を驚かそうと思ってさ、講義終わった足で大学からそのまま来た」
私の腰に両腕を回して引き寄せようとする。
亜希君の薄茶色の前髪と、アーモンド色の瞳が近づいてくるのを見て、降ってくるだろうキスを想像して、
「亜希君・・・」
女心としてはちょっと期待は高まったけれど、
「・・・ダメ。会社の前だから」
「・・・だよね」
社会人としての節度を思って、少し身体の距離を取った私の腕を、それでも亜希君は離さない。
「・・・講義の後って――――――二時間も待ってたの?」
「そこのカフェでコーヒーも飲んでた」
「そこで待ってるってラインくれたら良かったのに」
「でもすれ違った後に見たら意味ないしさ。約束してたわけじゃないから、顔見て誘いたくて」
私の腕を掴む彼の指が、愛おしむように撫でてくる。
「・・・これから、七緒ン部屋、行ってもいい?」
「え?」
「なんか約束ある?」
「ううん。ないよ」
首を小さく振りながら答えると、亜希君がホッとしたようにまた笑った。
「良かった」
こんな風に優しく私を見つめてくれる亜希君が好き。
「じゃあ帰ろ?」
こうして一度でも掴むと、一緒にいる間は手を離さないようにしてくれる亜希君が好き。
「オレ、ご飯作るよ。昨日新しいレシピ覚えたんだ。買い物してこ」
手を繋ぎ直して、まだ返事もしていないのに、私を引っぱって歩き出す亜希君が好き。
「・・・メニュー、何?」
「トマトラーメン」
「・・・」
私が、大学前のラーメン屋さんで、在学中から食べたいと思いながらもチャレンジ出来なかったもの。
「期待――――――してもいいの?」
ゆっくりとした歩調の亜希君の顔を、横に並んでから見上げて尋ねた私に、
「・・・大丈夫。なんとかなる。ほとんどインスタントだから」
少し開き直ったような態度を含んで応えてくれる、こういう亜希君も好き。
「・・・もう!」
「いんだよ。愛があるんだから、多少不味くても何とかなる」
「・・・バカ」
私が何かを口にする度に、'聞いてるよ'って、まるで合図みたいにキュッと手に力を込めてくれる亜希君が好き。
亜希君が、――――――好き。
それなのに・・・、
虚しさ
「なな、・・・気持ちい?」
「・・・ん」
まだ微かに、さっきまで食べていたトマトラーメンの匂いが残っているような気がする、暖房の効いたリビングの、まだ広げてベッドにしていないソファの上で、
「・・・オレも、すげ、いい。・・・はぁ」
窮屈なスペースの中で足を開く格好になった私の体に重なって、腰を振っている裸の亜希君の声は妙に色っぽい。
「好きだ、なな、・・・なな」
セックスをしている最中だけ、何故か亜希君は私の事を'なな'と呼ぶ。
そして、艶を含んだ吐息の中で、切なそうに'好き'と紡がれると、そんな亜希君を受け入れている私の中は、自分でも判る程にキュンとうねる。
「・・・可愛い、なな」
その反応に亜希君は必ず気づいて、更に激しく、深く、腰を打ち付けてくる。
「ぁ、ゃ、亜希く、」
「なな」
トマトラーメンなんて、間違いなく口実。もちろん美味しくいただいたけど、
'片付けとくからシャワー浴びてきて'
そう急かされた時間の先にあったのはやっぱりセックス。
付き合って、し始めの頃は会う度に――――――なんて、頻度が上がるのは仕方ないと思う。
「気持ちいい?」
「ん、・・・気持ちい」
これは本当。嘘じゃない。
亜希君のが出たり入ったり、そうして擦られるのは確かに気持ち良い。
始まりのキスだって気持ち良いし、胸を触られて、指で弄られて、ああ、凄い。
自分でスルのとはやっぱり全然違うって、色々触られている間にそう思わせた亜希君は、かなり上手なんだと思う。
でも・・・、
二週間前に亜希君と初めてエッチして、コレで三回目。
私はまだ、前戯でも、挿入してからも、一度もイッた事が無い。
「なな、――――――ななッ」
打ち付けてくるのと同じくらいの速度で、亜希君が刻むように息を吐く。
「亜希、く・・・」
目を閉じて、私は中に感じる快感を拾い集めようと必死になる。
今日こそは、イキたい。小さな波でいい。
「亜希、くん」
演技じゃなくて、
「・・・なな」
快楽を追う事に夢中になっていた亜希君が、私にキスを強請って来た。
口を開けてそれを受け入れると、そのまま両腕が私の背中へと包むようにして回り込む。
「なな、・・・ななッ」
密着した状態で、腰だけを器用に小刻みに動かされて、ギュッと強く抱き締められて、
「あッ」
意識しなくても出てしまった自分の声に、漂いうねて、掴みあぐねている快楽の中に、知っている感覚がある事に気付く。
「・・・ぁ、ああ、」
クリトリスに、亜希君の体が擦れていた。
狭い場所で、体がより密着してるから?
あのローターで得られる線香花火のようにパチパチと弾ける快感への助走が、その芯から疼いて広がっている。
きっと、これならきっと、
手繰るようにして、どんなに細い快感でもいいから、それを引き寄せたいと必死に意識を集中する。
「ゃ、あ、ぁぁッ、――――――あき、く」
くる。
きそう。
このまま、
このまま――――――、
「あ、駄目だ、――――――イク」
亜希君の、切羽詰まったようなセリフを合図に、
「あ」
形になりかけていた快感が、波が引くような勢いで四散した。
耳元から聞こえる、亜希君の途切れ途切れの呼吸。
それに合わせるようにして、私も息を整えるように小さく声を出す。
ギュッと、膣を締めるように意識する。この反応で、私もイッたって、亜希君に思われたい。
――――――思って欲しい・・・。
その強い思いの反面、心はかなりの勢いで萎んでいった。
もうちょっとで、亜希君と一緒にイケたのに――――――。
演技
「・・・ごめん」
ふと、亜希君の声がさっきまでとは違う、いつもの声に戻っていて、
「まだイッてなかったでしょ?七緒」
「・・・そんな事、ないよ。気持ち良かった」
濁しと、本当の事を含みながら、出来るだけ笑顔でそう伝えたけれど、片や両手以上の歴代彼女を持つ経験豊富な亜希君と、片やそんな亜希君が漸く二人目の彼氏という私では、駆け引きの勝敗は明らかだ。
大学のイケメンリストに入学当時から名前が挙がっている亜希君はかなりモテる人で、高校一年で初カノが出来てからそれ以降、彼女という存在はコンスタントな間隔をおいて存在しているらしい。
そんな彼は、やっぱり経験人数も経験値も、私とは比べ物にならない棚にあると思うから、セックスで面白味の無い私なんて、きっとそれだけで飽きられる切っ掛けになるかもしれないと、まだイった事ないなんて、絶対にバレたくない――――――。
'お前さ、不感症なんじゃねぇの?'
初めて両想いになって付き合った彼氏の、最後の言葉はそれだった。
セックスをするようになった始めのうちは、
'何もかもが初めてなんだから仕方ないよ'
そう言って優しく笑ってくれたけれど、
'お前、そんなもの使わないとイケないとか、マジあり得ねぇから'
ずっと続けていく事だから、今後の為にもセックスについては正直に言い合おうと、そんな言葉に甘えて、イケたかと尋ねられ、首を振る事を繰り返している内に、表情が強張るようになってきて、
'なぁ、イケた?'
まるで問い詰めるような口調に変わった頃に、
'・・・ぅん'
後半は、頷くようになってしまった。
嘘を付いているという一点の染みが、別れを告げられた時には二人の間に大きく広がっていた事に驚いて、そしてその汚れを落とす時間という漂白剤は、使う事すら拒否されてしまった。
'自分のヘタさをナナのせいにして!'
元カレと付き合う前、処女だった私に件のローターをくれた親友の夏芽は、落ち込んでいた私から聞いたその話に憤慨してくれたけど、ネットで見るエッチな動画の世界が普通のカップルの世界観なんだとしたら、やっぱり好き同士の行為でイケない私に問題があるんだと思う。
そしていつか、その事に亜希君が気付いた時、
'七緒、別れよっか?――――――イカせてくれる、そいつと付き合えばいんじゃん?'
目線の先にはピンクのローター・・・。
最初は優しくても、セックスがマイナスの方に絡み始めると、その関係は大抵、悪い方向に変わってしまうって、昔読んだ雑誌にも書いてあったのを覚えている。
別れてしまう理由も、セックスが要因となる事も確率的に低くないとも書かれていた。
元カレのように、変わっていく亜希君を見るのも嫌だし、ましてや、亜希君と別れるなんて、
そんなの、絶対に嫌――――――・・・。
「――――――七緒。シャワー借りるね」
「え?」
声をかけられて我に返ると、亜希君がティッシュを手に、私の、二人が繋がっていた部分を拭ってくれた後だった。
「あ、ありがと・・・」
「うん」
それから額にチュッとキスをされて、
「一緒に入る?」
悪戯っぽい笑みと眼差しで、そんな事を簡単に告げてくる。
「ううん。亜希君が拭いてくれたから平気。後で入るね」
小さく首を振って応えながら、私は歩き出したその綺麗な背中をバスルームへと見送った。
優しくて、カッコよくて、そしてふとした仕草や表情が可愛い亜希君。
'七緒が好きなんだ。オレと付き合ってよ'
元カレと別れた直後から、夏芽の紹介で友達になって、それから三カ月経った頃には、私はすっかり亜希君を好きになっていた。
その気持ちを自覚した直後に、思いがけず亜希君から告白されて、嬉しかった私はその場の勢いと雰囲気でYESを返してしまう。
友達なら、要らない心配だったのに。
付き合ったからには、セックスを避けて通れる筈もなく、愛を確かめ合う行為なのに、こんなにも重く感じてしまうなんて――――――。
「・・・」
腕を伸ばし、自分の指先で触れてみたそこは、ちゃんと濡れている。
だって、前戯は気持ち良い。
――――――自分でシタらイケるんだから、きっと大丈夫・・・。
次は、もっとクリトリスが擦れるように角度を変えてみよう。
今日みたいに亜希君にギュッとして貰って、強く強く、密着すれば――――――。
演技は、――――――嘘と一緒だ。
本当に、小さな共有でいい。
私は、なるべく早く亜希君とのセックスに、'イク'という希望が欲しかった。
こちらの作品を読まれた方に
あらすじ
彼の「亜希くん」とのセックスでイケないと悩む七緒。
オナニーではイクことができるため不感症ではないはず…。
しかし、彼の前だとどうしてもイケない。
彼とのエッチでイケないことに悩む七緒は…。