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官能小説 夜明け前〜解放〜 6話
愛しい体
彼女の中に入るまで、「ほしい」という葵の目に釘づけだった。
体がつながるのと同時に、目の中にも吸い込まれるようで、自然と仰向けの葵に体を重ねる。
葵の中は、いつもより確実に熱い。壁の細胞の1つ1つが、俺をつかまえようとする。
「あぁぁぁ、すごくイイ…」
自分の声も、葵の体に染められるように、熱を帯びていく…。
葵の片脚を肩にかけ、後ろから柔らかなお尻にぶつかり、愛しい体を膝の上に抱き寄せて。
俺は、ますます深く吸い付いて燃える葵をいろんな角度から感じていた。
愛だけにする
1度葵の奥に突き当たるたびに、1つ、粒を壊してゆく。
不安の粒。心配の粒。コンプレックスの粒。これからは要らないものを1つずつ壊して、愛だけにする。
これまで、ショックなこともあっただろう。むなしさや切なさも、俺の想像をはるかに超えている、きっと。
全身で激しく求めてくる葵。
(また、上り詰めようとしている)
そう確信すると、俺の中にも、なだれ込む勢いが生まれた。
「あぁぁぁ、雄…雄君…」
葵がそう俺の手を握り締めた瞬間、俺もダムを決壊させた。
伝えたかったこと
「一緒に、だったね」
覆いかぶさるように体を預けてそう言うと、葵は俺の背中にしがみついた。
「葵ね、本当に可愛いんだよ。全部愛おしい。だから、もっとちゃんと愛したいんだ。もっと、葵を見たい。もちろん、俺のことも見てほしい」
俺の胸に溶け込んでくる、葵の呼吸。その奥にある葵の鼓動。
葵の命を感じながら、今回の作戦で、一番伝えたかったことを言葉にした。
ここまで言えば、あとは葵に委ねるしかない。
(作戦は成功しただろうか…葵を解放できただろうか…)
そうはっきりと考えるのは、怖かった。
大きく息を吸って、吐き出す瞬間前、
「うん。私も」
と柔らかい声が耳に流れ込んでくる。
戸惑いのない、温かい声。俺は、嬉しさを抑えながら「次から、明るくしてもいい?」と目を合わせる。
「少しだけね」
俺の体を引きよせる葵を、今までで一番強く、抱きしめた。
END
あらすじ
雄一がついに自身を葵の中に挿れると…いつもより確実に葵の中は熱い。
葵の中にある快楽の壁を、次々と壊していく雄一。
葵は全身で激しく求めてくるように…
葵のセックスに対する気持ちは開放されたのか?
雄一が作戦で一番伝えたかったこととは…?