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官能小説【3話】きみの声じゃないと駄目なんです!
気付いてしまった自分の気持ちととろけるような熱いキス
★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の大賞作品です。
私が玉子焼きさんの作品に出会ったのは一年前。高峯君に出逢ったのは、二年前だ。
高峯君の声が玉子焼きさんに似ているのではない、――――逆だった。玉子焼きさんの声が、高峯君の声に似ていたのだ。
「……顔、また真っ赤になってる」
「そ……」
そんなことない、とは言えない。触れていないのに分かるぐらいには顔が熱かった。
いい歳してこんなになるまで好きな人に気付かないなんて……という恥ずかしさとか、好きだと自覚したばかりの男の人がすごくすごく近くにいることへの照れとか、そういうのがぐちゃぐちゃになって、もう顔も上げられない。
「というか、嫌がるんじゃなくて照れるんですか?興奮する、なんて身も蓋もなく言われて」
普通、好きでもない男の人にそんなことを言われたら気持ち悪いだろう。高峯君がさらりと言うその言葉さえ、先ほど自覚した感情の裏付けになってしまうのだと思うと、さらに顔が熱くなって、頭が茹って、私は勢いよく彼の首元に額を埋めた。
「っわ、なに」
「……しにそう……」
「そんな恥ずかしがらなくても。かわいいんで大丈夫ですよ。……琴原さんはそんなこと言われても恥ずかしがるだけで済んじゃうぐらい、俺の声が好きってことでしょ」
「違うんだよ、その……」
「何ですか?」
「声、だけじゃなくて……」
絞り出した声に、私の背中をあやすように撫でていた高峯君の手がぴたりと止まる。
「え……ま、マジで言ってます?」
「こんなタイミングで嘘つくわけないでしょ……マジだよ……」
こうなればもうやけくそだった。諦念と共に言葉を吐き出したの首筋と耳に、微かに彼の溜息が触れていく。
はしたなくて恥知らずな女だと思われただろうか。そんな怯えが胸を刺す。毎晩のように一人えっちを繰り返すのも、そのおかずが彼の声だったというのも、そのくせ純情ぶって恋なんてしてしまっているのも、――――どれも彼に呆れられるのには充分すぎる材料だ。
しかし次いで耳に飛び込んできたのは、気の抜けたような喜色満面の言葉だった。
「はあー……反則……」
「え?」
「……俺の声が好きなら、耳から口説こうかなと思ったのに」
ずるいですよ、あんたは。
まるで吐き捨てるかのように呟いて、高峯君がぐいと私の背を引き寄せる。胸が触れ合うぐらいの距離になってしまった私たちは、その唇も当然のように吐息が混じり合う距離まで近付いてしまった。
耳の奥で心臓がうるさい。もう彼のもう片方の手が、何かを感じさせる手つきで私の輪郭を辿る。
「キス、していいすか」
「え!?」
「とんでもないこと言った琴原さんが悪い。だから、キスしたい。それからその先も」
「な、なにその責任転嫁は……っあ、」
鼻先をすり、とすり合わせる仕草にさえ、くらくらして堪らない。濃密でひそやかな空気感に呼吸すら躊躇って、焦点がぼやけるほど近い彼の瞳に吸い込まれそうになって。
「……逃げなくていいの?俺にキスされちゃいますよ」
ね、と甘ったるく高峯君がお伺いを立ててくる。小さい子を甘やかすような声音のくせ、絶対に逃がさないという大人のずるい欲望が滲んでいた。もし私が彼と同い年だったらただ彼に流されることしか出来なかっただろうな、と頭の冷静な部分が分析する。それぐらい、彼の声音は甘美に濡れていた。
一度唾を飲みこんで、動揺をなるべく外に出さないように。私は彼の唇へと視線を向けながら囁く。
「……声だけじゃないって、言ったでしょ」
「は……ほんと、反則」唇の柔い感触を感じ取れたのは本当に一瞬のことで、あっという間にその熱さと激しさが私の感覚を支配していく。何度も何度も、角度を変えて私のそれを弄ぶ彼の唇。少し薄くて少しだけ荒れたそれは、ちゅ、ちゅう、と吸い付いてくる。
「んっ、は、ぁ……ん」
「ふ……ん、ことはらさ、すき、大好きです、」
「ン、んっ、ふあ」
喘いだ隙に潜り込んできた彼の舌は、長くて肉厚で、荒々しかった。私の咥内をぐちゃぐちゃに掻き回していくその動きだけでえずいてしまいそうになるぐらい。変なところにまで雄を感じてしまって、お腹の奥がきゅんとしてしまうのを止めたいのに、とぷとぷと重たい蜜を零すそこは、私の身体の中で一番正直なのだからどうしようもない。
高峯君が衝動をぶつけるように、舌を奥の奥まで捻じ込んでくる。浸食されている、と思った。興奮を隠しもしない、キスの合間の吐息。なまなましいそれが耳から入って、私の脳をおかしくしていく。
「っは、……あんた、口の中あっつい……どろっどろだし」
「は、は……ん、ぁ」
「目もとろっとしてる……かわいーな、ほんと……」
「たかみねく、かわいい、言い過ぎ……」
「ほんとだもん。仕方ないでしょ」
二十代も半ばに差し掛かった男のくせして、「だもん」とか言うな。
ツッコミを入れるつもりで開いた唇は、また彼の口に捕まって、今度こそ蹂躙されていく。上あごをぞろりとなぞられて、爪先がきゅうと丸まった。だめ、これ駄目。じゅう、と音を立てて舌を吸われると、うずうずとした快感が全身を駆け巡って、身体がふわりと浮いたような気さえする。
高峯君のキスはしつこく、ねちっこく、激しく、そして丁寧だった。私の咥内快感のポイントを全て『丁寧に』探り当てた彼によって、私は背中と後頭部を押さえ込まれて抵抗も出来ないまま、いいように唇と奥を犯されつくす。快感と酸欠でぼんやりするキスなんて、生まれて初めてだった。
カレの声と共にローターで責められて
「くったりしてる……そんなに好かった?まだキスだけなのに」
抱きしめていた腕が外されると、身体に力が入らなくなった私は床の上に倒れ込む。仰向けになった視界に、天井と私の腕や肩を擦ってくる高峯君の嬉しそうな顔が映り込んだ。性のにおいを感じない、ただ擦るだけの動きなのに。あの濃密なキスのあとだと、戯れめいた触れ合いにも敏感に身体が反応してしまう。
「っん……ぁ、触られると、駄目」
「だめ?俺が触ると駄目になる?」
「ん、」
ふやけた頭でも、とんでもなく恥ずかしいことを言わされているのは分かった。高峯君の目がぎらついているから。彼はそのままぐっと笑みを深めると、
「じゃあ、」
「こっちにしますか?これなら俺が触るわけじゃないし」
「え……」
「琴原さん、これでいっつもきもちくなってるんでしょ。どうやって使ってるか、俺に見せて」
震えるような駆動音。聞き慣れたそれが何の音かなんて、目を瞑っていても分かる。そろりと視線を彼の手元に向けた私に、高峯君はいっそ優しいぐらいに甘い声で嗤った。
「ああ、今ふにゃふにゃで動けないか。……代わりに俺がやってあげますね」
「あ、っちょ、たかみねく、待って、」
「待たない」
「ッ、ゃ、ああ!!」
高峯君は私のスカートを無遠慮に捲り上げると、ストッキングと下着越しの秘所に躊躇いなくローターを押し付けた。他人の力で触れさせられたそれは、慣れ親しんだ道具のはずなのに予想外の刺激を与えてくる。
既にゆるく勃ち上がっていた浅ましい秘芯と、熱い淵をほころばせて蜜を零し始めた入口。二枚の布を隔てて緩やかに上下になぞられて、ついその動きに合わせて腰がはしたなく動いてしまう。それを、高峯君はぞくぞくするような視線で見つめていた。
「ぁ、あっ、あん、ゃ、ひ!だめ、だめだって……!」
「だめじゃない。ぐりぐりすると嬉しそうにするくせに」
「ひ、ィう、」
「俺のキスでくたくたになって。押さえ込まれてもないのに抵抗できなくて……オモチャで遊ばれて腰揺らして、ほんと、かわいい……」
「ア、っふあ、あ!」
高峯君の手が、下から上へとローターを突き上げるように動かした。敏感すぎる場所を容赦なくいじめられて、びくん、と腰が跳ね上がる。私の素直すぎる反応に、彼はまた愉悦を深めたみたいだった。
「ね、でもいつもは俺の声にいじめられながらイッてるんですよね……普通に当ててるだけじゃ物足りないでしょ」
「ふぁ、あ、ん……っな、なに……」
「『……気持ちいいんだよね?』」
頭の中に、直接快感を注ぎこまれたみたいだった。
少し遅れてようやくそれを快感として受け取ったのか、ぞく、ぞくっ、と背筋が震える。太腿を擦り合わせればローターがさらに食い込んで、私はあえなく喉を晒してしまう。あ、あ、と情けない嬌声と、細切れの吐息だけがその喉から零れる。
「『そうだよね、気持ちいいよね?』」
「や、ぁ……あっ、あ、……」
「ね、琴原さん。気持ちいいよね」
念押しと共に、答えを急かすようにぐりぐりと入口にローターが押し付けられる。
もう既に蜜でぐっしょりと濡れた下着は蓋の役割すら満足に果たせず、ゆるゆるとローターと共に中に潜り込んでは、入口付近の粘膜を引っ掻いていく。そしてとどめのように、同じように秘芯にまでぐりぐりとローターが宛がわれる。押し込むように、左右に弾くように、引っ掻くように。自分では絶対にしないような動きに、身体はひどくあっさりと果てへと昇った。
「ひっ、高峯、く、だめ、イッちゃ、……!」
「……ん、いいよ、イッて……」
甘やかすような声で促しながら、彼は私のだいじなところを酷くなぶった。ぞっとするほどの快楽の渦に放り込まれ、私は高峯君の腕にしがみついて、あっけなく絶頂を晒す。
「ぁあっ、あ、――――!」
痙攣がなかなか収まらない。腰から下の力が抜けていって、自分の力ではもう動かせないような感覚がした。足や腰と同じように痙攣を繰り返す私の入口は、もう既にとろりと開き切ってしまっているだろう。食い締めるものを探してひくひくと震えるのを感じながら、私は何とか呼吸を整えようとする。
「気持ちよかった?」
「っ、きもち、い……」
「っ……うん。『いいんだよ。悪いことじゃないから』。かわいい」
「っん、あ……うん……」
「『じゃあ素直に言えたご褒美』」
え、という呟きさえ、音になっていたか怪しい。耳元までぐっと顔を寄せた高峯君が、唇を耳たぶに触れさせて、濡れきった声で囁いた。
「『もう一回、あんたの大好きなここに……これ当てて、いっぱいイかせてあげる』」
カチ。スイッチ音と共に、ローターの震えが激しくなる。あのアプリで設定されているのと、全く同じ強さ。反射的に身体が果てようとするのは、散々あのアプリとローターと、玉子焼きさん、――――高峯君の声に調教されてしまったからなのだろう。
「は、……ああ、入口だけなのに濡れてる音する。こんなにして……えっち、」
「ッひ、ああっ……!」
えっち。なじられた、と思った瞬間に心がどこまでも落ちていく。
心まで気持ちよくなってしまえばもう駄目で、これ以上はおかしくなるとシグナルを発した脳味噌が身体に逃げろと命じる。それに従った身体がずり上がって、高峯君の下から逃げようとする、――――腰を、強い力で掴まれた。
「『――――逃げんな。やらしい声上げてイくとこ、俺に見せて』」
獰猛な、うつくしい獣の笑み。ああ、昨夜の私が求めていた『足りないもの』はこれだったのかもしれない。
カレの魔法

そのかんばせと、耳元で囁かれた荒っぽくて雄くさい低い声に背中を押されて、あのときと同じように簡単に転がり落ちた。お腹の奥がじゅわりと濡れる。中が食い締めるものを求めるように、きゅんと震えるのが自分でも分かって、堪らなくなる。彼の声は魔法だ。誰も知らない厭らしい自分を引きずり出す、魔法。
「『ほら、イけ。……はは、かわい。イッて、ほら』」
「ゃ、や、ッあ……、ッ〜〜!」
腰を掴まれているから、逃げ場なんてどこにもない。快感を逃がすための動きさえも封じられて、私は私の気持ちいい感覚を全部飲み込むしかなかった。じんじんと溜まっていた熱が弾けるように、一足飛びに階段を駆け上がるように。思考が真っ白に塗りつぶされて、果てた。一瞬の空白のあと、どっと身体の力が抜けて、強張っていた手足が床のラグの上に落ちる。
「……は、あ……」
「……気持ちよさそう。イイ顔してますね」
「ん……」
ほぼ連続で押し上げられた果ては、私をなかなか放してくれない。高峯君の指が零れていた涎を掬って私の唇に塗りつける感触と、かわい、という癖のような呟きにさえも、簡単に快感を拾い上げてしまう。しかし高峯君はこれ以上連続で追い詰めるつもりはないようで、それより強い刺激は与えてこない。
徐々に身体は落ち着いていくが、ストッキングと下着を押し上げる芽も、それらをどろどろに濡らしてほころんだ入口も、まだじりじりと燻って熱が冷める気配がない。刺激がほしい、ほしいとはしたなく強請るそこから目を逸らすように、私は高峯君の顔を見上げる。彼は本当に玉子焼きさんだったんだなあ。それにしても、まさか昨夜ちょうど聞いていたやつと同じ責め方をされるとは……。
「……って、あの、高峯君?」
「なんすか?」
「何してるの?」
「ベッドに運んでます。……はい、着いた」
「いや、あの、」
「何されるか分かんないわけじゃないでしょ?えっちな琴原さん」
ハイ、と頷くしかなかった。ゆるりと目を眇めた高峯君の顔がずるいのだ。あんな愛しさと欲望をめちゃくちゃに混ぜ込んだみたいな顔をされてしまえば、私に勝ち目なんてない。もう一つの部屋、寝室に移動させられた私は、そのままベッドに転がされると手早くストッキングとスカートをはぎ取られる。上のシャツまで脱がされてしまえば、私はあっという間に下着だけの姿になった。
おしおき。脳味噌ごと犯されて
「……」
「はは、そんな顔で睨んでもそそるだけですよ。大体、さっき二回もイッておいて今更下着で恥ずかしいの?」
「そ!それは……話が別でしょ。私、そんなに経験ないし……」
加えて二年ぶりだ。こうもまじまじと身体を見られると恥ずかしくて堪らない。しかし私の言葉に、高峯君は心底嬉しそうににんまりと笑ってキスを落としてくる。うれしい、うれしいと伝えるような、やわらかくて子供っぽいキス。
「大体、手が早い。やらしい……さっき両想いって分かったばっかりでしょ……」
「まあ、そうなんですけど。俺の手と声で、琴原さんがこんなとろっとろになってると思うと、ちょっと……いやかなり、ぐっとくるので。仕方なくないすか」
つう、と高峯君が私の脇腹を撫で上げる。その手はそのままブラジャーのほうへ。布の上からやわやわと揉まれて、燻っていた快感にまた火が灯ってしまう。仰向けでもブラジャーのお陰で何とか形を保つ胸の向こう、高峯君が静かに、私の大好きな声で囁いた。
「……我慢したくないぐらい、好きなんで」
まるで、心も身体も両方欲しいのだと知らしめるようだった。現金な心臓がきゅうと締め付けられて、先ほどまでの期待や恥ずかしさを起因とするのとは違う鼓動を刻み始める。それは胸を弄んでいた高峯君にも伝わってしまったようで、ブラジャーをずり上げた彼はまた嬉しそうな顔をしてみせた。
「ドキドキしてますね」
「そりゃあもう……」
「もっとドキドキしてほしいんで、そろそろちゃんと触ります」
「へ、」
大きくて骨ばった男の人の手が、たわんだ胸の感触を確かめるように厭らしく揉みこんできた。
ふるりと膨れた先端も少しだけがさついた指先に丁寧に摘ままれ、弾かれ、しごかれて、厭らしい色合いに染まっていく。そんなやらしく触らないでほしい、という私の無言の訴えは却下されて、彼が爪すら軽く食い込ませてくるのに悦ぶことしかできない。
「そ、の触り方、や……」
「そう?触って、ってこんなに硬くて赤くなってるのに」
「ひっ、ん、……だって指……」
手で揉まれるだけならまだよかった。でも彼の指先は乳首だけを重点的に二本の指でいじめてくる。それが何だかとても卑猥に思えてきて、じんじんとした疼きをその先端に感じてしまう。たぶん擦られて弄られて、皮膚が過敏になっているのだ。彼の指紋の段差さえも感じ取れてしまいそうで、もう軽く触れられるだけでもあまったるい声が零れていく。
高峯君は私の訴えにふと手を止めると、「確かに真っ赤ですね」と目を瞬いた。
「じゃあ下も触る?ここばっかりなの嫌だよね?」
「え、え……っ、ぁ!んん……!」
二つの先端を弄っていた指が、私の身体の下方へと向かっていく。やがて、くちゅりという水音と共に、彼の指先が下着越しに入口に触れた。は、と熱っぽい吐息が乳首にかかって、それだけで喉を晒して甘くイッてしまいそうになる。
「……とろっとろ。開き切ってるし……」
「ひ、ぁあっ……」
「ナカ挿れたら、奥の奥まで蕩けてそう……」
「な、何でそういうこと言うの……!」
「気持ちよさそうだなと思って。……ごめん琴原さん、もうあんまり我慢できない」
下着の生地ごと、とんとんと叩くように彼の指が秘芯を押し込む。腰を捩った瞬間にその下着も取り払われて、ついに私は、私の全部を彼の前に曝け出すことになった。高峯君はしばらくじっとこちらを、――――具体的には下着の奥に合った部分を見つめていたけれど、ややあって指を二本揃えるとずぶずぶと私の中へと沈めて、目を伏せた。
「……熱い」
「ぅ、ゆ……んん、」
「それに狭いけど……蕩けて柔らかくなってる。そんなに俺の声にイかされるの、きもちかった?」
「あ……」
またいじわるに笑った高峯君を見て、咄嗟にきゅんと中の指を締めてしまう。その反応に少し眉を寄せた彼は、押し広げるように指を曲げて、内壁を引っ掻いた。びくんと片足だけが跳ねて、高峯君の腰辺りに膝が当たる。
「あ、ぁ、ごめ、」
「ん、いいよ。……って言いたいところだけど、ちょっといじわるさせて」
おしおき。高峯君の目は笑っていなかった。手早くシャツを脱いで、パンツも下着も脱いで。さっきまできっちり着込んでいたのが嘘のように服を取り払った彼は、同じようにどこからか出したらしいゴムを手早く付けて再び覆いかぶさってくる。
硬くて、熱くて、触れているだけでお腹の奥がおかしくなりそうなものが、私のなだらかな腹部に触れる。 私はいきなり押し付けられたそれの存在感に、彼の手が、顔が、どの位置にあるのかを確認し損ねてしまった。
「――――ねえ、睦月さん」
どろりと溶けていきそうな声音だった。
反射的に喉から声が零れる、身体が甘く震える。人は欲望をこんなにも声に乗せることが出来るのかと思うほどの、感情のかたまりみたいな声。そんなものをぶつけられて、彼の声だけで気持ちよくなってしまう私が無事でいられるわけなんて、ない。
ぎゅうう、と中が締まって、緩んでを繰り返す。ゆるやかな痙攣をしているのだと頭のどこかが思う。高峯君の指の形がいやにはっきりと分かってしまって、泣きたくなるぐらいに恥ずかしい。
これ以上聞き続けてたらまずい。頭を右側、彼がいないほうへと逃がそうとしたけれど、すかさず空いていた手が耳を塞ぐようにして押さえに来る。そうなると片側からしか音が聞こえない、――――高峯君の、あまったるくてぞくぞくする、低い声、しか。
「睦月さん、ってずっと呼びたかった。……いい?」
「っ、い、いいから……これ、やめ、」
「止めない。……声好きって聞いたときから思ってたけど、睦月さん、たぶん耳弱いよね」
「ッ、」
「ぐちゃぐちゃにしてあげる。一緒に中もたくさんほぐしてあげるから……はやく俺のこと受け入れて」
しぬほど気持ちよくしてあげる。
語尾にハートマークがつきそうなぐらいのどろどろとした声が、また私の脳味噌ごと犯していく。
あらすじ
イヤホンで聞いていた声の人が今、目の前に―…。
気付いてしまった、自分の気持ち。
ローターを取り出し、甘いイケボで囁く彼に言葉攻めされて…。